『PHOTOSAI』Vol.26で掲載した「石内 都 展 都とちひろ ふたりの女の物語」(ちひろ美術館・東京)は
1月31日(金)まで開催中です。私も観てきました。
2000年に亡くなった母・藤倉都の遺品を写真に撮り続けていた石内都さんは、
母と2歳違いの絵本画家いわさきちひろと母に驚くほど共通点が多いことに気づきます。
2019年1月、石内都さんは安曇野ちひろ美術館で、いわさきちひろが身につけていたワンピースや帽子、口紅などの遺品を撮影しました。
一人の女として生きたいわさきちひろと母の人生をテーマにしたのが今回の展示「石内 都 展 都とちひろ ふたりの女の物語」です。
今回の展示会場の作品は、現代の若者向けショップの店頭に並んでいても不思議ではないような洋服や、
夫の隣で幸せそうな笑顔の女性、車と一緒に写った女性の写真などです。
1916年(藤倉都)と1918年(いわさきちひろ)に生まれた二人の女性が、まるで今、私たちと一緒にいるかのように思えます。
女性の人生がテーマになっていますが、写真家としての石内都さんについて、ファッション文化について、
そして一人の女性の生き方の面でも、観る人によって多くの気づきが得られると思います。
もちろん、母と子の関係について感じることもあるでしょう。
一人の女性が身につけていた品々を撮影した写真が作品として自立し、こんなにも観る人に訴えかけてくることに驚き、
藤倉都、いわさきちひろ、そして写真家の石内都さんという3人の女性のパワーを感じます。
写真を撮る人にはぜひ観て欲しい展覧会です。
「遺品を撮る」という誰にでもできそうな行為ですが、継続し、出会いがあり、撮影者の洞察力によって、
「記録する」という写真本来の目的が生かされたストーリー性のある作品として完成しているのが
この展覧会の凄いところだと思います。
写真を続けていく力がわいてきます。
「石内 都 展 都とちひろ ふたりの女の物語」は1月31日(金)まで、
ちひろ美術館・東京(東京都練馬区下石神井4-7-2)で開催しています。
【HP】chihiro.jp