汗と涙の着物生活 

突如着物に目覚め、ついに着物作成に挑戦。着付けに涙し、とどまらぬ物欲に冷や汗の毎日。

「かまわぬ」尽くし ~四月大歌舞伎 昼の部

2011-04-17 | 歌舞伎
なかなか余震のおさまらない関東地方ではあるが、気にしていたらしょうがないと、以前のように週末着物を再開している。歌舞伎観劇には、もちろん着物!

この日は、初夏並みの暑さとなり、羽織を用意していたがとても着る気になれなかった。帯もなるべく軽めのものを締めたいが…と散々悩んだ挙句、思い出したのがこちらの生紬の帯。



<苦心の後ろ手撮影!>

「かまわぬ」柄ということで、成田屋の出演する歌舞伎の舞台にはぴったり~と、自己満足。これに、ちょうど1年前にも紹介した「かまわぬ」柄のうそつき襦袢をコーディネート。


ところで、帯の柄をもう一度みてほしい。

「かまわぬ」ではなく、「かまぬわ」?

リサイクルショップで買ったこの帯、出会った時から「おや?」と不思議に思った。
もしかして型を間違えちゃったまま染めてしまったんだろうか?

しかし細かいことは気にしないワタクシ。「ま、いいか」と買ってしまった。
案の定(?)、他人様から「かま『ぬ』わですね」と指摘されたことはない。
むしろ「かまわぬ」柄をほめていただけるので、自分からばらして笑いをとる。
そういう意味ではネタにできる貴重な帯なんである。
やっぱり買ってよかったよ(笑)。

さて、この日の舞台では、一幕目の「お江戸みやげ」上演中に、かなり強い地震があり、一時劇場内は騒然。しかし舞台上の翫雀丈が「ゆれちゃって」とアドリブを入れた瞬間、笑いが起こり、そのあとは観客も落ち着いた様子。

ちょっと無理やり感のあるアドリブではなかったけれど、人が浮ついたときに、舞台に注意を向けさせるのに、ちょっとアドリブを使うというのは重要だなあと思った次第。(役者に限らず、いざというときに、びしっと人をまとめる原稿って、リーダーも同じく重要なのだよなあ…と某国の大臣たちを思い出す)

この一幕目の「お江戸みやげ」は初めて見る演目だが、ちょっとしみじみしてしまった。働きづめに働き、お金をためることが生きがいの後家の女性が、一目見た役者に心を奪われ、江戸で行商した売上すべてを、その役者が恋人と結ばれるためにつぎ込んでしまうという話。ややデフォルメはしているが、働く女性の舞台に求めるものを表していて、ちょっと身につまされてしまった。
三津五郎丈の女方も初めて見たが、まじめ一筋の女性の強さと悲しさがよく出ていて、よかったなあ…。

「一條大蔵譚」は、菊五郎、團十郎、時蔵、菊之助と揃うと華やかですなあ。この演目、
菊五郎丈の「つくり阿呆」を楽しみにしていたのだが、どうしようもない睡魔が…。まあ菊パパのおちゃめぶりが楽しめたので、満足。

最後の「封印切」は、藤十郎丈のお手のものですなあ。何度目かのはずだけれど、ぜんぜん飽きない。わたしゃ、こういう、どこかユーモアがあって笑わせながらも、悲劇にもっていく上方ものは好きだわ。

藤十郎以外にも松嶋屋と、上方役者勢揃いの中、八右衛門を演じた三津五郎丈の関西弁がむちゃくちゃうまいのにびっくり!(ちなみに私は小学校は大阪で過ごし、関西弁はよくわかるのよ)いくら主役たちがうまくても、この八右衛門がうまくないと、面白さ半減だもの。「お江戸みやげ」のお辻といい、今日の舞台については、三津五郎丈に拍手!

■演目と配役■

一、お江戸みやげ(おえどみやげ)
                  お辻  三津五郎
                 文字辰  扇 雀
                  お紺  孝太郎
               鳶頭六三郎  亀 鶴
               角兵衛獅子  巳之助
                女中お長  右之助
                市川紋吉  萬次郎
                阪東栄紫  錦之助
                 おゆう  翫 雀


二、一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)
  檜 垣
  奥 殿

              一條大蔵長成  菊五郎
                常盤御前  時 蔵
               八剣勘解由  團 蔵
                  鳴瀬  家 橘
                  お京  菊之助
               吉岡鬼次郎  團十郎


  恋飛脚大和往来
三、玩辞楼十二曲の内 封印切(ふういんきり)
               亀屋忠兵衛  藤十郎
                傾城梅川  扇 雀
             丹波屋八右衛門  三津五郎
              井筒屋おえん  秀太郎
              槌屋治右衛門  我 當

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10 コメント

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Unknown (Tomoko)
2011-04-19 07:19:27
こんにちは。
それ、下から上へ読み上がると、ちゃんと「かま◯ぬ」になってますが、何かの洒落ではなくて?
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え!? (はつき)
2011-04-19 07:39:23
Tomokoさん

え!下から上へ?
ほんとだ!!

そんな読み方をしてくれたのは、Tomokoさんが初めてですよ。買ったお店の人だって「これって間違えちゃったんですかね」と聞いたら「どうなんでしょう…」とごまかして(?)いたぐらいですから。
わー、なぜ下からなのかはわかりませんが、なんだかすっきりしました。ありがとうございます。
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Unknown (黒猫)
2011-04-19 11:12:53
色々謎の多いかまわぬ柄ナイス!劇場でみかけたら「やるな~」と思っちゃいますよ。7月には海老蔵も復帰するとの事ですし楽しみですね。

三津五郎の八右衛門はいい味だしてましたよね。関東人の関西弁っていつもイライラするんだけどそんな事もなく、ネチネチ具合もノリノリでよかったです。

私も「お江戸みやげ」の爽やかさには癒されました。今月の昼はなかなか楽しめましたよね。
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満足~ (はつき)
2011-04-19 12:46:05
黒猫さん
今月は、ひさびさに「歌舞伎みた~」という満足感いっぱいでした。上手側正面寄りの二等という席もよかったのかも。
演舞場は、席の選びによって満足感が全然違っちゃうから難しい。どの席でもそれなりに満足した歌舞伎座って、やはりすごい劇場でした。
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かっこいい~ (神奈川絵美)
2011-04-20 11:57:07
こんにちは! 粋ですねぇ、お召しの帯。ソフトな海老茶も江戸っ子ライクでかっこいいです!
確かに、何かの意図か遊び心があって、逆に読ませるようになっているのかもと私も思いました。
お着物の袖からのぞく、オレンジ系の襦袢もはっと目を惹きますね
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Unknown (はつき)
2011-04-20 23:54:55
絵美さん
やはり何か意図があって下から読ませているのでしょうか…。皆さんに誉めていただいたから、ま、わからなくてもいいんですが(^^ゞ
オレンジ色は裏地ですね。昭和っぽく思えて、取り換えてしまおうかと思ってたんですが、誉められたからしばらくこのままでいいかな…誉められ弱い私です。
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Unknown (のの吉)
2011-04-23 17:06:37
素敵ですね。
ちなみもの、ってのを上手く扱えません。
そのものスバリだと野暮な気もするし、
観劇後、あっ持ってたわ。と思ったり。
なんにせよ演目をもう少し勉強しないと、と思いました。
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ちなみもの (はつき)
2011-04-23 20:43:29
のの吉さん

> そのものスバリだと野暮な気もするし

そうなんですよ!
勧進帳柄の着物も、喜び勇んで買ったものの、最近、「勧進帳」に着ていくのがちょっと恥ずかしい私です。
「勧進帳」なら巻物とか、菅原道真が登場するから梅柄とか、そのぐらいのひねりがしゃれてますよね。あーあ、大変な世界に入ってしまった…
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判じ絵 (やっぴー)
2011-04-24 10:30:09
梨園染のお店を覗くと両方の柄がありますよ。
判じ絵なのでどちらからでも読めるように
なってるんじゃないですかね~?

昨日は嵐の中、夜の部に行ってきました。
よかったですよ~♪
(後始末の気力が無いので洋服ですが w)
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判じもの (はつき)
2011-04-26 08:36:30
やっぴーさん

そうか、他でもこの向きのアイテムあるんですね。安心しました(^^)v。

私は今月は、ちょっと余裕がなく、夜の部は見送りました(泣)。評判良いので臍を噛んでます…
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