
極端なダイエットを繰り返したとはいえ、エリザベートとて人の子。甘い物には目がなかったらしい。すみれのシャーベットや、すみれのアイスクリームは彼女の大好物だった。
漂泊の旅を続けたシシィ(エリザベートの愛称)は時折、ウィーンに戻ってきた。ごくまれに公式晩さん会に出席しても、周囲の人とまったく食べ物が異なり、いつも問題が多かった。晩さん会でもいつもどおり子牛の血エキス、果物とワインを少々口にするくらい。けれど欠かさず食したものにすみれのシャーベットやアイスクリーム、すみれの砂糖漬けがあった。エリザベートはすみれの化粧水も作らせていた。
彼女は決してベジタリアンであったわけでない。時には野生動物のキジやノロジカの肉を食べていた。野生動物のほうが、牛や豚の肉より低カロリーと信じていた。彼女はキジの肉を使ったスープがお気に入りだった。大好物の野菜はアスパラガス。暗殺される前夜、ジュネーヴで親しかったロスチャイルド男爵夫人に招待され、次のようなメニューをいただいた。ただしどれくらいの量を食べたかは不明。
1 小タンバル料理・皇帝風
鶏挽肉、牛タンの燻製、ガチョウのレバー、トリュフなどを蒸し、これにソースをかけたもの
2 ブルゲット湖のマス料理
3 牛フィレ肉のニンジン・グリーンピース添え
4 鶏肉ムース ペリゴール風
ペリゴール風とはトリュフとマデラ酒で作ったソースをかけた料理のこと
5 山ウズラのショーフロア
ショーフロアとは熱を通した山ウズラに、ブラウンソースをかけ、ゼリーでコーティングした冷菓
6 デザート
ハンガリー風アイスクリーム、レモン入りビスケット、チョコレートのパウンドケーキ、シャンパン
まさかこれが「最後の晩餐」なるとは夢にも思わなかっただろう。
すみれのシャーベットの作り方は次のとおり。
手のひら一杯のすみれの花を、乳鉢ですりつぶす。適量の湯と125gの砂糖を加えて十分撹拌する。これを一時間、冷凍さ せる。生クリームは一切使われていない。(ダイエットのため)
すみれのアイスクリームの作り方
1 すみれをミルクの中に入れて煮たてた後、こし器にかける。
2 ボウルに卵黄を入れてときほぐし、砂糖を加えて十分かき混ぜる。
3 2に、温めておいたミルクを2~3回に分けて加え撹拌したのち、こし器にかける。
4 3を弱火にかけ、クリーム状になったら火からおろし、粗熱を取ってバニラ・ビーンズを加える。
5 4に先のすみれ液1を加え、色が薄紫になったら、バニラ・ビーンズを取り出し、冷凍する。
すみれのシャーベットもアイスクリームも、すみれの香りがほのかにするのだろうか?日本で商品化されないところをみると、簡単そうで、結構難しい一品なのかもしれない。
読んでくださり、ありがとうございます。
愛用のベルトを見ましたが、腕輪?頭に載せる帽子?と思う位細く小さな筒でした。
宝塚でも、シシィがミルク風呂に入るから、子どもに飲ませるミルクが無い!と民衆が怒る場面がありました。
食卓からは外れますが、当時の慣習とはいえ結婚するには幼すぎます。のびのびおおらかな環境から、満足なお妃教育の無いまま厳格な宮廷へ。しかも頼りの夫は母の言うなり…。
もう、自分の世界に逃避するしかないですよね。
新婚の頃夫の愛を強く感じる事がもっと有ったら…歴史は変わっていたでしょうね。アントワネットにも同じ事が言えます。
ハプスブルク家は、出産前から将来の縁組を決めていることもあったそうです。軍事費にお金をかけずに領土拡大したことで、財政には優しかったかもしれませんが、一族には過酷な政略結婚制度ですね。皆が皆、国王や王妃の器を兼ね備えた人ばかりではないでしょうし----。シシィもアントワネットも、皇帝や国王に嫁がなければ、もっとストレスのない幸せな人生を送れたでしょうね。