2月26日、少し肌寒いSocial Kitchenに着くと、天井の鉄骨の四方に糸につけた照明を吊るして舞台を用意します。シンプルながらも美しい舞台を眺めながら座っているとお客さまもお越しになったので、やはり観てくださるということのありがたさを噛み締めました。
19時になり、風のフィールドレコーディングの音がループする中、そでから白のブラウスに黒のパンツの衣装をまとった栃本が現れ、両手を広げながら照明に区切られた舞台に入っていきます。前回のNAKEDとは打って変わって、静かでありながら新しい動きを呼吸を繰り返しながら次々を生み出す様子は彼女のキーワード『呼吸を信じて踊る』が脳裏をかすめます。
小さな頃から振りを渡されたものでしか踊ってこなかった栃本にとって即興でダンスを一時間立ち上げることはとてもチャレンジングなことでしたが、風の音と呼吸と空気をつかんで踊り出したようです。
栃本のオーダーで用意したバックに流れる風の音は、以前住んでいた神戸六甲山系の長峰地区のマンションに住んでいた頃ベランダから録ったもので、その風の音が踊る栃本の身体の下に流れ、時折その音に栃本の荒い呼吸が混じります。
舞台の空気を何度も触っては押し、触っては押しの繰り返しがあったかと思うとひたっと止まることもある。四方を照明の結界に区切られた中をたゆたうダンスはお客さまもダンサーも大変充実した時間で、新しいayami yasuyhoを皆さまと一緒に体験できた一時間でした。
舞台関係者や海外からのお客様も見えられたことも嬉しいことで、一期一会という言葉を実践することが私たちのアートであるとの思いを持ちました。
次回のNAKEDの詳細が決まりましたら、こちらでお知らせいたします。どうぞよろしくお願いします。