サン・シュルピス教会にはたくさんの美術品がありますが、その中でもウジェーヌ・ドラクロワ(1798―1863)の壁画は多くの人たちを魅了してきました。
ドラクロワの作品は聖天子礼拝堂にあります。
(2021年11月撮影i-phone11pro)
《ヤコブと天使の闘い》この作品は旧約聖書から題材がとられています、ヤコブが聖地カナンへ行く途中で何者かに襲われます、足を怪我しながらもヤコブは襲ってきたものにしがみついて放しません。そしてこう言いました「わたしはあなたが祝福してくれるまで放しません」
すると相手はこう言いました「これからあなたはイスラエルと名乗りなさい、なぜならばあなたは天使と闘って勝ったからだ」そして天使はヤコブを祝福すると去っていきました。
イスラエルとは「神が支配する人」といった意味です、今のイスラエルの地名のもととなると旧約聖書は言っています。
(2021年11月撮影i-phone11pro)
《寺院から追放されたヘリオドロス》この題材はラファエロ・サンティが取り上げて有名ですね、バチカンのシスティーナ礼拝堂に描かれています。
ラファエロ作品と比べるとドラクロワの作品の方が格段ダイナミックですね、寺院から財宝を盗み出そうとしたヘリオドロスが、神から遣わされた者たちによって寺院から追放されているところです。
ラファエロ 《神殿から放逐されるヘリオドロス》
(2021年11月撮影i-phone11pro)
ヘリオドロスが天から遣わされた物に追い出されているシーンを拡大してみました。
天使がヘリオドロスの服をつかんで上から打ち据えようとしています。
中央に神から遣わされたものが天空を飛び回りヘリオドロスを攻撃しています。何か活劇のお芝居を見ているようでとても面白いですね。ロマン主義の巨匠といわれたドラクロワならではの想像力と溢れんばかりの奇抜な表現です。