
なかなか赤ちゃんができない友達夫婦
久しぶりのメールには、明るくめげない友達の言葉
彼女のことだから何があってもめげないのだろうなと携帯を握る
優しい旦那様も居ることだし
だから僕は安心している、彼らの絆は確かだろうから
なかなか生まれてこられない命があって
もっと生きたいのに生きられない命がある
人が一人生まれるってことは、想像しているよりずっとスゴイことなんだよな
人が人から生れるってことは、思っているよりもずっと奇跡なんだよね
いまこの瞬間この世に存在していないものが
二人の愛の結晶として、雲の上の遠い遠い何処かから、新たな命を得て
真珠とダイヤモンドと芳しい匂いでこさえられた門を
小さな体でくぐってくるのだ
ご飯を食べて、笑う泣く怒る喜ぶ、屋根ある場所で眠ることができる
綺麗な景色を観る、音楽を聴く、体を動かす、花の香りをかぐ
どれもこれも奇跡じゃないか
奇跡の積み重ねの上で僕ら出会えて良かったと思わなくては、
生きてるだけで、『あぁ、ありがたい』って思わなけりゃあ、
毎日、その身を捧げてくれている、豚、牛、鶏、魚、その他諸々の命たちに
申し訳ないじゃないか
君は奇跡。
君は、僕の数万倍、たいせつな奇跡の命
君の命があの門をくぐって来た時、僕は気付かない振りしながら
嬉しくて嬉しくて、その奇跡を祝うために
この町、この家に生まれた
父や母と手を繋ぎながら祭りの日に空へ風船を離した
姉たちと一緒に、日曜日の砂浜を裸足で歩いた
甥っ子を抱きながら赤ちゃんの笑顔に幸せをもらった
今この時に、青い空のしたにいる。