Vばら 

ある少女漫画を元に、エッセーと創作を書きました。原作者様および出版社とは一切関係はありません。

現実を忘れ…

2016-07-21 23:11:01 | つぶやき

 何かに没頭している時、人はしばし現実を忘れることができる。この写真は、ルイ16世一家がタンプル塔に軟禁されていた時、ルイ16世の妹エリザベス内親王と、ルイ16世の娘マリー・テレーズがリネンの布に施した刺繍の一部。

↓ 何を作ろうとしていたのだろう?何の花?これだけ刺繍するのに、どれくらい時間がかかっただろう?布の中央部は茶色く変色しているものの、細かい作業のあとがしっかりと見てとれる。丁寧に丁寧に一針ずつ、時間をかけて心をこめて刺したと思われる。一心不乱に刺繍に集中している時だけは、塔の外の不穏な情勢や、自分たちの置かれている危うい立場を忘れることができたはず。同時にモノヅクリの喜びも味わったのではないだろうか?ヴェルサイユにいたころは他に楽しいことがいっぱいあって、刺繍などしたことはなかっただろう。タンプルの塔での生活が始まり、ようやく一家は貧しいながらも暖かい家族愛に目覚めた様子。家族みんなでアントワネットの部屋で食事をとったり、ルイ16世はシャルルに勉強を教えた。

 軟禁状態の国王一家が少しでも心安らぐ時間を過ごせるよう、女性向けに誰かが刺繍道具を差し入れ?したらしい。この塔で働いていた人たちの中には、同年代の遊び相手がいない幼いルイ・シャルルを憐れみ、彼の心が明るくなる事を願い、小型犬をペットとして贈った召使いもいた。

↓ 今日のおまけ画像。アントワネット3歳の頃の肖像画。強固な意志を持ち、背筋を伸ばししっかりとこちらを見据えている。

 読んでくださり、どうもありがとうございます。



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