
走る車窓から見えたのは海、家々の間から見えた光る海
鼻先をくすぐったのは潮の香り
潮の香に占められて
僕は遠い地に来たんだなと、運転席の後ろ
いつもの定位置で思った
幼い日の記憶はそんなもので
僕が住む町にも海はあるけれど
僕が住む町にある海の匂いとは、明らかに違った海の香は
人生で唯一行ったことのある東北の地の、海の香り
家族で行った福島県への旅は
海の香りと共にある
東京よりも、もっと遠い地へ行ったことが
当時の自分ではものすごい旅のように思えたわりには
車窓から見た海と香りしか憶えていなくて
それ位幼かったということなんだけれど、でも
そんなワンシーンしか覚えていないけれど、でもさ
あの時の風景は、今も僕の中にそのままに
あの時の香りも、ずっとこの先もそのままで
僕の中に永遠に在る
僕の地元の海の次に好きな香りで
僕の地元の海の次に好きな風景として
ずっと忘れずにいることにするよ
また、あの風景に戻るよ
だってまだ心の車窓から見えるからさ
香りと一緒に、あの日の思い出が
*大きな地震から一ヶ月が経ちました。
被災地の皆さんの元気と、お亡くなりになれた方々のご冥福を、心より祈っています。
まだまだこれからですね、みんな、君も僕も、今の日本のこの瞬間を
共に渡って行きましょう。
いつも願って、思ってます。