ARどうぶつ病院の盛田です。
今回は猫ちゃんの慢性腎不全について考えましょう。

猫ちゃんを飼っている方はこの言葉を一度は聞いたことがあるかと思います。
病気の概要は
腎臓というおしっこを作る臓器が壊れてしまい、おしっこが作れなくなる病気
です。
ここで『?』と思った方がいるかもしれません。
皆様の『?』の中身は何ですか?
たぶん下に挙げることが多いかと思います。
①腎臓は何で壊れちゃうの?
②おしっこはなぜ必要なの?
③おしっこが作れなくなるって、どういうこと?大量のおしっこをする病気だと思っていたけど…
こんな感じでしょうか。
一つ一つお答えしていきます。

①腎臓が壊れる原因は様々です。
先ずは腎臓の構造から考えましょう。

腎臓は上図のように小さい球状の「ボウマン嚢」というものとそれにつながる「尿細管」から構成されています。これをネフロンと呼び、この構造物が猫ちゃんでは左右合わせて40万個程度あるといわれております。
40万個と聞くと多いと思うかもしれませんが、ワンちゃんは80万個程度、人では200万個程度あるようですから少ない方なのです。
そして追い打ちをかけるように、
食事による負担(塩分の多い食事(例として鰹節)とか食べてませんか?)
細菌性膀胱炎などの病気から尿管を通って腎臓に感染症が拡大する上行感染、
尿石症などにより尿道が詰まり、腎臓での機能まで障害する尿石症
などの生活習慣病や病的な要因だけでなく、
高齢になると猫ちゃんの少ないネフロンに対し、免疫力が異常に反応するようになります。
そしてあわれ、種々の攻撃によりあえなく壊されるネフロン…
今はこのような仕組みで猫ちゃんのネフロンが壊されているといわれております。

②ではおしっこ(尿)はなぜ必要なのでしょうか。
これは大体の人が理解していると思います。
そう、体から出た老廃物を体外に出すためです。
老廃物とは、体の細胞がエネルギーを作る際にいらなくなったものや、体内に入ってきた有害物質などのことを指します。
これらを排泄する際にボウマン嚢にある糸球体では、強い圧力をかけて血液中の液体成分を尿細管に送ります。

尿細管に送られた血液中の液体成分は、必要なもの(水分や糖など)を選んで体内に戻します(再吸収)。
この機能によりいらない成分が残ったものが尿となり排泄されるのです。
③前述で血液内の要らないものを濃縮したものが尿となるわけですが、この濃縮する尿細管と、血液の液体成分をろ過するボウマン嚢(+糸球体)に様々な要素が加わり、ネフロンが壊され、結果、尿が出なくなるのですが、慢性腎不全の場合は尿細管が先にやられるため、水の吸収が出来なくなり、薄い尿が出るようになります。
このようにして薄い尿が大量に出来るのですが、尿は元々自分の血液の液体成分です。薄い尿を大量にしていると血液の量が少なくなっていき、血液が濃くなります。それにより血管周囲の細胞から水分が集められ、血管内に移動することにより、体は脱水していくのです。
脱水すると水分を求め、水を飲むので、見た目の症状としては『おしっこの量が増えたとか水を飲む量が増えた』となります。
勿論悪化していけば尿は出なくなっていきます。
難しかったかもしれませんが、腎不全の流れはわかってもらえたでしょうか。

ご家族が『うちの仔、最近水をよく飲むな』とか『おしっこの量が最近多いな』と思ったときは上記のような病気があるかもしれません。
慢性腎不全の場合、上のような症状が出始めるのは腎機能がだいぶ低くなっってから(一説では腎機能が25%以下になってから)なので、症状が出る前でも、年齢が高齢になってきたら血液検査や尿検査はおこなった方が良いでしょう。
また、血液検査では異常が見つからないけれど尿が薄いなどあれば、外部検査機関で行う腎臓機能検査もあるので、詳しくは動物病院の先生に聞いてみてください。

今日はここまで。次回は腎不全の全身症状と治療に関して書いてみたいと思います。
今回は猫ちゃんの慢性腎不全について考えましょう。

猫ちゃんを飼っている方はこの言葉を一度は聞いたことがあるかと思います。
病気の概要は
腎臓というおしっこを作る臓器が壊れてしまい、おしっこが作れなくなる病気
です。
ここで『?』と思った方がいるかもしれません。
皆様の『?』の中身は何ですか?
たぶん下に挙げることが多いかと思います。
①腎臓は何で壊れちゃうの?
②おしっこはなぜ必要なの?
③おしっこが作れなくなるって、どういうこと?大量のおしっこをする病気だと思っていたけど…
こんな感じでしょうか。
一つ一つお答えしていきます。

①腎臓が壊れる原因は様々です。
先ずは腎臓の構造から考えましょう。

腎臓は上図のように小さい球状の「ボウマン嚢」というものとそれにつながる「尿細管」から構成されています。これをネフロンと呼び、この構造物が猫ちゃんでは左右合わせて40万個程度あるといわれております。
40万個と聞くと多いと思うかもしれませんが、ワンちゃんは80万個程度、人では200万個程度あるようですから少ない方なのです。
そして追い打ちをかけるように、
食事による負担(塩分の多い食事(例として鰹節)とか食べてませんか?)
細菌性膀胱炎などの病気から尿管を通って腎臓に感染症が拡大する上行感染、
尿石症などにより尿道が詰まり、腎臓での機能まで障害する尿石症
などの生活習慣病や病的な要因だけでなく、
高齢になると猫ちゃんの少ないネフロンに対し、免疫力が異常に反応するようになります。
そしてあわれ、種々の攻撃によりあえなく壊されるネフロン…
今はこのような仕組みで猫ちゃんのネフロンが壊されているといわれております。

②ではおしっこ(尿)はなぜ必要なのでしょうか。
これは大体の人が理解していると思います。
そう、体から出た老廃物を体外に出すためです。
老廃物とは、体の細胞がエネルギーを作る際にいらなくなったものや、体内に入ってきた有害物質などのことを指します。
これらを排泄する際にボウマン嚢にある糸球体では、強い圧力をかけて血液中の液体成分を尿細管に送ります。

尿細管に送られた血液中の液体成分は、必要なもの(水分や糖など)を選んで体内に戻します(再吸収)。
この機能によりいらない成分が残ったものが尿となり排泄されるのです。
③前述で血液内の要らないものを濃縮したものが尿となるわけですが、この濃縮する尿細管と、血液の液体成分をろ過するボウマン嚢(+糸球体)に様々な要素が加わり、ネフロンが壊され、結果、尿が出なくなるのですが、慢性腎不全の場合は尿細管が先にやられるため、水の吸収が出来なくなり、薄い尿が出るようになります。
このようにして薄い尿が大量に出来るのですが、尿は元々自分の血液の液体成分です。薄い尿を大量にしていると血液の量が少なくなっていき、血液が濃くなります。それにより血管周囲の細胞から水分が集められ、血管内に移動することにより、体は脱水していくのです。
脱水すると水分を求め、水を飲むので、見た目の症状としては『おしっこの量が増えたとか水を飲む量が増えた』となります。
勿論悪化していけば尿は出なくなっていきます。
難しかったかもしれませんが、腎不全の流れはわかってもらえたでしょうか。

ご家族が『うちの仔、最近水をよく飲むな』とか『おしっこの量が最近多いな』と思ったときは上記のような病気があるかもしれません。
慢性腎不全の場合、上のような症状が出始めるのは腎機能がだいぶ低くなっってから(一説では腎機能が25%以下になってから)なので、症状が出る前でも、年齢が高齢になってきたら血液検査や尿検査はおこなった方が良いでしょう。
また、血液検査では異常が見つからないけれど尿が薄いなどあれば、外部検査機関で行う腎臓機能検査もあるので、詳しくは動物病院の先生に聞いてみてください。

今日はここまで。次回は腎不全の全身症状と治療に関して書いてみたいと思います。
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