2021年7月訪問
生命のすべてを注ぎ込んだ 女 廬山美術館 荻原守衛 安曇野
あなたはこの作品をご覧になったことがありますか。
私はこの作品を見たときにどこかで見た覚えがありました。
『荻原守衛』(1879~1910)
《女》(1910)
若い女性が、まるで後ろ手で縛られたように両腕を後ろに廻し、
首を右上にあげている、『守衛』はどうしてこんな不自然なポーズを描いたのだろうか。
まるで、後ろ手で縛られた女が、助けを求めているようです。
腕は縛られているわけではないけれど、後ろに組まれている。
彼は心の中のストラグルをこのようなポーズで表しているのでしょうか。
この女の顔は、『守衛』が依然恋焦がれていた
『黒光』によく似ているといわれています。
首をひねり、顔を高く上げる姿は空に飛び立とうとする鳥のようにも見えます。
『守衛』はこの作品を完成させてから、1か月もたたないうちに亡くなりました。
わずか31年の生涯でした。
この作品を見ていると、彼の強い執念のようなものを感じました。
まさにこの作品には彼の全生命が注ぎ込まれているのでしょう。