小説「離しません!」&スピンオフ「オミとカイ-少女の霊と俺達と-」

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小説「オミとカイ」42.キスは少年のように

2024-10-24 22:52:00 | 小説
「うん、 でもそれは現実世界の話。俺が言うのは両方の世界の話」  両方、と言うのはカイらしいなと思う。 なんかストイックでカッコいい。 「荷が重いライフワークではあるけどね」 「カイもそう思ってたんだね、ライフワークって。始めた時のような絶望とか消去法とかでやってるわけじゃないね」 「そうだね あの時は流行っているから YouTube でも始めるかって感じだったね」 「でも始めたら意外と大変だった。 でも好きだったんだよね。 きっと」

 そこまで話したところで、もう時間も遅いし寝ようか、と俺が言った時、カイは 泣きそうな顔で、


…あのう、チューは...?


そうだった。

俺はすまなさで一瞬 凍りつき、


ごめん、と...


カイの頭を引き寄せて、彼の頭に唇をつけた...


…今の俺にはこれが精一杯だった。

「…」

 唇が 離れると、 お互い何だか驚いて、照れてしまって、うつむいてしまった。


 しかし、その後も、カイにはつらそうに尋ねられたのだ。


「...華ちゃん...」




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