初夏のある日、僕は生まれて来たらしい
人間として生まれたのなら
その時、その場所、その場面、
さまざまな感情があっても仕方がないし
どちらかといえば 在るべきなのだろう
抑えているのがいいと思っていた
抑えていたら全てが上手く運んでいき流れは淀むことなく
全てが全て、それでいいのだと
所詮自分可愛さで僕は
苦しい気持ちを抑えきれずに何かに飛び込もうとしているのか?
そこは荒れた海なのか深い森なのか
高い塔なのか寂れた廃屋なのか
もしかしたら煌びやかな城だったとしても
僕はそこで笑えるのだろうか
僕にないものを皆が持っていたと知っても
だから何だと平然と構えていられたらどこにいても天国だろう
喜んで生まれてきたとは到底思えない僕だが
僕の振りした僕だが
僕という演技をずっと続けられる程人生が長いのだとしたら、
僕はいつかどこかで
いつものように笑った後に
針の先が、思い出のあの場所に突き刺ささるように
息が止まってしまうのかもしれない
ずっと一人なんだと悟ってしまったら
僕は僕をたいそう、軽蔑するのだろう
なんてことを思ったとしたら
君は笑うかい?
初夏のある日、僕はどんなことを思いながら
生まれてきたのだろう?