『むっさバリシブや…』
ひとめ惚れしたショーウィンドーの中の指輪。
それは尊敬してやまない海坊主デザインの奴。
中学生の小遣いでは絶対に買えん高価なもんで…
かとゆうて親にねだるとかありえへん存在。
…けど今買わんな無くなってしまう。
おかんに内緒で貯金箱割ったら
なんとか買える金額があった。
息を切らしながら店に到着して…
『いらっしゃいませ』
『あ…あの海坊主のん下さい。』
店員さんにそうゆうと
『これペアリングなんですけど…』
『ペア?1個だけ売ってくれへんの?』
少し困ったような顔して店員さんは
『実は…2つで一つのデザインになるように作られてまして…』
海坊主の粋な計らいらしい。
今まで1つの値段と思っていたのが1つの値段というのは
何よりも魅力的やし…
1点もんやし…
『オレ これ買います。』
『てなわけの指輪や』
『へー これが幻の海坊主リングか…』
小泉は指輪をかざしながらそのデザインを楽しむ。
『…小泉1個やる』
『ええーーーーーーええんっ』
『ええよ』
『返せゆうても返さんよ』
ええよ
オレ未来の恋人にと思って買うたから…
end