
ビッグコミックオリジナルの増刊号に掲載されていた「この世のほかの恋」というマンガ、中々いいね。
作画は伊東潤二。原作は、あの江戸川乱歩の「人でなしの恋」。
伊東潤二の作品は、これまであまり読んだことがなかったけど、こういう絵柄は好き。
また、怪奇マンガというジャンルも私は好きだし。
妻を娶ったものの、その男は毎晩妻に内緒で土蔵に入ってゆき、何かをやっている。
不審に思った妻が、その後を追っていくと、どうやら夫は土蔵の中で見知らぬ女と密会をしてるようである。
その女の正体を確かめようと、妻は夫がいなくなったあとに、土蔵に入り、女を探す。
だが・・・それらしき人物は見当たらない。
だが、夫は毎晩土蔵に出かけてゆく。やはり、あの土蔵の中には、誰かがいるのだ。見知らぬ女が。
妻としては相手の正体を確かめないわけにはいかない。
意を決して、妻は土蔵の中に置いてある「長い箱」を開けた。
すると・・・!!
ネタバレになるので、これ以上はやめておく。
江戸川乱歩の作品は小学生時代にいくつか読んでるはずなのだが、もうほとんど忘れてしまっていた。
このマンガの原作は・・・読んだかなあ・・・いや、読んでないかもしれない。
仮に原作を読んでいたとしても、このマンガは、その絵の力も大きい。
人物の表情もいいし、タッチもいい。
流行に左右されない画風って感じで、こういう画風は決して嫌いではない。
それにしても、・・・この作品に出て来る「夫」のような精神や趣向を持った人って、案外今は多いような気がする。
まあ、この「夫」の趣向のレベルは、現実離れしてるけどね(笑)。
人がどんな趣向を持とうが勝手だが、それが他人の迷惑にならないことを願いたい。
それさえしっかりしていれば、その人がどんな趣向を持ってたって、他の人はその人のことをバカにしたりする権利はないと思う。
話は少しズレるかもしれないが、今の世の中は、自分の妄想と現実を混同させて境界線がなくなってしまってる人が多いと思う。
だから、現実離れした悲惨な事件がおきるのだろうと思う。
また、人の趣向を、種類によっては「上から目線」でバカにしたりする輩もいるから、余計に世の中の一部の人が暴走するんだろうとも思う。
で、それは「趣向」だけにとどまらない。その人の置かれた環境や状況にもあてはまる。
凄惨な事件は、決して個人だけのせいではなく、それを引き起こす(あるいは「引き起こさせる」)原因、環境がある。
むしろ、社会全体の責任でもあるのだ。政治、人の心、境遇、その他もろもろ。
もちろん、だからといって、その事件を引き起こした犯人の行為が正当化されるわけではないけれど。
ともあれ、結果だけを「インスタント正義感」や「よくある正論」だけを持ち出してなじってるだけじゃ、解決にはならない。その場で優等生面ができるだけだ。
そうなると、それに反発した輩が、さらなる犯人になることもある。
事件の本質を何とかしようとしないと、今後も同じことが起きるだろう。
凄惨な事件であればあるほど、それは社会の個人個人の心につき当てられた教訓でもあり、課題でもあるのだ。
今の世の中、人の心の「荒み」は、どんどん進行している。
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