
家族写真を撮った、三月
或る日、叔父が持ってきてくれたのは
祖母が若かりし日の、花柄の羽織姿のセピア色
あれから長い月日を経て
何枚かの写真は家族の歴史と共に増えていき
また、一枚の家族写真
甥っ子も姪っ子も勢揃い
姉はいつもよりほんの少しお洒落して
僕はいつもと同じ
主役は、とても嬉しそうな、いつもの笑み
切り取られた一瞬に
沢山の歴史が喜怒哀楽が写っているのかなと
何となく思った
ここにいる人や亡くなった人、これから生まれる人も
過去も未来も
そしてたった今の僕ら
僕の中に住まう人々や物ごとや
景色や感動、メロディーや言葉が
切り取られる一瞬に花のように弾け香らせながら
写る気がした
設置されたデジカメから走る姉の表情
自動シャッターが作動する音に
君や僕のたった今が記録される
たった一瞬が永遠になる写真の中
家族写真を撮った、三月に