
桜を見に、山を目指した一年ぶりの町。
自然のままの野生の桜を見た。たわわな花をつけた枝をいっぱいに伸ばすその逞しさに
僕は羨望の眼差しを向けながら、拙い運転ではあるけど、淡く柔らかい春の山の中を走ってきた。
お気に入りの道を真っ直ぐ、ズンズン進んで行けば、そこには山があって
春の色に萌え始めた山は所々淡いピンク色で染められていた。
昨年、車をぶつけてからというもの(2回も…)、最近は車を運転することが怖くて
でも、怖いからといって運転をやめるわけにもいかないしドライブは好きだから
一年に一度の花見の小旅行を敢行した。
やっぱり。地震のことでは、遠い地のことではあるけれど、心の大事な所がかなり痛んでいたようで
自然のままの伸びやかな野生の桜等を見ていたら、
太陽の光と一緒に、その地の道端や草原や、民家の庭などに溶けてしまいそうな
空中に漂う何かになったような気がして、なんかね
『あぁ、綺麗だな…』って心底思って、僕は何に対してかは良く分からないのだけど
深く感謝の気持ちが湧いてきた。
哀しいのだけど綺麗、綺麗だけど、どっか哀しいなぁって
自然というものは大きくて、人間なんかは全然歯が立たないものなんだけど
こんなに綺麗で包み込んでくれるんだなぁ…ってね思って、自然の厳しさと無垢な容赦の無さ
そして、包むような優しさを感じながらも、でもやっぱり哀しいんだな…を繰り返して
何とも複雑な気持ちにもなったけれど
一年に一度の花見の小旅行は心に溶けて染み込んで
僕は僕の小ささを改めて感じる、そんなささやかな心の旅となった気がした。
その数日後には、久しぶりに街の中をウロウロと歩いてみたんだけど
そこは車が激しく走っている道だったので
野生の桜が咲く町と、ビルが立つ整備された街との対比は面白く、お互いの個性を
それはそれで僕には魅力的に感じたな。
詩を綴ろうと思っていたのに、書き始めてみたら、ただの長い日記になってしまった。
僕は何を綴ろうとしてるんだろう?
桜のある風景の中にも、街にも
春色の情熱があったよってことかな?
生命力をね、多分感じたんだな。野生の桜咲く田舎の道にも、街の歩道にも。
僕が見た、2つの春の日に
それぞれの色をした、とてつもなく大きな生命力を感じたんだよって、言いたいんだな。
そして、そんな力が君の中に、いつでも息づいていてくれることを
春の夜に。