
Jamばらを読んでいると、時折「はっ!」とする場面、台詞に出くわす。『ジャルジェ将軍の息子あらわる!?』には、こんなシーンが。
ジャルジェ将軍の息子を名乗る少年モーリスが、夫人の誕生日に突然ジャルジェ家を訪れ、家中ちょっとした騒動が起きる。モーリスが将軍の息子ではないと言い切れる証拠もなく、家族やばあやはどうしたものか悩む。オスカルは窓越しに、ル・ルーと遊ぶ少年を見て、こんなことを思う。
弟か---もしあの少年が本当に私の弟だったら---私の人生はまったく別なものになるのだろう。弟だったら---もう私はこの軍服を着続ける必要はないのだ。
そんなオスカルの背後からアンドレが近づき、こう話しかける。
まったく---な。人間の運命ってやつは、予測もつかんから恐ろしい。あのモーリスが本当におまえの弟であってくれればと 奥さまには申し訳ないが 俺はそう思う。
すかさずオスカルは「アンドレ---」と呟き、何かを言おうとするがアンドレはそれを遮り
おっと----!ぼちぼち装蹄師が来るころだ---。と言ってそれ以上オスカルに何も言わせず、去っていく。
短い場面だけれど、とても考えさせられる。モーリスがオスカルの実弟なら、彼がジャルジェ家を継ぐわけだから、もうオスカルが軍人でいる必要はなくなる。軍隊を離れ、毎日ドレスを着て、誰か自分と身分が釣り合う人のもとに嫁ぎ、子を産み育てる。これまで30年近く男性として育てられ、男社会の軍隊で生きてきたオスカルが、果たしてそう簡単に方向転換できるのか?ではこれまでの人生は何だったのか?今頃になって急に、女性本来の生き方に戻れと言われて、すんなりドレス生活に転換できるほど、オスカルの人生はヤワなものではない。命がけで戦い抜いた日々はいったい何のためだったのだろう?その結果、フェルゼンへの想いも断ち切ろうとした。犠牲を払ったとまでは言わないけれど、自分に課せられた使命を、精いっぱい果たしてきた。
しかしアンドレの考えは全く違う。20年以上、過酷な男性社会を生き抜いてきたオスカル。できることなら軍隊という敵を倒すか、自分が倒されるかのハードな世界から解放してあげたい。命の危険にさらされることなく、静かで落ち着いた生活を送ってほしい。そんな気持ちをさらっと伝える。多くを語らない。一度言って終わり。でもその一言に、アンドレが幼いころから想ってきたオスカルへの愛が凝縮されている。
アンドレは馬上で指揮を執るオスカルの姿も好きだが、一女性として平凡な幸せを掴んでほしいとも願っていたのだろう。Jamばらには、本編では語られなかったキャラ達の知られざる姿が、随所にちりばめられている。
Material Crown 社から、こんなピアスorイヤリングが販売される。5月1日から注文受付開始。軍服姿のオスカルが愛らしい。
詳しくは次をクリックしてください。まさかオスカルをこのような形で、アクセにするとは予想していなかった。
http://www.material-crown.jp/mc_la_rose_de_versailles.html
読んでくださり、ありがとうございます。
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