『あっちゃーんお客さん。リサちゃんやでぇ…』
『えっ?リサ?』
帰ったら電話しようと思ってたリサ?
とりあえず 上着と財布と携帯をボケットに突っ込んで玄関へと向う。
そこには今まで忙しいとかなんとかゆうとったリサがいきなり立っていた。
『こ…こんばんは 大谷』
『リサ…。おかん ちょっと出かけてくる。』
『えー せっかくリサちゃん来てくれてんからあがってもらったらええやん』
『…リサいくぞ』
『う…うん。あの また来ます。』
名残惜しそうにするおかんを無視してリサと歩く。
連絡ない間もずっと思ってた。何かしたんなら謝りたいと思ってた。
逢いたかった…
久しぶりに見るリサはファッション雑誌からそのまま抜け出してきたような雰囲気。
さすがダテにモデルなんかやってない。
なんかまぶしく見えて思わず目をそらした。
『ファミレス…ジョイフルでええか?それともそんな所嫌か?(笑)』
『えっと…あんな時間あんましなくて…ちょっとそこの公園でしゃべらん?』
連れて行かれたのはよく2人でしゃべった公園。
あの頃とかわらんベンチで缶コーヒーを片手に座った。
『こっちに来るんなら連絡くれたらよかったのに…』
『急に撮影決まったから…ちゅうかいきなりやったらあかんの?』
『えっ?あかん事ないけど…』
ゆうてくれてたらいろいろ用意しとくのにとゆうたら…
『ゆうたら あの女の子と遊びに行ったりせえへんかったよね…』と言われた。
あの女の子?遊びに?もしかして今日海で撮影してたのはリサん所?
『あれは…』
『大谷 あの子は大谷のなんなん?なんで…』
頬にキスとか抱きつかれたり おんぶとかしてたん?
『リサ おまえ見て…『見てた 全部みてた。鼻の下伸ばしとる大谷とか…』』
『誰も伸ばしてへんし川島とはなんもないっ』
『なんもない子と…』
『おまえこそ…オレがメールしても電話しても連絡なしで あのアンリとかゆう奴といちゃついてて…』
『あたしとアンリはそんなんやないってゆうたやんっ!!』
『オレも川島とそんなんやないっ!』
リサは『もうそんなんどうでもええ…』なんて消えそうな声でつぶやいた後
気まずそうにオレの目の前に袋を差し出した。
『こんな時にごめん。大谷お誕生日おめでとうと…遅ぅなったけど就職おめでとう。』
定番であるオレンジ色の袋
モノにあたったりするほどアホやないし正直プレゼント用意してくれとった事は嬉しい
『あ…ありがとう。あけてもええ?』
『うん はよあけてみてっ』
開けるとHERMESと書いてあるオレンジ色の箱が出てきた。
その中から現れたのは 茶色の手袋
『手袋 へたったゆうてたやん。だからほらあたしのんとお揃い。』
リサは自分の分の手袋もひらひらとオレに見せた。
『それラムスキンってゆうやつでな。使い込むほどええ色になんねんで…』
『・・・いらん。』
『えっ?いまなんてゆうたん?』
『・・・いらんってゆうた。気にいらんねん』
『なんで?えっと色?それともサイズ…』
『全部。やっぱリサ おまえ変わったわ。モデルになって生活が派手になったみたいやな。
正直オレは庶民やし ついてけんわ(笑)』
『そんなん…。』
わざわざ家まで祝いに来てくれたのめっさ嬉しい。
けどやっぱしオレにこの手袋不釣り合いやろ?
この手袋いくらするかしっとる。
姉ちゃんにねだられて アホかってゆうた覚えがある
ペアで買ったらオレの手取り1か月分以上
そりゃリサはモデル様やねんから こうゆうの似合うかもしれん。
けどお揃いでHERMESなんて金銭感覚も信じられん。
『リサ 話はそれだけか?』
『えっ?』
『オレ忙しいねん。この後 川島と逢う約束しとるから…』
『そう…なん。川島さんと…』
さっきの腹いせ?でウソをつくオレは卑怯者
『人気者にわざわざ来てもらってすまんけど それ持って帰ってくれ』
リサは泣き出しそうな目を必死にこらえて笑った。
『気にいらんの持ってきてごめんな…。ほなあたしもアンリも待たせとるから行くわ…。』
『おぅ。言葉だけ貰っとくわ。ほな』
『うん…。』
リサを残して公園から去った。もうオレら終わりかもしれん。
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