皆様明けましておめでとうございます。ARどうぶつ病院の盛田です。
年の初めの第一回のブログですので、まずは年頭所感としました。
診療に際し、いつも考えるのですが、
90%の診断を99,9%の診断にするためには検査や場合によっては時間がかかります。
そのため、99,9%と90%の診断の違いを意識していないご家族は、精査するより安い方が良いとおっしゃる方も多くいます。
しかし、この10%の誤診は医師にとって非常に大きい誤診率です。
命に係わる病気を10頭に1頭見逃していてはとてもじゃないがこの仕事はできない。
この診断率で甘んじている医師や獣医師は一度考えを改めないとこの先仕事をしていても自分も患者もオーナーも不幸になると思います。
「ブラックジャックによろしく」より
確かに症状からの鑑別診断、年齢や品種による疾病の確率、問診・視診・聴診・触診・嗅診、既往歴、簡単な検査などから90%近い診断はつくかもしれない。
しかし、これは確定診断ではなくあくまで「疑い」です。
診療時あるいは診断的治療法を行った結果に少しでも疑問を感じた場合は、どんな病気においても「確定診断」に近づける努力を怠ってはいけない。
前述しましたが、確定診断ためには詳しい検査・治療・フィードバックが必要であり、これには労力や費用がかかります。
疑っている病名の変更もあるだろうし、治療が変更することもありますが、見逃してしまう方が患者にとって不利益になることは明白です。
ご家族はこのことを理解していただき、必要性に応じて通院や定期的な検査をおこなうことを受け入れてください。
また、医師は症状・検査の必要性・治療後の再診の有無に対して説明をしっかり行い、ご家族に理解していただくことが必要となります。
これが我々の仕事の大半であるので、決して怠ってはいけません。
持てる知識を総動員し、ご家族にわかりやすく、そしてより受け入れやすい検査方法・治療方法を検討・模索し、患者・患畜を治療する。
病気によっては治らない病気もありますが、行ってきた治療に決して後悔させないように努力する。
このことが医師・獣医師の『先生』たる所以だと思います。
今年もこの仕事に誇りをもって取り組みます。
飼い主様におかれましては、様々な検査を提示した際はどうかその理由に納得していただいたうえで、快く検査を受け入れていただけることを願います。