小説「離しません!」&スピンオフ「オミとカイ-少女の霊と俺達と-」

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小説「オミとカイ」18.釣った魚は殿様マグロ

2024-07-21 22:06:00 | 小説
「は?」

 その時のカイの驚きと不満の入り混じった複雑な表情を、 俺は一生忘れないだろう。

「簡単 ? 俺は、20年間我慢してきたのに、 簡単?」

「じゃあ 高校1年の時から俺のことを…?」

「いいじゃん、その辺は 」

 それじゃあさっきの俺の言葉に、怒ってしまうのも無理はない。

「簡単 って何だよ?」

本当に、言ってはならない言葉を言ってしまった。

「いや、俺の頼みに比べればってことさ 」

「ああ、そういうことね。 じゃあ オミの頼みは? 交換条件は?」

「戻ってきて、また 。礼霊ずにも」

「にも、 っていうのはどういうこと? 」 

「俺の人生と、礼霊ずに戻ってきて、っていう意味 」

 カイは照れたような笑みを浮かべた

 さすがにここまでくれば帰ってきてくれるだろう。

 しかし カイは、

「…そんなこと言って、昼はいいけど夜は大変だぞ…」

「何だよ、夜って 」

そして お互い、頬を赤らめてしまった。

「そう言うオミの方はどうなんだよ 」

「やだ、言いたくない 」

「じゃあ俺、帰らない 」

 俺はカイの作戦にはまってしまい、つい言ってしまった。

「いや、その…マグロとか、えーと殿様マグロとか、陰口叩かれてたみたいだけど…」

 殿様マグロって…さすがのカイも目を丸くしていたが、その次にはその目は怒りをぶつけてくる。

 その呼び名は誰につけられたものなのか、そしてそれを体験させたのは誰なのかと…

「その相手は華ちゃん? 華ちゃんなの? 」




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