Der König Hat Eselsohren

山口晃 トークショー@キャンパスプラザ京都

この2日間は画伯三昧(笑)
しかも初っ端からトークショー♪

それにしてもな~、ここまでやるか?!って感じ。
だって画家のトークショーのチケット、600円で売るって!!(ただし展覧会の入場付き)
しかも250枚売り切れって!!Σ( ̄□ ̄;)
世の中何か間違ってるね。
わざわざ遠征してくる自分が一番どうかと思うが(笑)
でも、隣に座っていた人も、どうも遠征っぽい…。



画伯は珍しくネクタイにジャケット姿で登場。
午前中、平等院で奉納式をしてきたためだとか。
ネクタイはエルメスです、色々あって…と(笑)

7月の講演と違って、今回は特にテーマが決まっているわけじゃなく、宣伝のためなので、次から次へと話が飛ぶ飛ぶ(笑)

新刊「ヘンな日本美術史」の宣伝をしなければならないので、おなじみホワイトボードに本のタイトルを書き始めたが、マーカーの線が細い。
この会場の広さでは後方では見えないんじゃないかと、他のマーカーに持ちかえると、より一層書けない。
ホワイトボードいっぱいに試し書きをした挙げ句、
「このペンではキュートな、いやタイトな線しか書けませんので…」
ホワイトボードを移動して、黒板に向かい、「術」まで書いたところで、他の話を始める(笑)

以下、順不同で覚え書き。

《謝意の話》
黒板の端に、今日、話さなければならないことを「平」「ヘン」「展」と覚え書きをして、さらに「謝」。
偉大な作家は謝意を示すのが上手い、散々わがままを言った挙げ句、最後に最大の謝意を示すのが大物。
自分はいつも「どうぞどうぞ好きなようにやってください」と遠慮した挙げ句、自分の思うような展覧会にならない(笑)

《本の話》
・今日は本の宣伝をしなければならないけれど、編集者は地域のマラソンか何かに行っていて、ここには来ていない(笑)
・今回の本には図版を多く入れたけれど、MOA美術館が持っている「伊勢物語」だけは図版を借りるのに莫大な費用がかかってしまうので、編集者が「描いてください」と。
本の値段に跳ね返っちゃいますので。
だからここだけ自分で描いてます(笑)
辻先生はこの図版を借りているが、MOA美術館曰く、「辻先生は特別です」。
・本の内容は、数年前に講演したものを元に、自分が話した内容を編集者が文章に書き起こし、そこへ手を入れる形で作ったけれど、「自分の喋ったことが文章になっているのを読むのは気持ち悪い」。
なので、原稿がなかなか進まずにいるうちに、新発見があったりして、そこも直さなければならなくなってしまった。
しかも、最後の章は自分で書いたので、その前までの文章と違ってしまっている(笑)
・「ヘンな日本美術史」というタイトルは編集者が考えた。「日本美術史」だとガチな人が買っちゃったらマズイので(笑)

《大山崎山荘美術館の話》
・以前、ここで講演をしたときは、確か大山崎のとき。
・あそこの安藤忠雄が設計したところが、半地下で、円形で。
・円形ということは、壁に平らなところがない、ということで、展示がしにくい!
・しかもあそこはモネの作品が3点あるというのが売りなので、それを必ず展示しなくちゃいけない。
自分の前にあそこでやっていた展覧会では、会場の一角にモネの作品を全部集めてしまって、そこだけなかったことにしていた。やられた!と思ったけれど、自分も同じことをするわけにはいかない。
・なので、コンクリート打ちっ放しの壁の模様を、見立てということにしてみた。カニ、とか。←カニと言うより宇宙人のような絵(笑)

《平等院の話》
・襖絵を描く話を持ってきたのは三潴社長ではなく、別の人と朝日放送の人で、住職に引き合わされて描くことになってしまった。
三潴社長はあとからその話を聞いて、へっへっへ…と(笑)
で、今日は三潴社長は来ていない。
大阪国際美術館の宮長さんの講演の方に行ってしまった。
こっちの裏にぶつけてきた…いやいや、こっちがウラか(笑)
三潴社長がつぶしにかかっている(笑)
あ、似顔絵が似てきた!!

《似顔絵の話》
・似顔絵でコレクターをひとり失った…。
・似顔絵といえばこの人ですよ!(さらさらとカミさん。今日はひときわヒドイ…(笑))。
・昨日京都に来て「何か美味しい物食べたい」って…。カミさんの親戚からいわれるんですよ。「あの子はそんな子じゃない!!」って…。

《再び襖絵の話》
・襖絵を描いたのは養林庵書院のかつて土間だったところ。その隣からが重文(笑)
入って右手と正面に襖絵を描き、隣の部屋との境になる左手の襖は、下の方にびっしりと「南無阿弥陀仏」とだけ書いてある。そこを開けたときに入ってくる光が「白道」という趣向
・構想から3年くらい掛けて描いた。
・けれど期日までに描き上がらなかった(笑)
・なので襖絵に仕立てる表具師さんのところに行って残りを描いた。邪魔ですねぇ(笑)
・すると表具師さんの仕事場で、クラプトンがかかってるんですよ、クラプトン!(黒板に「クラプトン」と大書)。そうかと思うと小田和正がかかって、それから吉幾三(笑)
・吉幾三はすごいですよ。日本で最初のラップですから。YouTubeにELLEGARDENっていうバンドのギターと「俺ら東京さ行ぐだ」をくみあわせたのがあってですね、これがぴったり合うんですよ。「俺らこんな村ーイヤだー♪」のところも、メロディーは違うのにコード進行が同じで。「俺らまんだー」で検索してみてください。

《修復の話》
・平等院の今の住職は、平等院を昔の姿に戻していっている。例えば鳳凰堂の前に池があるのだけれど、そこを砂州に戻したり。
・平等院は、今、鳳凰堂が修復中で、全体が覆われているんですが、これがいいんですよ。(と、幕に覆われている鳳凰堂を描く)。
幕の向こうに立っている柱とかが感じられたり、時間帯によって幕の向こうが透けて見えたり。
・よく修復するのに幕の上にそこにある建物の姿なんかを印刷しちゃったりしてるのがありますが、あれはダメですね。
・修復と言えば、東京駅にはがっかりしました。
・(再び鳳凰堂の話に戻って、本来の鳳凰堂の輪郭を一筆書きして)あ、さっきのカニだ!
・修復中の鳳凰堂の方が珍しいんですから、ぜひじっくり見てください。

《展覧会の話》
・出品される予定だった作品が、出品してもらえなくなってしまって、壁が一面空いてしまったので、そこに絵を描いておきました。
・この展覧会に合わせて、新しい作品集が出る予定だったのが、結局間に合わず、11月20日頃出る予定なので、11月24日にサイン会。

《質疑応答で「メカっぽい絵」について訊かれて》
・今回、父親に子供の頃に描いた絵を送ってもらったら、小さい頃から汽車とかを描いていた。車輪が付いているものとかがやはり好き。ところが、たらいにも車輪が付いていた(笑)
・今回の襖絵は来迎図を描いたのだが、普通は雲に乗った阿弥陀様があの世へ人々を連れて行くところ、汽車で連れて行く絵にした。その人のくらいに合わせて、車両もも1等2等3等と。功徳を積んでいない人は、下の方を歩いてあの世へ向かう。
・あの世へ行く汽車なので、釜にくべる燃料は…。その白い煙を汽車が吐き出すという図。


(汽車なんかを喜んで描いていた子供の頃(ちょびひげ!)と、その後になってもメカを描いている20歳頃)

・この頃、知らないおじさんにイラン人に間違われて、色々おごってもらった挙げ句、家に連れて行かれた。家の人に、「お父さん、この人イラン人じゃなくって、芸大の学生さんよ」と説明されて、「なんだ、だったら帰れ」と解放された(笑)←確か「すヾしろ日記」にも書いてましたな。



…結構忘れてる話も多そうだけれど、ざっとこんな感じ。1時間半弱で終了。


その後、会場の外で、サイン待ちの行列ができていたけれど、サインしてもらうようなモノは何も手元にないので、そのまま会場をあとにしました。
もはや、サイン自体が欲しいわけじゃないし(笑)
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