1001タイ映画、千夜一画 

タイ映画またはショートフィルム他で心の琴線に触れたアーカイブ。

Born to Fight  タンブンの構造と輪廻

2005-10-03 21:31:19 | Weblog,
 ほんとうにウンザリするような光景だ。この映画の出来の話しではない。施しを提供する方と、その施しをされる側。テレビでは毎日のように利益に比べて僅かばかりの金額の寄付をするスポンサー企業の広報ともいうべき詰まらないシーンをニュースと称して垂れ流しをしている。日系電気製造大手がタイの地方で公道の蛍光電灯を無償で寄付するシーンなど本当は地方の行政で負担しなければいけないサービスだと思うのだが、企業は真剣に大型バスをチャータし「全国夜になると寂しい歩道に蛍光灯の光を!」という社会貢献を掲げ、この目的遂行のためのキャンギャルを含むキャラバン隊を結成してマスコミを総動員して声を高らかに宣伝をしながら全国を徘徊する。

 こうした活動でたいてい犠牲になるのが地方のヒマそうな公立の小中学生でTシャツ一枚か文具セットを下肢される条件で「蛍光灯を本当に寄付をしましたよ」という報道向けの映像製作に駆り出され、利用される。そう、都会風なキャンギャルも五年前にはオカッパ頭で趣味の悪いタイ特有な生地でできたガールスカウトの制服をまとってこうしたイベントに参加をさせられていたのだろう。つまり彼女達は小規模な”故郷に錦”を飾ると同時に退屈な田舎の生活にアキアキしている子供達に「オレも都会に!」という永久に繰り返される夢の始まりでもあるのだ。もともと中央政府の歳入の良し悪しに関係なく予算が極端に少ない地方の役所ではこうした企業の売名付き寄付は大歓迎。地方の役所へいくと”モノホシ顔”の小役人がいたるところで生息している。

 警察の特殊部隊の主人公が一般生活の所属先としている健康保険省が地方へキャラバンに出発する。つまりタイ政府が地方への僅かな援助、スポーツ振興のための大義名分を掲げた大袈裟なツアーにフラフラと参加する。この地方と都会の経済格差のためのもったいぶった活動という説明がないと多分どういう活動なのか理解に苦しむだろう。スポーツ道具だけ配分するならばクロネコヤマトの宅急便でいいのだが、政府機関のツアーにはスポーツ啓蒙と健康診断という村民にとってははなはだ有り難迷惑の押しつけイベントなのだ。医療チームは今後どのように村民をサポートするのだろう。それでも何もないよりは緑色のマイロー(Milo_ココア味の麦芽入り飲料)を一本もらうだけも大変な変化なのだろう。

 最初の大型トラックの爆破シーンやアクションは迫力満点。でも主題はここから。撮影されたのはビルマとの国境付近だが、農村ジャックをして中央政府を脅迫するのテロリスト集団のユニフォームやイメージは、かの悪名高いクメール・ルージュ。こうして村民無差別殺人が始まるが、このくらい資金に余裕があり、高度に訓練された人材を有するグループならもう少し効率的な方法があると思うのが・・・。

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