2022年10月取材
ルーブル美術館を紹介する解説書には、必ず『サモトラケのニケ』が取り上げられています。
勝利の女神が、ドゥノン翼とシュリー翼の境、ダリュの階段の踊り場にすくっとその姿を見せるさまは本当に凛々しい、たくさんの人がこの場に集まり、写真を撮る理由がよくわかります。
しかしちょっと持ってください、あなたが早足で歩いているコリドーはどんな感じでしたか?
そうです、左右にはローマ時代の彫刻が並んでいます。(ニケに向かって左側の彫刻)
そしてこれが左側。どれをとっても芸術的にも歴史的にも価値の高いものばかりです。
そして中央、この階段から踊り場に至るアプローチ、グランドからの階段とそれに合わせた円形の開口部分。それにこの開口部分をさらに広げていくかまぼこ型の飾り、中央には照明が施されていて、そこに吸い寄せられるように人が登っていきます。
このグランドに敷き詰められたタイルもとてもいい色彩で、デザイン的にもすぐれています。僕はこの感じが好きなんですよね。これでも、この時期だけの景色かもしれませんね、通常ですとここいっぱいに人がいたりしますから。
この時はまだお客様がそれほど多くなかったんですね。今頃はこの階段人で溢れていることだろうと思います。
ここに置く価値のあるもの、ドゥノン翼とシュリー翼の境この結界と結界のつなぎ目、いわばルーブルの建物のへそに当たるところに勝利の女神は鎮座しているんです。
どうですこの凛々しい姿、さすが完全の美を追求したギリシア時代の彫刻の最高傑作といわれるゆえんですね。
さてこの踊り場にあがりました、背面が見れないのは少し不満ですが180度をゆっくりと見ることができることがなんといっても素晴らしいです。
そして私はこのニケの横の姿がとても好きなんです。正面から風を受けてたなびくドレープ少し右足を前に出した姿が躍動感を感じさせます、羽の張りもとても美しくできています。
ニケが、ナイキの創業者の夢に現れたのでしょうか。世界中の人たちに人気のナイキのロゴは、この勝利の女神の羽なんです。