地震の翌日12日に見る予定だった新橋演舞場の夜の部は休演となり、翌週19日に振り替えた。しかし、その週、首都圏を右往左往させた計画停電の影響か、この日の劇場は空席が目立った。入りは2/3といったところだろうか。
途中、休憩中に大きな余震があった。以前にも観劇中にかなり大きな地震があって、その時は何人かの人が出口に向かったものだが、この日の観客は見たところ誰も帰らなかった。こんな日にあえて観劇に来るぐらいだから、よほどの歌舞伎好きが集まっていたとみえる。
かくいう私も、歌舞伎を見ながら地震でつぶされてしまうのなら、それもまた私らしくてよいかもという気がしてきて、せっかく来たのならしっかり見てやれという気持ちになった。ただ、作られたような科白に見ている方が気恥ずかしくなってしまうような新作歌舞伎が多くて、うーん、どうせならばりばりの古典歌舞伎で海老蔵あたりを見ながら地震にあったほうがドラマティックなのに~などと思った次第。
<3月は歌右衛門追善公演。歌右衛門丈の舞台は、最晩年にに一度しか見ていないだろう私。なんだかちょっとおどろおどろした印象を持っているんだが…全盛期を見ていると違う印象だったかな>
今月は、国立劇場の歌舞伎もあったので、演舞場は昼の部だけを見るつもりだったのだが、地震のせいでかえって「やっぱり歌舞伎みよう」と歌舞伎熱がヒートアップしてしまった。歌舞伎はナマモノ。見たい時に見ておかないと明日には見られないかもしれないし。というわけで、夜の部のチケットを楽日にも追加でとってしまった。
振り替えた19日は停電で電車が動かなくなったことを案じて洋服だったが、楽日はひさびさの着物で歌舞伎観劇となった。
この日、着ていったのは「紫紺染」。岩手県盛岡にある「草紫堂」さんの南部紫根染が有名だが、私のはリサイクルものでノーブランド。それでも地震被害のひどかった東北地方を応援する気持ちを表したくて、あえて北国で作られる紫根染を着ることにした。
「紫根染」は、小さい時に読んだ宮澤賢治の童話にも登場していたこともあり、着物を着るようになってからずっと憧れだった。でもお値段が…(涙)。手に入れるには相当長いことかかるだろうなと思っていた。ところが青山の「ちぇらうなぼるたさん」に入荷したと聞き、矢も盾もたまらず観に行ったのが2月のこと。そう、江戸小紋を買ったばかりのスカンピーのとき。
最初にあてたとき、我ながら「似合う!」と思った。が、リサイクルとはいえ、それなりのお値段がするのですぐには購入できなかった。そんな私の背中を押したのが、着物ともだち達。諦めきれなくて青山を再訪した私の背中を思いっきり押してくれた。その勢いであえなく舞台から飛び降りた次第…。
着てみると軽くて、絞り部分が空気をよくふくんでくれるせいか、軽くて温かく、大満足。しかーし、この着心地と引き換えに、しばらく先まで、お財布は心もとない状況が続くのである(涙)。がんばってお仕事して、もう少しお金がたまったら、今度は本当に東日本の工芸を買いたい。
さて、歌舞伎であるが、楽日にみた昼の部は、現代ものばかりの夜の部に比べ「先代萩」「御所五郎蔵」と古典が揃い、歌舞伎の雰囲気を堪能できた。
ただ魁春さんの「先代萩」の政岡役は、結構期待していたのだが、もうひとつ細やかさが足りないというか…。思わずこみあげてくるものがある、「でかしゃった」のシーンも何だかあっさりと終わってしまった気がする。
楽しみにしていた、「五郎蔵」の菊五郎丈は、あいかわらずの格好よさ。やっぱりこの人はこうした江戸の伊達男が似合う。一方、相手役の吉右衛門丈。夜の部の「源氏物語」、匂の宮役では、科白が心もとなかったが、「五郎蔵」の星影土右衛門役では安定感があった。ただ、敵役ならもうちょっと嫌な感じが強く出てもよいのになあと、物足りなさを覚えたのも確か。
今年に入って歌舞伎には遅刻しまくっている私。この日も遅刻して、もう一つのお目当てだった「恩讐の彼方」の菊之助丈を見られなかった…。計画停電の影響で、まだまだ電車が本数が少ないのを甘く見ていたよ。加えてこの日は強風で遅れに遅れ…。
でもやっぱり舞台は楽しい。特に楽日は客席もほぼ埋まり、役者さんのご夫人方やご贔屓で賑わいを見せていた。ふさぎがちだった気分もおかげで晴れた。松竹さんには、批判もあるかもしれないが、がんばって歌舞伎を上演しつづけてほしい。
途中、休憩中に大きな余震があった。以前にも観劇中にかなり大きな地震があって、その時は何人かの人が出口に向かったものだが、この日の観客は見たところ誰も帰らなかった。こんな日にあえて観劇に来るぐらいだから、よほどの歌舞伎好きが集まっていたとみえる。
かくいう私も、歌舞伎を見ながら地震でつぶされてしまうのなら、それもまた私らしくてよいかもという気がしてきて、せっかく来たのならしっかり見てやれという気持ちになった。ただ、作られたような科白に見ている方が気恥ずかしくなってしまうような新作歌舞伎が多くて、うーん、どうせならばりばりの古典歌舞伎で海老蔵あたりを見ながら地震にあったほうがドラマティックなのに~などと思った次第。
<3月は歌右衛門追善公演。歌右衛門丈の舞台は、最晩年にに一度しか見ていないだろう私。なんだかちょっとおどろおどろした印象を持っているんだが…全盛期を見ていると違う印象だったかな>
今月は、国立劇場の歌舞伎もあったので、演舞場は昼の部だけを見るつもりだったのだが、地震のせいでかえって「やっぱり歌舞伎みよう」と歌舞伎熱がヒートアップしてしまった。歌舞伎はナマモノ。見たい時に見ておかないと明日には見られないかもしれないし。というわけで、夜の部のチケットを楽日にも追加でとってしまった。
振り替えた19日は停電で電車が動かなくなったことを案じて洋服だったが、楽日はひさびさの着物で歌舞伎観劇となった。
この日、着ていったのは「紫紺染」。岩手県盛岡にある「草紫堂」さんの南部紫根染が有名だが、私のはリサイクルものでノーブランド。それでも地震被害のひどかった東北地方を応援する気持ちを表したくて、あえて北国で作られる紫根染を着ることにした。
「紫根染」は、小さい時に読んだ宮澤賢治の童話にも登場していたこともあり、着物を着るようになってからずっと憧れだった。でもお値段が…(涙)。手に入れるには相当長いことかかるだろうなと思っていた。ところが青山の「ちぇらうなぼるたさん」に入荷したと聞き、矢も盾もたまらず観に行ったのが2月のこと。そう、江戸小紋を買ったばかりのスカンピーのとき。
最初にあてたとき、我ながら「似合う!」と思った。が、リサイクルとはいえ、それなりのお値段がするのですぐには購入できなかった。そんな私の背中を押したのが、着物ともだち達。諦めきれなくて青山を再訪した私の背中を思いっきり押してくれた。その勢いであえなく舞台から飛び降りた次第…。
着てみると軽くて、絞り部分が空気をよくふくんでくれるせいか、軽くて温かく、大満足。しかーし、この着心地と引き換えに、しばらく先まで、お財布は心もとない状況が続くのである(涙)。がんばってお仕事して、もう少しお金がたまったら、今度は本当に東日本の工芸を買いたい。
さて、歌舞伎であるが、楽日にみた昼の部は、現代ものばかりの夜の部に比べ「先代萩」「御所五郎蔵」と古典が揃い、歌舞伎の雰囲気を堪能できた。
ただ魁春さんの「先代萩」の政岡役は、結構期待していたのだが、もうひとつ細やかさが足りないというか…。思わずこみあげてくるものがある、「でかしゃった」のシーンも何だかあっさりと終わってしまった気がする。
楽しみにしていた、「五郎蔵」の菊五郎丈は、あいかわらずの格好よさ。やっぱりこの人はこうした江戸の伊達男が似合う。一方、相手役の吉右衛門丈。夜の部の「源氏物語」、匂の宮役では、科白が心もとなかったが、「五郎蔵」の星影土右衛門役では安定感があった。ただ、敵役ならもうちょっと嫌な感じが強く出てもよいのになあと、物足りなさを覚えたのも確か。
今年に入って歌舞伎には遅刻しまくっている私。この日も遅刻して、もう一つのお目当てだった「恩讐の彼方」の菊之助丈を見られなかった…。計画停電の影響で、まだまだ電車が本数が少ないのを甘く見ていたよ。加えてこの日は強風で遅れに遅れ…。
でもやっぱり舞台は楽しい。特に楽日は客席もほぼ埋まり、役者さんのご夫人方やご贔屓で賑わいを見せていた。ふさぎがちだった気分もおかげで晴れた。松竹さんには、批判もあるかもしれないが、がんばって歌舞伎を上演しつづけてほしい。
>見たい時に見ておかないと明日には見られない
本当にそうですね。日々悔いなく過ごしたいです。
着物、誉めていただき、ありがとうございます。白い部分が多いせいでしょうか。着てみると意外にすっきりしてました。年月と共に色が変わると聞いたので、これからが楽しみです。
着物や歌舞伎で、元気を取り戻せたことにも感謝です。
はつきさんの紫根染が素敵だった上に、四月の舞台を観て無性に紫色の着物が欲しくなってしまい困っています。。
洋服だと紫ってほとんど着ないんですが、着物だと着たくなっちゃうんですよ、私の場合。
同じ連休でも21日に振り替えましたが (^-^;;
昼の部はそこそこな入りでしたが
夜は結構空席が目立ってました。
いいですねえ、紫根染め♪
草紫堂さんの反物は高いから
暖簾を帯にできないか?と里帰りの度に思います(笑)
計画停電などと言われてしまうと、夜の部はなかなか出かけにくいですものね。(もともと夜の部はあまり埋まっていなかったのかもしれません…)
草紫堂は夫の盛岡赴任時代の家の近所だったのですが、当時は着物にあまり興味がなかったのでちゃんと覗いたことがありませんでした。ああ、もったいない…。
暖簾を帯にってよいアイデアですね!