本日9月30日は
ジャイアント馬場さんアントニオ猪木さんデビューの日です
日テレは馬場さんデビューの日と報道していましたが
猪木さんは紹介していませんでした
本日9月30日は
ジャイアント馬場さんアントニオ猪木さんデビューの日です
日テレは馬場さんデビューの日と報道していましたが
猪木さんは紹介していませんでした
本日も鳥取県米子市を舞台に開催されます
「第三次米子映画事変」
本日は
「ゴジラvsビオランテ」上映会あります
ほかイベントたくさん
スタンプラリーもあります
近隣の方
どうぞお越しください
広島東洋カープの前田智徳外野手(42)が
今季限りでの現役引退を表明
90年代を代表する選手が
誇り高き天才が
ついにバットを置くことを決断しました
気がつけば
カープ優勝を知るただ一人の選手となった前田選手
CSシリーズ進出を達成した年に
引退を表明するところが実に彼らしいと
思えてなりません
引退が発表されると
引退試合のチケットは即日完売
背番号1のユニフォームは飛ぶように売れているそうです
性格的にこのまま身を引きそうですが
はたしてCSシリーズには出てくれるのか?
2013年シンガポールGPで印象的だったのが
レース終了直後
ストップしたマークウエバー(レッドブル)を
フェラーリのフェルナンド・アロンソが乗せた
所謂「箱乗り」シーン
感動的な姿でしたが
「危険行為」とみなされペナルティの対象になりました
実際後続車には危険だったようです
サービスもほどほどにね
9月25日ドラゴンズがカープに破れ
セリーグ4位が決定
同時に谷繁元信捕手が
横浜在籍の97年より16年間続けてきた
連続Aクラス記録が途切れました
こんな記録気にしているのは
多分全国でワタクシぐらいでしょう
2013年9月25日は
カープが長いトンネルを抜けた日として
語り継がれることでしょう
本当におめでとうございます
現在のカープなら
下克上も夢ではありません
CSも頑張れカープ!
さて、Σリアの“凱旋試合”。
<(5)休憩明け 30分一本勝負>
《沢登 真美》(Panther Gym)
&
〈シャイニー日向〉(新日本女子プロレス)
VS
《村上 千春》(Panther Gym)
&
〈Σリア〉(フリー)
休憩前の試合で起こった〈イレス神威〉の乱入事件でいまだざわつく中、リアの入場。
ウォン姉妹を引き連れてリングインするや、ガウンを早脱ぎで脱ぎ捨てる。
――おおっ。
場内から息を呑む声が響く。
その下には、丈の短いダーク系チャイナドレス。
シンディーから受け取ったヌンチャクで、華麗な演舞を見せ付ける。
――おかえりなさいリア様!
――俺たちの! リア様が! 帰ってキターー!!
――リア様ーーっ! リアッ、リーアッ!! リアアアーーーーー!!
マニア層からの熱烈な歓声に応えるリア。
もっとも、この派手なパフォーマンスが、余計にパートナーのご機嫌を損ねたのはぜひもない。
ゴングが鳴るや、千春が日向をいたぶる展開。
タッチを求めるリアだが、千春、見向きもしないありさま。
(ちぇっ! ヌンチャクで殴られたくらいで……っ)
ケチな了見、とボヤいても始まらない。
千春が青コーナーに押し返されてきたタイミングで、強引にタッチ。
「てめぇ……っ」
「後はお任せっちゅうことで」
久々の日本のリング。
さすがは聖地、リングのコンディションも、観客の熱気も申し分ない。
「さ~て、なんちゃって新人王サンに、本物のプロレスっちゅうのを教えて――」
「この……おっ!」
「ンッグッ!?」
感慨にひたる間もなく、日向が突っかかってくる。
そのまま、高速フロントスープレックス!
「つっう……!」
角度といいスピードといい、新人王は伊達ではない切れ味。
立ち上がるのもまたず、ぶっこ抜き投げっぱなしジャーマン!
「~~~~っ!!」
脳天からグサリとマットに突き刺さり、たまらず頭を抱えて悶絶するリア。
(こいつ、出来る……でも!)
――ワールドの同期・八重樫に比べればさほどでもなし、と歯を食いしばって立ち上がる。
なるほど、天下の新女で揉まれているだけあって、ポテンシャルはたいしたもの――
しかし、
「こういうのも……あるっ!」
「うぐっ!?」
指を掴んでねじりあげる反則でペースを乱し、キックを乱れ打つヒール殺法で仕掛ける。
ここは、見知らぬ相手とのギリギリの試合を体験してきた、リアの場数の豊富さが生きたといえよう。
とはいえ、圧倒するには至らぬまま決着はつかず――
○沢登 VS 千春×
(11分:ノーザンライトボム)
日向の首は取れず、「新ムーヴ」も披露とはいかなかった。
(……まぁ、しゃーない)
どだい、このカードでは無理があった。
むしろ、強引に出し切らなくてよかったとさえいえる。
それはいいとしても、
「てめえっ! 何で助けに来ねぇっ!」
「いやぁ……あんなに簡単にピン取られるって思わなくて」
「何をっ!!」
千春と小競り合いをやらかすありさま。
(いや、あんたとやりあってもしゃーないから)
適当にあしらい、マイクを握ったリア、
『なかなかやるわね、“次代の大物”さん! でもこのリア様ほどでは――』
とアピールしようとした、矢先。
「……あぐっ!?」
突然、背後からイスで殴り倒された。
「修行してきたってわりには、甘いな~。また国外逃亡したほうがええんちゃう?」
「ぐ……っ、う……!」
成瀬唯の人を食った笑み、更には――
「うっふふふ……っ♪ さよ~なら……リ~ア……ちゃんっ!」
「! アンタは……ッ!」
〈大空 ひだり〉――否、〈アトラス・カムイ〉の、ブルーボックスでの一撃!
紅く染まる視界の端で、日向もまたJ1Kの輩に袋叩きにされている。
用心棒のはずの、ウォン姉妹たちは……!?
『こ、このデカブツ……!!』
「う、ふ、ふ、ふ、ふ…………」
場外で、ラダーを両手に持って大暴れする〈大空 みぎり〉……いや〈ジャイアント・カムイ〉の蹂躙に、なすすべがない。
「な~に、うちらも鬼と違うからな。ちゃんと詫びいれて筋通すなら、堪忍したってもええんやで?」
「……っ、だ、誰……がっ!」
そんな薄みっともないマネが、できるものか。
できるのなら、とっくの昔に――
「せやろな。じゃ、腕の一本くらいは、貰っとくわ」
「…………!」
マスク越しにもわかるほど嬉々として、アトラスがスレッジハンマーを振り上げる――
「――はあっ!」
「!?」
「な、何やっ?」
突然飛来した影が、アトラスをかっ飛ばす。
いやアトラスのみならず、成瀬や、日向を襲っていた連中も、リングから追い出された。
誰の仕業かと見れば、
《ウィッチ美沙》
《YUKI》
《小縞 聡美》
〈フランケン鏑木〉
《木村 華鳥》
といった面々。
新女の若手グループであった。
『貴方たちの相手は美沙たちがしてあげるのです!
そう、美沙たち――
【レッスルエンジェルス・ドリーム】がっ!』
美沙のマイクアピールに、大きなどよめきが起こる。
レッスルエンジェルス――それはかつて、《マイティ祐希子》たちが名乗った革命軍団。
その名を襲い、新たな革命の炎を上げようとするのか。
『っ、アンタらみたいなひよっこがレッスルエンジェルスぅ? そんなん、身の程知らずにもホドがあるやろ!』
『いかにもさよう――』
と、ここで鏑木がバトンタッチ、
『確かにこちとら、クチバシの黄色いひよっこぞろい。
身の程知らず、いかにもいかにも。
されどでっかい組織に属し、ガン首並べて弱いものいじめ。
そんなチンケな輩の所業、なんで黙って見ておれましょうや。
なに、諸先輩方が出るまでもない。
かるく飲み干せるものならば、どうぞ飲み尽くしてごらんなれ。
たんと悪酔い、二日酔い、ただじゃあ呑まれぬ、干し上がらぬ。
天使と名乗るは面映いが、お見せしやしょう、ひよっこの意気地――』
と、さんざん口上述べて、
『お手前方の思い通りにはさせやせん――絶対にっっ!!』
最後は、感情を剥き出しにしての咆哮。
場内大いにどよめき、騒然となったのである。
「おやおや、そこにいらっしゃるのは、いつぞやのシグマなにがしさん」
「……っ」
「これはまさしく盲亀の浮木、優曇華の花――されどどうやら、喧嘩を売るほどの価値もなさそうなご様子」
「な……っ」
「いつぞやの件、よろこんで水に流しましょう。されば御免、お達者で」
「…………!!」
いっそブン殴られた方がマシなほどの、それは恥辱であった――
◇
してやられて泣き寝入りするほど、Σリアはお人よしではない。
やられた以上、十倍でも百倍にでもしてやり返すべし。
そんな彼女だが、PG後楽園からほどなく、よりによって【ジャッジメント・サウザンド】からオファーがあった時は、目を疑った。
何でも、京都で自主興行を開催するらしい。
それにあたって、
――貴方の人気をぜひ活かしたい。
との、申し入れ。
ふざけたことを、と思いつつも、
――逃げた、と思われるも業腹や。
つまるところ、リアはこのオファーを受けたのである。
◇
<<I・W・J 京都大会>>
▼日本 京都府京都市 寿総合文化ホール
<(1)15分一本勝負>
〈アークデーモン〉(ジャッジメント・サウザンド)
VS
《木村 華鳥》(新日本女子プロレス)
<(2)J1Kvs新天使軍 30分一本勝負>
《成瀬 唯》(ジャッジメント・サウザンド)
&
《神田 幸子》(ジャッジメント・サウザンド)
&
《村上 千秋》(ジャッジメント・サウザンド)
&
〈アトラス・カムイ〉(ジャッジメント・サウザンド)
VS
【レッスルエンジェルス・ドリーム】
《ウィッチ美沙》(新日本女子プロレス)
&
《小縞 聡美》(新日本女子プロレス)
&
〈フランケン鏑木〉(新日本女子プロレス)
&
〈シャイニー日向〉(新日本女子プロレス)
<(3)ブレード上原復帰戦 30分一本勝負>
《ブレード上原》(ジャッジメント・サウザンド)
&
《芝田 美紀》(ジャッジメント・サウザンド)
VS
《中森 あずみ》(ジャッジメント・サウザンド)
&
〈高倉 ケイ〉(ジャッジメント・サウザンド)
<(4:休憩前) -KAMUI FINAL- 時間無制限一本勝負>
《ライラ神威》(ジャッジメント・サウザンド)
VS
〈イレス神威〉(フリー)
<(5:休憩明け)スペシャルシングルマッチ カラテvsジークンドー 30分一本勝負>
《斉藤 彰子》(ジャッジメント・サウザンド)
VS
〈Σリア〉(フリー)
<(6)ノールールマッチ 30分一本勝負>
《六角 葉月》(新日本女子プロレス)
VS
〈ランダ八重樫〉(ジャッジメント・サウザンド)
<(7)J1Kvsスーパー柳生衆・1 30分一本勝負>
《サタン神威》(ジャッジメント・サウザンド)
&
《スパイダー神威》(ジャッジメント・サウザンド)
VS
《ダイナマイト・リン》(スーパー柳生衆)
&
〈MOMOKA〉(スーパー柳生衆)
<(8)J1Kvsスーパー柳生衆・2 45分一本勝負>
《ジャイアント・カムイ》(ジャッジメント・サウザンド)
&
《栗浜 亜魅》(ジャッジメント・サウザンド)
VS
《保科 優希》(スーパー柳生衆)
&
《近藤 真琴》(スーパー柳生衆)
<(9)メインイベント J1Kvsスーパー柳生衆・3 60分一本勝負>
《寿 千歌》(ジャッジメント・サウザンド)
&
《神楽 紫苑》(ジャッジメント・サウザンド)
&
《氷室 紫月》(ジャッジメント・サウザンド)
VS
《柳生 美冬》(スーパー柳生衆)
&
《寿 零》(スーパー柳生衆)
&
《オーガ朝比奈》(スーパー柳生衆)
◇
(斉藤……フーン、元アジアタッグ王者か)
なかなかの相手ではある。
もとより、格闘技戦として闘う気などさらさらない。
この大会には、かつての同期である八重樫や高倉たちも出場しているが、接触は控えた。
あちらにも、いろいろ立場があるだろう。
(……しかし、たまげたな)
八重樫が、リアより後の試合で、しかもあの古豪・六角とシングルマッチとは。
何でも、フィストなんとかという大会に出場、準優勝したらしい。
その結果からの抜擢であろうか。
(……あっちはあっちで、お盛んみたいやしな)
高倉は、強引に復活させたWWPWジュニアヘビー級王座を死守し、防衛線を重ねているという。
(ワールド……か)
それはもう、なくなってしまったもの。
だったら過去は過去として、未来を見るべきではないのか。
(そういや高倉、なんかのタッグ王座も獲ったらしいな)
そのパートナーは、日本海女子のルカなにがしというルーキーであるという。
そのうち、手合わせしてみたいものだ……
「あらぁ、生きてたの、アンタ」
「……おかげさまで、ピンピンしてますわ」
久々に会ったおばちゃんのように気さくな態度で声をかけてきたのは、神楽紫苑である。
「命知らずねぇ~。潰されても知らないわよ~?」
「そうそう簡単には――潰れません」
「そ。まぁ、死なないように、頑張んなさい」
「……はぁ」
◇
そして、斉藤との一戦。
今やJ1Kの中では窓際ポジションになってしまった斉藤、これ以上の不覚を許されない――と気合満々。
いかにリアとて、まともにぶつかれば、たとえ勝てたとしてもただではすまないであろう。
リアも打撃には自信があるが、斉藤と正面からやり合うなどという愚行は――
「~~~っ、やってくれたなぁっ!」
顔面にいいのを貰い、鼻血がほとばしるや、リアのリミッターがブッ飛んだ。
狂戦士さながらに猛進、激しく撃ち合う。
艦隊戦にたとえるならさしづめ同航戦(敵味方が、同じ方向に向かって移動しながら行う戦闘。お互い照準をつけやすくなる)、全力で削り合う。
が、流石に正面からでは分が悪すぎる。
「はああっ!」
「……おぐっ!?」
土手っ腹に回し蹴りを食らい、胃液が吹き出す。
そこへすかさず斉藤の追撃――
「……なんてねっ!」
「!?」
ここでリアの反則殺法、「BAD END(隠し持った黒絵の具をその場で潰し、相手の目を潰す)」が炸裂。
そこへクレイモア(水面蹴り)を食らわせ、たまらず体勢を崩した斉藤に対し、
「――はあっ!!」
気合一閃、あたかも自然に剥がれたかのごとく、チャイナドレス風コスチュームを脱ぎ捨てる!
『おおおおお……!?』
場内がどよめいたのは、一瞬、素っ裸になったのか、と思われたためか。
もとより、その下には、黒と紫のダークな雰囲気のセクシーコス。
その背中には、鮮やかな龍の刺繍が躍っている。
これぞ、“クイーン・サドンデス”、その処刑ムーヴ――
華麗なるカンフーポーズから、
「これで、あんたは――」
「――BAD ENDさ!!」
強烈無比のΣキック(バズソーキック)を振り抜く!
こめかみに食らった斉藤、声もなく轟沈――
……もっとも、これら一連のムーヴはレフェリーに丸見えであったので、試合としてはリアの反則負けとあいなった。
○斉藤 VS リア×
(8分:反則勝ち)
とはいえ、「勝負に勝った」のが誰なのかは、言うまでもない。
――リア様、最高ーーー!
――汚いなさすがリア様きたない! そこにシビれるーー!
――リアーー! リアリアーーッ!! リアアアーーッ!!!
勝者さながらに、ファンの声援に答えるリア――
と、不穏なBGMが流れ、またしてもJ1Kの面々が入場ゲートに現れる。
「まったく、学習能力ないなぁ~。ちっとは考えたらどうなん?」
「もちろん、考えてますとも……!」
「!?」
突然、成瀬が花道に突っ伏した。
イスで殴打されたのである。
その下手人は、
「オラァーーッ!!」
怒号と共にイスを振り回してるのは、アークデーモンこと、安宅留美。
思わぬ仲間割れに、たまらず撤収するJ1Kの輩。
ADはリングインするや、リアと握手。
「ちゃんと払うもんは払ってもらうぜ」
「もちろん――金の切れ目が縁の切れ目、やろ?」
こんなこともあろうかと、リアはADに前もって接触、ダブルクロス(裏切り)を打診していたのだ。
確証はなかったので、結構ドキドキしていたのだが……
「……ギャラだけなら、あちらの方がええんちゃう?」
「まぁな。だが……」
誰かの下につくのは、もうまっぴら。
それなら、やりたい放題できるほうがいいに決まっている。
「……そうやな。うちも、そうさせて貰うわ」
やりたいことをやればいいのだ。
倒したい奴、気に入らない奴は、叩き潰してやる。
さしあたり……
(……今後の目標は、一人でも多くの新人を、この手で血の海に沈めるコトやな)
もはや、リアに迷いはない。
Σリアの野望の日々は、これからが本格的なスタートであった――
◇
プロレス界をほしいままに踏み渡ろうと画策する、危険な悪魔ども。
そんな彼女たちにとって、格好のイベントが、間近に迫っていた。
「スーパー・エンジェル・クラウン?」
「いえ。<アルティメット・エンジェル・クラウン>よ」
鏡から聞かされたのは、若手レスラーによる大型イベント。
もともとは新女が開催するルーキーの登龍門的大会だが、今回は他団体の選手にも大々的に門戸を開くのだという。
――まさに、おあつらえむきやな。
気に食わない新人どもを、片っ端から血祭りにあげてくれよう。
「それから……」
「え?」
「いえ。……なんでもないわ」
その先にある、J1Kと日本マット界の“最終審判”、<ジャッジメント・ショウダウン>……
フレイア鏡ですら、その全容をいまだ知らぬのだった。
果たして、リアの野望のゆくえはいかに――
(つづく)
▼東南アジア某国 名も知れぬ島の郊外リング
先人が撒いたプロレスの種は世界に散らばり、花を咲かせている。
たとえばそう、この名も知れぬ島においてすらも。
「……リングがあるだけ、マシと思わないかんか」
今にも切れそうなロープ、薄っぺらいマットしか敷かれていないリングを眺め、〈紫熊 理亜〉こと〈Σ(シグマ)リア〉はひとりごちた。
いろいろあって日本を離れた彼女は、“ママ”と慕う覆面レスラーと共にアジア諸国を遍歴、各地のプロレス団体のリングに上がってきた。
そのなかで、彼女がいかなる経験をし、どんな成長を遂げたかは、いずれ語るとして……
(まったく、かなわんなぁ。……)
最初は二人旅だったこの“アジア放浪記”。
“ママ”がリアを残してあっさり帰国してしまったことで、いまや一人旅。
日本に帰ろうにも、旅費すらない、ときている。
しかし、アジア武者修行でたっぷり辛酸を舐めたリアは落ち込む色もなく、
(ま、リアにはこの体があるしな)
さよう、腕一本あれば、地元のプロレス団体に参戦し、ファイトマネーを稼げるのだ。
この日もそうで、身振り手振りとかなり雑な英語を駆使して出場を取り付けたはいいが、どんな相手と闘うのやら、てんでわからない。
とはいえ、地下プロレスではあるまいし、
(まさか、殺し合いはさせられんやろ)
郊外の原っぱにリングをこしらえ、観客も地べたに座ったり立ったままだったり。
こんなのどかな雰囲気で、殺伐としたものを求められるとも思えない。
じっさい、彼女の前に行われた試合は、ごくふつうのプロレス。
基礎はできているが、それだけ……といってさしつかえないレベルであった。
(ここはいっちょう、“本物”ってもんを見せてやらんとな)
『ジャパニーーズ・サドンデス・クイーン、シッグーーーマ・リィーアーー!!』
割れ気味のマイクで呼び出され、颯爽とリングイン。
言葉はわからぬが、リアの妖しい美貌に観客がアッとなるのがわかる。
更にジークンドー仕込みのヌンチャク妙技を披露してみせると、それだけで大歓声。
いい塩梅に客を温めたところで、リアと相対するのは――
(……ん?)
青コーナーに陣取っているのは、胴衣姿で、両手に木の棒を持った女。
あの棒、どこかで見たことがあるような気がするのは、思い過ごしであろうか。
(ほお、こっちもなんか演武でも見せるんかな?)
と思いきや、何のアピールも見せない。
いやそれどころか、
「っ、ちょっ!?」
ゴングが鳴るや、棒を手にしたまま間合いを詰めてくるではないか。
ここでリア、ようやく思い出した。
あの棒、すなわち“オリシ”を使う格闘術――
(……“エスクリマ”!!)
師祖ブルース・リーがジークンドーに取り入れたフィリピン武術!
どうやらこの一戦、たんなるプロレスの試合ではなく……
(プロレスvsエスクリマの“異種格闘技戦”……!)
で、あるらしい。
(……英語、もっと勉強せなあかんな)
そう痛感しつつ、Σリアはヌンチャクを構え直した。……
この試合、リアは追い込まれるも、最後は逆転の「BAD END(隠し持った黒絵の具をその場で潰し、相手の目を潰す)」で反撃、打撃のフルコースで仕留め、辛うじて勝利を掴んだのである。
対戦相手からは恨みを買った気がするが……ま、仕方はない。
◇
▼中国 上海市南京路
かくのごとく、アジアでプロレス武者修行に励んでいたリアであったが、次第に、風向きが変わってきた。
その原因は、
【IWWF-A】
の出現に他ならない。
その名の通り、アメリカの最大手団体【IWWF】のアジア支部。
アジアマーケットを制するべく仕掛けられたこの組織は、瞬く間にアジア全土にネットワークを築き、多くの団体をその傘下におさめた。
仕掛け人はIWWFの切れ者《ミス・スパイク》とも言われるが、定かではない。
ともあれ、レスラーはIWWF-Aの発行するライセンスを取得せねばならない、ということになった。
こうなると、リアは面白くない。
――それって、IWWFの犬になるってことやろ。
どうやら、自由気ままなアジアあばれ旅もここまでのようだ。
――そろそろ、日本に帰ってみよか。
年も明けたし……というわけではないが、あちらもだいぶ変わっているであろう。
そんな彼女に、
『ハーイ、リア。日本に帰るんですって?』
とコンタクトしてきたのは、
『なんや、アンタらかいな』
『アンタらとはご挨拶ね』
《ブリジット・ウォン》、《シンディー・ウォン》のウォン姉妹である。
少し前までアメリカの団体【TWWA】に属していたが、今はフリーランス。
レスラーとしての腕は確かで、とりわけアジア圏の人気は多大であったが、
『私たちも、IWWFの手先になるのは面白くないのよね』
『はぁん。……それで、うちを利用して日本で稼ごうって寸法?』
『そういうこと。貴方だって、スネに傷持つ身でしょう?』
『人聞きの悪い――』
確かに日本に帰れば、大きいところでは寿一派、小さくは新女の鏑木など、リアの首を狙う連中は少なくない。
そんな物騒なところへ戻るならば、
(この連中と組んだ方が、無難かもな)
との判断は、自然な流れであったろう。
とはいうものの、気軽に考えられる話でもない。
この連中だって、どこまで信用していいものか、どうか。
(あっさり裏切って、うちの首を千歌の奴に差し出すかもしれん)
それくらいの想像は、容易に可能なのだった。
『安心して頂戴。貴方、日本では大人気なんでしょう? 貴方を立てて、私たちはサブに回ってあげる』
『……なるほどね』
大人気――決して、間違ってはいない。
あくまで関西ローカルや、プロレスマニアの間の話ではあるにせよ。
だが帰国にしても、ただ目的もなく
「どうも~、帰ってきました~」
だけでは、インパクトが弱い。
それが許されるのは、知名度十分の大物だけであろう。
自分がそこまでではないことくらい、Σリア、冷静に判断している。
ならば、どうするか?
(まずは、情報が必要やな)
ネットを見れば、日本のマット界事情はだいたいわかる。
が、それらは所詮、「表向き」のものでしかない。
(結局は、内側のもんに聞かな)
と、いうことになる。
この場合、一番頼りになりそうなのは……
(……やっぱ、あの人かな)
◇
「ずいぶん、頑張っているようね」
リアが電話をかけた相手は、フレイア鏡であった。
現在は【WARS】のGMかつ《サンダー龍子》のパートナー。
武闘派ユニット【Silberne Drache(ジルバーナ・ドラッヘ)】を率いているという。
「そろそろ、里心がついたというところかしら」
そんなに殊勝な話でもないのだけれど。
「あいにくだけれど、今のWARSは――」
龍子、鏡らSD軍。
そして新戦力を加えた【スーパー柳生軍】。
更に、【ジャッジメント・セブン】と【寿千歌軍団】が合流してさらに強大化した【ジャッジメント・サウザンド(J1K)】による三つ巴の抗争中。
しかも、フリーのヒールとしては《ガルム小鳥遊》や《SA-KI》らの実力者がそろっており、リアの入る余地はないであろう。
「まぁ、同期の子たちと切磋琢磨したい、と言うのなら、それでもいいけれど」
WARSの〈上原 凪〉や〈ティーゲル武神〉、S柳生衆の〈MOMOKA〉、激闘龍の〈ブレイヴ・レイ〉らの新人たちと前座を温める……などというのは、
(……遠慮したいな)
試合をするのはやぶさかでないが、今さらアンダーカードで若手扱いされるのもつまらない。
では、いかにすべきか?
「そうねぇ。……」
人の悪い笑みを浮かべているのが、電話越しでも伝わった。
「そうそう。私、去年のベストバウトを貰ったのだけれど」
「あぁ……はぁ、おめでとうございます」
急な話題に?マークが浮かぶ。
「もうすぐ、その授賞式があるのよ」
「はぁ」
その会場において――
「何か、『余興』が欲しかったのよね」
「……っ」
そこまで言われれば、リアにもわかる。
「――わかりました。やらせてもらいます」
「フフ、いいのかしら? 詳しい話をしなくても」
その必要はなかった。
要するに、
「ぶち壊しにすれば――いいんでしょう?」
フレイア鏡の返事はなかった。
代わりに、
「チケットの手配はしておくわ」
補足して。
「何人分必要かしら?」
どうやら、「事」を起こすタイミングは、定まったようだった。
◇
▼日本 東京都千代田区 『ホテル・ニューイチガヤ』飛龍の間
この日、昨年度のプロレス大賞の受賞式が華やかに開催された。
なお、今年の各賞受賞者は以下の如し――
・最優秀選手賞(MVP):
《マイティ祐希子》(新日本女子プロレス)
・最優秀試合賞(ベストバウト):
《サンダー龍子》(WARS)
VS
《フレイア鏡》(フリー=当時)
(WARS福岡大会:龍子(31分45秒:両者ノックダウン)鏡)
・最優秀タッグ賞:
“災凶タッグプラスワン”
《ビューティ市ヶ谷》(JWI)
《十六夜 美響》(VT-X)
〈紫乃宮 こころ〉(JWI)
・殊勲賞:
《南 利美》(ジャッジメント・サウザンド)
・敢闘賞:
《ソニックキャット》(東京女子プロレス)
・技能賞:
《内田 希》(ジャッジメント・サウザンド)
・新人賞:
〈シャイニー日向〉(新日本女子プロレス)
「ろくに試合にも出ていない半病人がMVPとは、どういうことですのっ?」
「頑丈なのだけが取りえの誰かさんとは違うのよね~」
「何ですって――」
市ヶ谷と祐希子は一触即発、
「やれやれ。バカが2人そろうと、やっかいそのものだな」
「その点は同感ね。あぁでも、バカは3人でしょう? 貴方もふくめて」
「ほお……?」
龍子と南が視殺戦を展開したり。
いつ乱闘が始まるかと、関係者はヒヤヒヤものであったろう。
対立関係にある面々も少なくない緊迫した会場であったが、ひとまず無難に進行、最後の集合写真撮影も終え、さてこれにてお開き――という段になって。
それは、起こった。
「!」
突然、照明が落ちる。
ほんの数秒で明かりは戻ったが、
「あっ!」
誰もが、目を剥いた。
見知らぬ派手な女が、新人賞を獲ったシャイニー日向を痛めつけていたのだ。
「何の結果も出してないくせに、新人王? ちゃんちゃらおかしいなァ――」
と冷笑したこの乱入者は、日向の顔面に黒い毒霧をぶちまけて悶絶させるや、
「うちの名はΣリア! 通りすがりの美人レスラーや!
あんたらの首も、いずれ頂戴いたしますんで、よろしゅうに――」
呵呵大笑するや、風を食らって撤収するわれらがΣリア。
「あははっ、面白いな~、あの子!」
「さ、さすがクイーン・サドンデス! びっくりさせられたお~」
と大ウケだったのは祐希子とソニックで、
「やれやれ、品がありませんわね。まるでどこかの誰かのよう」
「うふふ。楽しそうな子ね」
と鼻で笑ったのは市ヶ谷であり、微笑したのは十六夜である。
「アレが例の“クイーン”か。少しは骨がありそうだ」
「フフ。そうでしょう?」
これは、龍子と鏡の言。
「おやおや。海外でおとなしくしていれば、五体無事でいられたのにね」
「……気の毒に」
そんな物騒なことをつぶやいたのは、南と内田。
「麗華さまより目立つなんて……許せません!」
と怒りを露にしたのはこころで、
「あの……女っ!」
怒りを剥き出しにしたのは、被害者の日向であった。
◇
この一件を受けて。
さっそく、リアと日向の試合が組まれることになった。
その舞台は、パンサー理沙子ひきいる【PantherGym】の後楽園大会。
▼日本 東京都文京区 後楽園プラザ
<(0)15分一本勝負>
〈アークデーモン〉(ジャッジメント・サウザンド)
VS
《木村 華鳥》(新日本女子プロレス)
*新女のルーキー木村が曲者と対決。
<(1)15分一本勝負>
《ハルク本郷》(Panther Gym)
VS
〈ブラッディ・マリー〉(プロレスリング・ネオ)
*デビュー戦の本郷に不覚を取ったBマリーの雪辱戦。
<(2)30分一本勝負>
《奥村 美里》(Panther Gym)
&
《小松 香奈子》(Panther Gym)
VS
《YUKI》(フリー)
&
〈フランケン鏑木〉(新日本女子プロレス)
*PGコンビが新・天使軍コンビと対決。
<(3)30分一本勝負>
《後野 まつり》(Panther Gym)
&
《庄司 由美》(Panther Gym)
VS
《ウィッチ美沙》(新日本女子プロレス)
&
《小縞 聡美》(新日本女子プロレス)
*PGコンビが新・天使軍コンビと対決。
<(4)30分一本勝負>
《成瀬 唯》(ジャッジメント・サウザンド)
&
《ジャイアント・カムイ》(ジャッジメント・サウザンド)
&
《神田 幸子》(ジャッジメント・サウザンド)
&
〈アトラス・カムイ〉(ジャッジメント・サウザンド)
VS
《テディキャット堀》(フリー)
&
《アルコ・イリス》(フリー)
&
《優香》(フリー)
&
《橘 みずき》(フリー)
*太平洋女子の残党がJ1Kに挑戦する。
<(5)休憩明け 30分一本勝負>
《沢登 真美》(Panther Gym)
&
〈シャイニー日向〉(新日本女子プロレス)
VS
《村上 千春》(Panther Gym)
&
〈Σリア〉(フリー)
*関西でマニアックな人気をはくしていた、元・ワールド女子のΣリアがPantherGym初参戦。
メジャー系のリングで存在感を示せるか?
<(6)セミ前 45分一本勝負>
《マスクド・ミステリィ》(ジャッジメント・サウザンド)
&
《斉藤 彰子》(ジャッジメント・サウザンド)
VS
《森嶋 亜里沙》(プロレスリング・ネオ)
&
《ドルフィン早瀬》(プロレスリング・ネオ)
*ネオコンビがJ1Kの刺客と対峙する。
<(7)セミファイナル 45分一本勝負>
《神楽 紫苑》(ジャッジメント・サウザンド)
&
《氷室 紫月》(ジャッジメント・サウザンド)
VS
《大高 はるみ》(フリー)
&
《ジャニス・クレア》(GWA)
*J1Kの個性派チームが友情タッグと対決。
<(8)メインイベント 60分一本勝負>
《パンサー理沙子》(Panther Gym)
&
《武藤 めぐみ》(NJWP-USA)
VS
《ヴァルキリー千種》(ジャッジメント・サウザンド)
&
《越後 しのぶ》(ジャッジメント・サウザンド)
*決別した武藤と結城がPGリング上で激突。
◇
(休憩明けかいな。……ま、しゃーない)
それはいいとして、バックステージでは、お世辞にも居心地はよくない。
知った顔も少なくないが、誰が味方で誰が敵なのか、さだかでないのだ。
(アークデーモン……? あぁ、ルミさんかいな)
神楽の従妹である彼女とは、かつて特撮ドラマで競演したことがある。
逆に言えば、それだけの仲なのだけれど。
(鏑木ちゃん、まだうちの首狙ってるんやろか? しつこいなぁ)
(マリーちゃんたちネオ勢は……J1Kとは仲悪そうやし、たぶん、大丈夫やろうけど)
神楽や成瀬は旧知の仲とは言え、今はJ1K側。
うかつに近づくことは避けた方がよかろう。
それより何より……
「あのー……今日は、よろしゅうたのんます」
「……チッ」
話しかけたとたんに舌打ちされた。
今日のパートナー、村上(姉)である。
以前、九州ドームで彼女たちの試合に乱入、妹の千秋や真鍋ともども、ヌンチャクでボコボコにしたことがあった。
あれから妹はJ1Kに入り、千春はPGに属している。
(あ~あ……へなたん(シャイニー日向のニックネームの一つ。「へなちょこな・ひなた」→「へなたん」となったと思われる。会社のプッシュに答えらない彼女を揶揄する意味で、プロレスファンの間で広く使われている)と一騎打ちにして欲しかったなぁ)
その方が、いろいろとやりやすかったのだが。
(まぁ、ええか)
この“査定試合”をクリアすれば、先が見えてくる。
唯一の不安は。J1Kによる妨害だが、
『安心しなさい。私たちがついてるわ』
『そうそう。一騎当千の私たちがいる以上、金城鉄壁よ!』
『……そう願いたいけどな』
正直、いかにも裏切りそうなウォン姉妹はちょっと頼りない。
一応、フレイア鏡との契約下にあるとはいえ……
むしろ、
「…………」
「あ、あの……よろしく、たのんまっさ」
「…………(コクン)」
無言でうなずく、《ザ・関取》の方が頼りになる……かも知れない。
その四へつづく
「秘石のかけらは獣電竜の破片だった」という
重要事実が明かされましたが
物語の焦点はそこではなく
アミイの友達のお坊ちゃまと
お坊ちゃまの庭でのサバイバルゲームというか
宝探しが
メインだった今回の「キョウリュウジャー」
スーパー戦隊世界は
我々の住んでいる世界と違い
不況とは無縁の
金持ちの多い世界だなと感じます
お庭でスーパー戦隊と敵が戦うなんて
すご過ぎだろ
今週の影の主役
(ウザイ)お坊ちゃまミツヒコ君役石井智也さん
「ウオーターボーイズ(2003年TV版)」や
「ウルトラゾーン」等で有名
お父さんはOVA「静かなるドン」生倉組長や
「ウルトラマンメビウス」のトリヤマ補佐官 でおなじみの
石井喧一さんです