季節が目まぐるしく変化する5月が過ぎました。当院は5月が予防のピークになるように色々と行っておりますが、5月が過ぎるころには心身ともに疲弊して、少し楽になりたいと思っていると梅雨が始まる様で…
最近はまたRECOVERの定期講習を終え更新を済ませたところですが、こちらも小動物の救命救急を学びたいスタッフが増えるまで一人で維持せねば…
さて、最近はスタッフの拡充のため積極的に募集をかけていますが、なかなか…
こんなことを言うのもまだ憚られる年齢かもしれませんが、今どき獣医師になろうという人間が本当に礼儀や常識を知らなすぎるのに唖然としています。
電話口で
「そちらは1.5次診療をおこなっていますか?」とか
「症例数はどのくらいですか」とか
そもそもこの答えを適当に答えてこういう輩をやり過ごす方がいいのかもしれませんが、今後こういった頭でっかち経験なしのバーチャル獣医師が増えることを本当に危惧しています。
老婆心ながら忠告しますが、
まず、あなたが症例数と言っている患者はひとつの命を持ち、1頭1頭に対してどのように向き合うかが小動物臨床に携わる獣医師の在り方ではないのでしょうか。
1頭ずつを大事に診ないなら臨床の腕は上がりません。そしてそのうち病気は見逃してしまい誤診して返すことになります。
それを理解できない獣医師が多すぎます。何とかの一つ覚えみたいに症例数を追うことの意味をもう一度考えてみましょう
(因みに診察時間をどの動物もくそ長く取ればいいというわけでもないので診察にあたり自身で時間配分は考えましょう)。
(因みにくそどうでもいい話ですが私は1日で100件程度診察したこともあります。しかしあの頃の診察の内容を覚えているものはほぼありません(大型犬の胃部分切除と猫ちゃんの眼摘くらいか…)。)
また1.5次診療という言葉は結構聞きますが、何を持って1.5次診療と言っているのでしょうか?
骨折のプレート挿入が出来たら1.5次?
開胸手術?
断肢断脚?
胃切開や腸切開、脾臓摘出?
肝臓部分/肝葉切除?
救命救急処置?
内視鏡?
腹部超音波検査?
ホルモンの測定?
CTやMRI?
定義の定まってないものを問う人間は結局何がしたいのかわかりません。そのためどこに行っても目標が定まらず地に足がつかないと思います。
かく言う私も代診1件目で5年の修行をした後に1.5次診療なる病院を転々としましたが正直そこにいるだけでは勉強にならず、どこもブラックで日々雑務に忙殺され、それが本当に1.5次診療なのかという疑問しか残りませんでした。
(これもどうでもいい話ですが私の10数年前の経験上1.5次を謳う病院は総じて上層部のみが高価な器具を使い、下っ端は雑務のみで10年くらいかけてやっと自分で勉強した後にエコーとかやるような感じかなと。それがいいならそういう病院も良いかと思いますが…)
そのため日本動物高度医療センターに席を置かせてもらい、まず何が2次診療なのかを勉強しました。
わかったことは、1.5次とか2次とかどうでもよく、
要はどこにおいても己が勉強するかしないか、患者(動物)と病気どこまで向き合えるか、そして勉強する段において病院やスタッフと話し合えるか否か(行きたい学会などへの参加や資格試験への積極的な参加等)。であると思いました。
そのため、自分が作った病院では
①最初は基礎の勉強をしてもらう(ここが一番出来ていないので)
②1次診療の獣医師レベルになったらできる限り融通が利くようにし、興味のある学会に参加してもらう
③必要に応じて2次病院への出向し研鑽してもらう(有給)
を実現させようかと思ってます。後は己がやるかやらないか。
自分はバリバリ勉強してどんな動物のどんな病気も治せる獣医師になりたいと思うなら
可能な範囲でお手伝いいたしますのでどうぞいらしてください。こういう ↓ 夢を持つ人間を待ってます
「ワンピース」より
最後に、最も重要なことですが
電話の先には今後一緒に働く仲間がいると思って心して電話をかけてください。
失礼な言動やこちらの優しい心遣いを無下にするような輩は結局他のスタッフと仲間になれず何も協力が得られなくなり辞めていくことになります。
この仕事は一人ではほとんど何もできません。高度な医療はさらに多くのスタッフを鍛えまとめ上げてやっと実現します。
他の病院のことはわかりませんが当院のスタッフは私が手塩にかけて(?)育てたのでそこらのペーペー獣医師よりも知識も心遣いもあります。
そのつもりで敬意をもって話してください!