1001タイ映画、千夜一画 

タイ映画またはショートフィルム他で心の琴線に触れたアーカイブ。

DARK WORLD (Thailand) 第三次大戦後のタイのチープな世界

2022-04-19 08:41:25 | タイ映画

https://www.bilibili.tv/en/video/2012927164

https://www.bilibili.tv/en/video/2012927164 タイ語だが映像がクリアなサイト

 

第3次世界大戦後、放射能灰に汚染された地球。というとダークな近未来のティピカルなTextで今世紀になっても使い回されているが、現実はウクライナとロシア戦争の結末次第では可能性も人類の選択の一つになりそうな雲行きだ。独裁者一人の決定でこうした北京や王室抜きのタイ社会が実現しても、こういうチープイミテーションの社会が実現する可能性は低い。これがThaiのNetfilix作品なのかわからないが杜撰なスクリプトがタイの近未来までも台無しにしている実例だろう。

表面上はあの映画『ブレードランナー』を真似ているが、放射能も宗教や環境設定は無視されて、まるで不良高校生たちの今の日常生活は安っぽいアクションSFのようで、裏のスポンサーや仕切っている存在がセリフのやり取りだけで外国人には理解し難く、多分日本語にしても鑑賞者の同意は難しいだろう。

作品紹介には第三次大戦後の世界の枠組みや経済が崩壊した後のゲーム的な「伝統的な淫行である」(?)と説明しているが、国家や官僚、警察、軍、王室組織の表面的な葛藤も意識の外にある。現在、この国を支配してる立憲君主制と中国の圧力の未来に希望があるのか、映画や文章で悟られずに表現するのが表現者の特権で使命であるのだが相変わらず金と物欲が中心で形而下の動きは性欲だけということなのか。

K.デイレックの「電気羊はAndroidの夢を見るか」の最大限の解釈として、世界最大の食品大手CPグループ(このスポンサーである)がEuroで生産している超近代的な無人の食品加工工場の方が余程SF的であるのは間違いないだろう。その兆候と予感はタイのCPが運営するセブンイレブンでのビックデータを元に入場した顧客の選別を行い売り上げ予測を何年も前から導入して、その後は何も公式な発表はない。しかも店内の小口金融で小銭を掻き集めクーポンで囲い込みで行い、そして示された作品がこのレベルでは知的貧者の絶望である。

SNSでは短期に低予算でこれだけの作品を制作できたのは秀悦なスクリプトの結果だというフェイクな記載。この作品の勝者は台本でも俳優でもなく映像の撮影者と編集者であることは間違いない。スクンビットの下町やラクカムヘンからの疲弊した汚職を予感させる卓越したショットはこれからもアジアのダークな近未来映像のお手本になるに違いない。

仮に核戦争が勃発してもタイに投下される可能性は限りなく低いが、タイの警察や移民局での動きはタイのイスラム化を浸透させているという現実に下町ではゲームの胴元がコーラーンを唱えるのを止めることはないだろう。


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