数え忘れた傷跡 2024年10月09日 | 歴史 <付記7bbb: 数え忘れた傷跡> 口を忘れていた。 「おちょぼ口」と言うほど小さくもないが、頬が膨れた幼児の口は、護衛官には小さく見えたのだろう。片刃の短刀を、口の中に差し込まれて、それを引き抜かれる時に唇の端を切られた。 本当の「口裂け女」である。 血が一筋、顎をつたって流れると、さすがに男の声は甲高くなって、 「お前が、もっと大きな口を開けないからだぞ」と言われた。 « アフリカの事件 | トップ | 傷痕を数えてみる・続き »