『サムライ・ダイアリー』(鸚鵡籠中記異聞)おうむろうちゅうき
天野純希 作
時は元禄から享保まで20数年間、毎日、飽きもせず日記を書きつづけたお侍がいた。
仕えるのは、御三家筆頭尾張徳川家。
帯に、呑んだ、書いた、恋をしたーーとあるように、酒好き、女好き。超大企業の中の下くらいのサラリーマンと言ったところ。
とは言っても、昔は世襲であるから、家督を継ぐまでは部屋住みの身。
18になっても、ぶらぶらしているだけ、というところから日記は始まる。
芝居好きだが当時はご禁制、変装して浄瑠璃を見に行ったり、魚釣りに行ったり、もちろん武道も弓道はじめいろいろするが、長続きしない。
剣の稽古で据え物斬りをするあたり、死体相手の稽古は、気分が悪い。切り口からなにやらドロリとはみ出したりすると目を背ける。試し斬りされた罪人の体はナマスのよう。
帰りに親類の家へ寄り、刺身が出ると、さっきの切り口と同じ色。厠へ飛び込んで、胃の腑のものを洗いざらいぶちまける。
元禄と言えば、天下分け目の合戦から100年経つ。
商人でもない、農民でもない武士にはやることがない。
そんな時代の武士の姿が、生き生きとコミカルに語られていく。
笑ったのは、武家相手のときは、共通語で話し、幼な馴染みと話すときは、名古屋弁になる。
これが、めっぽう可笑しくて、読みながら噴き出してしまった。
「鸚鵡籠中記」って、どこかで聞いたことがある……やがて御畳奉行に出世するのだが、
ここで、私は、本棚をあさる。
出てきたのがこれ!
一時評判になっていたので、古本屋で買ったのだが、読んではいない。
なんだ、同じ朝日文左衛門さん。
『サムライ・ダイアリー』のほうは、フィクション混ぜ混ぜであり、中で断っているように、こちらは裏の日記であると。題名も「異聞」となっている。
嫁いできたときは、ゆかしい奥方が、嫉妬にかられて、膝であごを蹴上げて旦那をひっくり返し、馬乗りになったりする場面でも、大笑いしたが、これはフィクションである。
最後のほうにもドタバタがあるが、いまいち盛り上がりに欠けて終わった。
また、百人町、主税町、御器所、熱田、大須と聞き慣れた地名が、元禄時代から残っていることに感激。
『元禄御畳奉行の日記』は、ノンフィクションでの解説付き。
一体、どこまでがホントで、どこで膨らませているか気になる。
で、こちらも読み始めたが、日記の中身は別にして、お硬い文章。検証にも飽きて、こちらは中断。
ネタを拾うなら「御畳奉行の日記」
読んで楽しむなら「サムライ・ダイアリー」
名古屋弁で思い出したのだが、30年ほど前、題名も作者の名前も忘れてしまったが、現代物で、名古屋が独立をして、名古屋独自の政治をしていく、という小説を読んだ。
言葉も名古屋弁しか使ってはいけない。
それだけならまだしも新聞も名古屋弁なのだ。
「昨夜、大きな火事があった」という見出しも「夕べ、どえりゃ~火事があってよ」となる。
ので、どえりゃ~笑ったに!
補足・ブロ友さんの読書感想から、この本を知りました。
天野純希 作
時は元禄から享保まで20数年間、毎日、飽きもせず日記を書きつづけたお侍がいた。
仕えるのは、御三家筆頭尾張徳川家。
帯に、呑んだ、書いた、恋をしたーーとあるように、酒好き、女好き。超大企業の中の下くらいのサラリーマンと言ったところ。
とは言っても、昔は世襲であるから、家督を継ぐまでは部屋住みの身。
18になっても、ぶらぶらしているだけ、というところから日記は始まる。
芝居好きだが当時はご禁制、変装して浄瑠璃を見に行ったり、魚釣りに行ったり、もちろん武道も弓道はじめいろいろするが、長続きしない。
剣の稽古で据え物斬りをするあたり、死体相手の稽古は、気分が悪い。切り口からなにやらドロリとはみ出したりすると目を背ける。試し斬りされた罪人の体はナマスのよう。
帰りに親類の家へ寄り、刺身が出ると、さっきの切り口と同じ色。厠へ飛び込んで、胃の腑のものを洗いざらいぶちまける。
元禄と言えば、天下分け目の合戦から100年経つ。
商人でもない、農民でもない武士にはやることがない。
そんな時代の武士の姿が、生き生きとコミカルに語られていく。
笑ったのは、武家相手のときは、共通語で話し、幼な馴染みと話すときは、名古屋弁になる。
これが、めっぽう可笑しくて、読みながら噴き出してしまった。
「鸚鵡籠中記」って、どこかで聞いたことがある……やがて御畳奉行に出世するのだが、
ここで、私は、本棚をあさる。
出てきたのがこれ!
一時評判になっていたので、古本屋で買ったのだが、読んではいない。
なんだ、同じ朝日文左衛門さん。
『サムライ・ダイアリー』のほうは、フィクション混ぜ混ぜであり、中で断っているように、こちらは裏の日記であると。題名も「異聞」となっている。
嫁いできたときは、ゆかしい奥方が、嫉妬にかられて、膝であごを蹴上げて旦那をひっくり返し、馬乗りになったりする場面でも、大笑いしたが、これはフィクションである。
最後のほうにもドタバタがあるが、いまいち盛り上がりに欠けて終わった。
また、百人町、主税町、御器所、熱田、大須と聞き慣れた地名が、元禄時代から残っていることに感激。
『元禄御畳奉行の日記』は、ノンフィクションでの解説付き。
一体、どこまでがホントで、どこで膨らませているか気になる。
で、こちらも読み始めたが、日記の中身は別にして、お硬い文章。検証にも飽きて、こちらは中断。
ネタを拾うなら「御畳奉行の日記」
読んで楽しむなら「サムライ・ダイアリー」
名古屋弁で思い出したのだが、30年ほど前、題名も作者の名前も忘れてしまったが、現代物で、名古屋が独立をして、名古屋独自の政治をしていく、という小説を読んだ。
言葉も名古屋弁しか使ってはいけない。
それだけならまだしも新聞も名古屋弁なのだ。
「昨夜、大きな火事があった」という見出しも「夕べ、どえりゃ~火事があってよ」となる。
ので、どえりゃ~笑ったに!
補足・ブロ友さんの読書感想から、この本を知りました。