『マイ・サマー・オブ・ラブ』
英国アカデミー賞受賞作品。
少女でもなく、大人の女でもない年ごろ、すなわち少女と大人の女のはざまのころ。
いつもなにか求めていて、いつも満たされない思いをもっている。
平凡であることを嫌悪する年ごろ。
いったい不幸でないティーンズなんてあるのだろうか。
古今東西の青春名画は、常にそれがテーマ、『青い山脈』でも、『悲しみよ、こんにちは』でも、『乙女の祈り』でも。
主人公の少女も、田舎に住んでいて貧乏で、これといった楽しみもない。
ホンダのバイクは持っているけれどエンジンがないので、引きずって歩くだけ。
唯一の肉親である兄は、刑務所から出所して以来、やたら信心深くなり、家には信者がいつも集まって祈りを捧げている。
妹である主人公は、それについていけない。
そこへ、同じ年ごろの女と出会う。
バイクのエンジンを買ってくれるような金持ちで、木立の奥の大きな邸に住んでいる。
彼女も孤独で、亡くした姉のことをせつせつと訴える。
ふたりは親しくなり、ひと夏をいつもいっしょに過ごす。
バイクにふたり乗りして風に吹かれたり、川で泳いだり……ちょっとした冒険と秘密の分かち合い。
しかし、夏は終わる、いつも苦く残酷なかたちで。
以前のブログからの再掲 2012年10月13日
ネットより借用
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