Vばら 

ある少女漫画を元に、エッセーと創作を書きました。原作者様および出版社とは一切関係はありません。

ルイ14世の肖像画

2015-12-01 22:15:20 | つぶやき

 たいていの人が、世界史の教科書などで目にしているルイ14世の肖像画はこれ。斜めに構え、見ているだけでも高級で重たそうなマントを羽織り、おみ足を見せながらポーズを取る姿は、一度見たら忘れられない。

 

 「ルイ14世の肖像」1701年 イアサント・リゴー作

 描かれた当時、『太陽王』と呼ばれたルイ14世は既に63歳。完成した絵は玉座の間に飾られ、王が不在であっても、この絵に背を向けることは許されなかった。高さ2.77メートル。大きく描くことで王の権威を示したわけだけれど、それ以外にもこの絵にはルイ14世の威厳を印象付けるために、工夫が凝らされた。

1 自分をより大きく見せるため、高さ15cmの鬘を被り、ヒールが11cmある靴を履いた。王は人前に出る時、いつもこのようなお姿だったとか。首や腰が痛くなかったろうか?夏は鬘が蒸れて暑かったろうし---。

2 63歳にしておみ足を出す。王はバレエを習っていたため、バレエで鍛えた締まった脚が強調して描かれた。本人も自信があったのだろう。ルイ14世が踊るバレエ---当時最先端のダンスで、舞台中央で踊る王は、スター気分に酔いしれていたはず。鑑賞する貴族たちは拍手を強要されていたりして。

3 杖・王冠・正義の手(法の執行者の象徴) この3点セットはすべて王の権威を表している。

4 顔と体を合体 王は超多忙だったため、ゆっくりモデルになっている時間がない。背景はともかく、顔だけは正確に描きたい。そこでリゴーは小さいキャンバスを常時持ち歩き、ルイ14世の顔だけをじっくり描いた。そしてアトリエには高さ3m近いキャンバスを置き、背景とルイ14世の全身を描く。背景は宮殿内に実際にこのような場所があったかどうか不明。大理石の円柱を覗かせ、たっぷりとした赤いビロードの天幕を垂らしたのは、リゴーの想像だったかも?

 小さいキャンバスに顔部分が完成。大きいキャンバスに背景と全身姿が仕上がると、リゴーは顔部分を切り取り、大きいキャンバスに縫い付けた。この肖像画の顔部分をよく見ると、うっすら切れ目があるのが分かるらしい。(私にはわかりませんでした。)

 一枚の肖像画に、宮廷画家の苦労がしのばれる。

 読んでくださり、ありがとうございます。



2 コメント

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ヴェルサイユの宮廷庭師 (marine)
2015-12-03 17:49:47
りら様こんばんは。
思い切って都内まで観に行ってきました。
寒く雨降る中でしたが、1人気ままに楽しんで参りました。
私のような1人のおばさんがほとんどの観客の小さな映画館でしたが、満員というわけでもなく。
映画に出てくるルイ14世は、おみ足こそ出してませんでしたがこの肖像画の雰囲気そのままでした。
お話は内容もご存知かと思うので触れませんが、映像がとても美しく、ケイト・ウィンスレット扮するサビーヌが一仕事の後、一息つくシーンで腰掛けていた木の幹の美しさや、夜、サビーヌの自宅の庭にル・ノートルがろうそくを灯して歩くシーンなどなどうっとりしました。
架空の人物であるサビーヌ(男社会で頑張る職業人、とは湯山令子さん談)と、史実に絡めながら展開されるお話はベルばらを彷彿とさせました。

りら様も書かれていましたが、友達も、出来る内にしたいことをする、だから今日は行ってみたかったあんみつやさんに来てるの!(笑)1人で映画も良いじゃない!とメールが来たり…。
人生も折り返し地点を過ぎると思いもかけなかったところにガタがきてしまい色々不安になるけれど…。
でも皆さんも体調の不安と戦っていることがわかり、私も沢山勇気をもらっています。
ついつい、コメントが長くなってしまいすみません。何故か、色々おしゃべりしたくなってしまいまして(^^ゞ

朝ドラ話も、覚悟は出来ています!ドンドンりら様観点で語ってくださいませ!

これからもブログの更新楽しみにおまちしています。あ、でもくれぐれもご無理なさらずに。
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marineさま (りら)
2015-12-03 23:36:13
 コメントをありがとうございます。

 marineさま、ついにこの映画をご覧になられましたね!公開から1カ月以上経ち、平日なら結構映画館は空いているのでは?一人気ままに見る映画---贅沢なひと時ですね。自分の好きなように時間を使えるって、ありがたいことだと思います。この映画、もっと小都市でも上映してくれるといいなあとずっと願っています。内容はもちろん、本物を使ってのロケやコスチュームなど、視覚的にも楽しめそうなので。(近場で上映していないのです。)

>人生も折り返し地点を過ぎると思いもかけなかったところにガタがきてしまい色々不安になるけれど…。
でも皆さんも体調の不安と戦っていることがわかり、私も沢山勇気をもらっています。
何故か、色々おしゃべりしたくなってしまいまして(^^ゞ

 今「何が一番大事?」と聞かれたら、迷わず「自分の時間と健康」と答えます。好きなことができるのは、時間と健康があってこそ。自分の健康だけでなく、家族も健康でないと、好きなことに打ち込めません。もはや遠い未来に大きな夢や希望を持つより、今日一日が無事過ぎていくことに、明日がまたいつものように来ることに安堵感を感じています。marineさま、どうぞいろいろおしゃべりなさってください。私もこのブログを続けていくことが、日々の楽しみと励みになっています。
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