ARどうぶつ病院の盛田です。早いものでもう3月になってしまいました。遅筆にて先月はブログアップできずすみません。今回は腫瘍科にとって一番重要な病理検査についてです。
皮膚の腫瘤を局所麻酔で切除した際、ご家族は値段の高い病理検査を希望しないケースが多いと思います。確かに、境界が明瞭で、皮膚にできた腫瘤は良性病変もしくは良性腫瘍の可能性も多いと思います。
しかし、小さくても悪性腫瘍の可能性は否定できません。
なぜなら、腫瘤1g(検出できる一番最小の大きさ)の中には細胞が10億個いるといわれております
10億といえばインドや中国の人口に匹敵する数です。これが1gの中に入っているのですからその中に悪い人(悪性腫瘍の細胞)がいるかどうかなんて腫瘤を見ただけではわからないですよね
そのため、当院では腫瘤を切除した際は必ず病理検査をお勧めしております。
病理検査には大きく2種類があります(詳しくは表を参照)。
組織診断の方が腫瘤の確定診断を行う際には適しています。
細胞診は血液にいる白血球の仲間たちが腫瘍化した際には確定診断までできる可能性がありますが、それ以外では腫瘍の疑いがあるかどうかくらいの診断までしかわからないのが通常です。
そもそも、腫瘤の本体がどこにあるか目視では判らないのですから針で刺した場所に腫瘍の本体が含まれている保証はないのです。
そのため、FNAは医師の腕が必要となるケースもあるので、腫瘍を専門にしている病院で経験豊富な獣医師による実施が望まれます。
確定診断が出来れば病気の治療法や対処法、予後についてより詳しくお話しできることとなり、ひいてはご家族の不安を少し改善できることになると思います。費用がかかるからと倦厭せずに病理診断を快く受け入れていただけると幸いです
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