四季の山を歩き、思い、創造する。
凌 手記
EXPEDとハイキング(その3)
皆がそれぞれのハンモックに散り、私もニヤニヤしながら寝袋に入って就寝体制に入った。
適度なゆらゆらが気持ち良く、あっという間に夢の中・・・
・・・と思ったがなんだか外(といっても外にいるのだが)の様子がおかしい。
さきほどから雨と風の勢いがあきらかに増してきている。
雨は強風にあおられて波打つようにタープを叩きつけ、「雨音はショパンの調べ」どころではなく、「雨音はアイアン・メイデン」になってきた。
タープを固定している木も風に合わせてゆさゆさと揺れている。
皆は大丈夫だろうか?
うとうとしては目が覚めてを繰り返しているうちにタープのペグが一本飛んだ。
このまま放っておくわけにもいかず、雨の中ペグを回収して打ち直した。
予想よりも気温が低いのと、先ほどのペグ回収で濡れてしまったので背中が寒い。
試作品のシートを背中に宛てがってなんとか寒さから逃れる。
明け方になってようやく雨風はおさまったが、おかげでゆっくり眠ることができなかった。
皆もそれなりに大変だったようで、特に新井はポンチョをタープとして張っていたのだが、その大きさは雨風を凌ぐには十分ではなかったようで、結構な雨を受けてしまいエマージェンシーシートにくるまっていたそうだ。
Hubiと森本もペグが飛んだり、ハンモックがずり落ちたりなにかと大変だったようだ。
唯一人テントの俵は何事もなかったかのように熟睡したそうだ。
幸せなものである。
さて、朝飯は昨夜に続きHubiに日本食のおもてなし、「釜揚げそうめん」と「お茶漬け」。
何でもよく食べてくれるので気持ちいい。
でも、納豆は好き?と聞くととても複雑な顔をして「No」と言う。
食後は各自自由時間。
私はハンモックでゆらゆらしながら下山の時を待つ。
下山は海を見ながら一気に高度を下げる。
まだ夏の日差しが暑い。
あっという間に下山した一行は駅前でバスに乗り温泉へ!!
正しい温泉の入り方を心得たHubiは露天風呂に浸かってご満悦だ。
通り雨が下山してきた山の方にキラキラ輝きながら走って行く。
短い旅ではあったが、いろいろなことがあってそのすべてが早くも懐かしく思えてくる。
Hubiもアクシーズクイン流のもてなしを楽しんでくれたことだろう。
EXPEDの道具たちは予期せぬ荒天にもしっかりとその役目を果たしてくれた。
終わり。
