Der König Hat Eselsohren

「311」森達也トークイベント付き上映



上映終了後に、場内に掲示されているポスターの写真を撮ろうと思っていたのだけれど、ちょっと出来なかったので、映画館の外にて。
見づらいけど(笑)


最初、アサヒ・コムで紹介されているのを読んだのかなぁ?
とにかくこれは見に行こう、と思ったのが春先。
ただ、その時点で、福岡での上映予定がなく、渋谷で見ようかと画策したものの、どうしても時間が合わず…。

そうこうするうちに、KBCシネマで上映されることになったので、ずっと待っていたのでした。

なので、見に行けるのであればいつでも良かったのではあるけれど、どうせなら森達也のトークイベントがあるときの方がお得(笑)
そんなわけで、土砂降りの中、KBCシネマへ。

さすがにトークイベントがあるだけに、客席は満杯。
というか、脇の通路にずらっとパイプ椅子が並ぶ。
TVで流れているような、お涙ちょうだいのドキュメンタリーではなく、もちろん娯楽映画でもないので、場内は、緊張感とも違う、何とも言えない雰囲気。


内容自体は、想像を遙かに超える、というようなものではない。
もちろん、TV中継よりも、もっと生々しいものではあるけれど、ショッキングな映像が続く!なんて代物ではない。

ただ、手持ちカメラで、雑音なんかも平気で入りつつ、あるいは人の話が良く聞き取れなかったりしつつ、という映像が延々続くので、実際の尺以上に見ていて疲れるし、車酔いのような気持ち悪さを感じる。

それはともかくとして、TV番組のような、作り手の意図をすぐに察知できるような作り込み感がなく、どちらかと言えば、偶然の出来事が多く配されているように見えるけれど、その実、良くあるドキュメンタリーの延長を離れるものではないな、と思っていたのだけれど…。


トークを聞いた限りでは、あながちそれは間違いではなかったようで。
メディアのいやらしさを見せるドキュメンタリーと言えるらしい(笑)


トークの中で最も印象に残ったのは、「不謹慎」と「集団化」。


震災後、「不謹慎」の言葉の元に、他人の行動を非難・糾弾する風潮が広がったけれど。

そのことについて、最近、タイで上映をしたときに話をしたら、通訳が「不謹慎という言葉を訳せない」と。
確かに、その対訳というか、概念というか、それはタイ語のみならず、英語やその他の外国語にはほとんどない。

しかし、日本では、その「不謹慎」という言葉の元に、行動が制約されてしまう。

しかも、そこで個々の判断がなされるならともかく、集団化され、思考停止してしまうおそれが多い。
こういう災害の後なんかは、声の大きい人の下に、集団化が起こりやすい。


うん。
私もそれが嫌なんで、あれこれと「不謹慎」すれすれのことをやった覚えがあるけどね(笑)
まったくもって、集団化されて、行動が制約されるのがいやなのよf(^_^;


あと、これは出るだろうなぁ、と思った、エンディング近くの捜索場面。
発見された遺体がちらっと映っていて、捜索活動をしていた行方不明者の家族が激怒する、という場面なのだけど。

確かにこれ、日本では絶対にタブーだ。
なので、画面では、謝罪し、弁明し、さらに撮影を続行しようとする、というシーンが続く。


でもこれ、見方を変えれば、この謝罪や弁明が、既に日本的な行動なんだよね(笑)
海外のニュース番組だったら、死体が映ってるのなんて、別に珍しくない。
現にスマトラ島の津波直後、ドイツのTVで相当ショッキングな場面が流れてたよf(^_^;
今だって、どこそこでテロ、なんてニュースの画面には、死体がごろごろ転がって、その傍らで家族が泣いている。



今回の映画で、出てくる人全員について、承諾なんか得てないし、そんなことをしていたらドキュメンタリーなんて出来ない、そのためには肖像権や人格権を踏みつぶしている、なんてコメントをしていたけれど、日本はそういうことに対する保護が、異常なスピードで過剰に傾きつつあって、ホントに息苦しい。
言論の自由、表現の自由、行動の自由、国家からあからさまに害されることはなくても、一般人同士の間の牽制によって確実に奪われつつあるよ。

そんな一面も、この映画とその評から垣間見えた。

だって、この映画の「不謹慎」な場面の筆頭である、「放射線量が上がっていくのを見てはしゃいでる」場面。
いったいどんな?と思っていたら、実際に原発の近くへ向かっていく車中での線量計の数字の話。
絶対に自分がその場にいたら、同じような反応をすると思うけど。

実際、終わった後、パンフにサインをしている森氏が、「あれは怖いから、ああなっちゃうんですよ」と言ってるのが聞こえたし。


そうそう、トーク終了後に、映画のパンフにサインをしてもらえる、というので、結構な列が出来ていたけれど、しばらく考えて、並ぶどころかパンフすら買うのをやめてしまった(笑)

だって、サインくれるって言ってもねぇ。
そりゃ、氏の著作はこれまでにも何冊か読んではいるよ。
でも、取り立ててファンというわけじゃないし、サインもらっても別に嬉しくない。
来年あたりには断捨られる運命?!と思ったら、別にいっか!!って感じ(笑)
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