jam外伝から、ジャルジェ夫人を描いている場面を探してみた。
jam外伝は実のところ、絵が連載当時とあまりにかけ離れてしまい、あまり読んでいない。けれどところどころ、結構鋭い記述があり面白い。
17~18世紀の(フランス)王族・貴族の恋愛観って、こんな感じだったのかと初めて読んだ時は、びっくりした。彼らにとって結婚とは男子後継者を残し、相手の持参金や所有財産を共有することで、家がより発展していくための手段にすぎない。結婚相手に恋愛感情を抱くほうが例外的。だから目的さえ達成できれば、あとは誰と恋愛しようと自由。それをいちいちとやかく言うのは野暮というもの。むしろ結婚後も配偶者以外と恋愛するのは当たり前で、そういう生き方が粋でおしゃれだったらしい。
しかしジャルジェ将軍夫妻は違った。二人は(おそらく)恋愛結婚で結ばれ、結婚後も他の異性に心を奪われることなく、互いを愛し続けた。オスカルもアンドレも、そんな二人を見て育った。(だから「私だけを愛し抜くと誓うか?」とアンドレに迫ったのかな?)しかし周囲の貴婦人方から見れば、これはけしからん生き方なわけで、余計なご指導が入る。
額に汗を流しながら、黙って聞いている夫人。心の中ではどう思っているのか?
隠し子騒動が解決すると、夫人は夫にこう告げる。「ほほほ--- まあ---! わたくしはあなたを信じておりましたよ。」それに対して将軍は照れ気味に「うそつけ!」と答えている。(ガルティエがジャルジェ将軍なら、彼はその見事なブロンドの髪を,鬘の中に隠してしまったのだろうか?もったいない。鬘より地毛のほうが絶対にいいのに!)夫人の手の上で、しっかりコントロールされている将軍。
また子育てに関しては、「でも私は5人の娘たちをみんな 自分の手元において育てましたし---とにかく子どもたちには 自分の意思で自分の幸福を選べるよう育てるのが わたくしの理想ですの」と話している。当時、王族・貴族の女子の多くは、親が選んだ結婚相手の後ろ盾で社交界にデビューすることが、女性として安全な幸福と見なされていたようだ。しかしジャルジェ夫人は親の価値観でなく、自分の価値観を持って娘たちが生きていくことを望む自立志向の女性である。だからオスカルが自分の意思でアンドレを選んだことを知ったら、一番喜んだはず。賢明な夫人の事だから、アンドレが平民だから云々は問わないだろう。
私のジャルジェ夫人に対するイメージは「美智子さま」。常に夫のそばに寄り添い物静かで聡明。言葉を選んで話すが、とても的確に物事の真実を捉えている。ここぞという時は、きちんと自分の意見を言うことができるが、普段は優しく微笑みながら、子どもたちの話を聞いているイメージがある。自分の幸せよりも夫や子どもの幸せを願う。そんな夫人もオスカルが革命で命を落としたショックには耐えられず、将軍より先にオスカルのもとへ行ってしまう。これはとても悲しかった。
ジャルジェ夫人---改めてとても素敵な女性だと思う。
読んでくださり、ありがとうございます。
このイメージで見てみると今回のエピソードのジョルジェット嬢…なんか違う。
若い時はとても情熱的だったけれど、年を経て落ち着いた? それともやはりジョルジェット嬢はオスカル母ではない?
悶々としつつ、来週の土曜日が待ち遠しいです。
さて---ジョルジェットは、果たしてオスカルの母なのでしょうか?ガルティエの正体は?ファンがこのようにあれこれ?を感じることを池田先生は十分承知の上、今回のエピソードをお描きになったのかもしれません。ジョルジェットがオスカルの母なら、オスカルの肖像画はへっぽこ画家に依頼しなくても、ご自分で描きますよね?答えは4月4日にならないと、わかりませんね。