
旅行には、トラブルもけっこうあるもの。
特にアクセス上のトラブルは、せっかくたてた旅行のプランに大きく影響する。
私にも、そういう経験は何度かある。
例えば、・・・あれは恐山や竜飛岬へ行く旅行の、初日の朝だった。
その日の朝、台風が来ていた。当然その情報は前日までに知っていた。だが、今さら日程の変更もできない。
それ用に、夏休みを申請してあったし、飛行機や宿の手配もすべて終わっていたからだ。
神に祈るような気分で旅行当日の朝を私は迎えた。
朝、天気予報をみると、やはり台風はきている。
しかも、私の乗る予定の飛行機のコースと、台風の通過の時間帯が最悪なぐらいかぶっている。
そうかといって、簡単にあきらめられるものでもないので、とりあえず羽田空港に向かうつもりで、山手線の浜松町駅で降りた。
浜松町からは羽田空港行きのモノレールがでてるので、浜松町は乗り換え駅なのだ。
電車を降りて、駅の階段を上った。すると、改札の近くに、看板があって、何か書いてある。
それは・・その日の朝の飛行機のフライト情報だった。
恐る恐る見てみると・・・・ああ、なんということであろう。心配は当たってしまった。
私の乗る予定の飛行機は・・・欠航が決まっていた・・・。台風のせいだ。
どうしたらいいだろう。私は対応策を考えた。
プランでは、・・三沢空港でタクシーが私を待っている手筈になっていた。
その旅は、フリープランの旅だった。いつもそうだが、団体ツアーが嫌な私は、個人の自由で移動できるプランを選んでいた。
飛行機で三沢空港に行き、そこに待ち合わせしている観光タクシー」に乗る予定だった。
だが、飛行機が飛ばないのでは三沢空港まで行けない。
浜松町の駅で、私は素早い決断をしなくてはならなかった。
とりあえずそのまま羽田空港に行って、空港で対応策を考えるか。例えば飛行機のキャンセル待ちでもするか、あるいは飛行機を振り替えるか。だが、その場合でも首尾よく飛行機に乗れるとは限らないではないか。
なにせ、行き先から言っても、飛行機は台風と並行して進むことになるのだから。
となると、あまりゆっくりもしてられない。そう、飛行機で行くのとは別の方法で行く場合は。
そこで私はとっとと羽田行きを取りやめた。浜松町の駅の改札を出るのをとりやめ、さっき登ってきた浜松町駅の階段を急いで下り、ホームに入ってきた山手線に飛び乗った。迷っている暇はない。
行き先は、東京駅。東京駅で降りると、急ぎで新幹線の切符を買い、一番早く出る東北新幹線に飛び乗った。
私が新幹線のホームに着いた時、もうすぐ発車するところだった。
そして私が急きょ飛び乗った東北新幹線は走りだした。
そして新幹線内のデッキで私は携帯を取り出し、あらかじめ携帯に入れておいた「ツアー会社」の電話番号に電話をかけた。
私の乗った東北新幹線は青森駅まではつながっていなかったので、飛行機に乗ることを取りやめた私は新幹線で八戸駅まで行くことをツアー会社に連絡した。
そして、ツアー会社には、ツアー会社の手配した「観光タクシー」に連絡するように頼んだ。
私が連絡を頼んだ内容は、観光タクシーとの待ち合わせを、青森空港から八戸に変更してほしいということだった。
私の乗った新幹線が八戸駅に着くには数時間かかる。
それぐらいの時間があれば、三沢空港に行く予定だった観光タクシーは八戸駅まで来ることは可能だろうと思ったからだ。私が電話をした時点で、そのタクシーの運転手がどこにいたかは私には分からない。だからこそ、いち早く待ち合わせ場所の変更を持ちかける必要があった。
ツアー会社に電話したら、その日の台風で飛行機の欠航が相次ぎ、私の乗る予定だった飛行機が欠航になったことも知っていた。なので、客である私はどうするのだろう・・・と案じていたそうだ。
ツアー会社は、私の自宅にも連絡したらしい。だが、簡単に旅行を私があきらめずに出かけた私は、すでに家にはいなかった。
ツアー会社としては、客である私の旅行は、当日になってキャンセルになる可能性も考えただろう。
普通、旅行の場合、当日キャンセルの場合は、払い込んだお金は返ってこない。
だが、台風のような天変地異によってのキャンセルだった場合、どうなるのだろう。
まあ、それは分からない。場合にもよるのかもしれない。
ともかく、私からの連絡を受けたツアー会社の人が安堵してるのはよく分かった。
三沢空港での待ち合わせをやめ、急きょ八戸駅での待ち合わせという、私の急な提案をツアー会社は引き受けてくれたが、一抹の不安は私の心にくすぶっていた。
果たして、私が八戸駅に着いた時に、ツアーの予約タクシーはちゃんと八戸駅に来ていてくれるのか。
仮に、そのタクシーの運転手が三沢空港に住んでる方だったとしたら、私が八戸駅に着く時間に間に合うのだろうか。
そんな不安を抱えながら、台風と並走するように東北新幹線は進んだ。
やがて・・八戸駅に到着。
私は、多少はやる足でありながらも、恐る恐る八戸駅の改札を出て、外に出た。
すると・・
ちゃんと、予約した観光タクシーは来ていた!
間に合った。首尾よくいったのだ。
この時は正直、「台風の奴め、してやったり!」・・という気分だった(笑)。
案の定、その日の朝の台風で、運転手も私が無事に来れるのかどうか心配していたらしい。
飛行機で三沢空港に行くよりは多少時間が押してしまったが、その時間的なロスを最小限に抑えようとして、素早く新幹線アクセスに切り替えて、待ち合わせ場所の変更も素早く指示したおかげで、時間のロスは最低限で済んだ。
結局、私のたてた旅プランは、その後無事に当初の計画通りに進んだ。
何事もなかったように。
その日のうちに、尻屋を巡った後に、無事に恐山に着くことができた。
その二日後に竜飛岬に辿りついた時は、台風一過で、空は抜けるように青かった。
たまに思うのだが、この旅で、もしも素早く新幹線に切り替えずに、そのまま羽田空港に向かっていたら、その旅は一体どうなっていただろう。
それこそ、その旅そのものが中止になっていた可能性も・・ある。
この旅は、朝からいきなり出鼻をくじかれた感じになったが、旅行ってのは、そうそうプラン通りにいくとは限らないのだ。
当日の天候で、あわや旅行が中止になりそうになったり、あるいは現地での天候のせいであわや予定通りに帰れなくなりそうになったことは、何度かある。
そのいずれのケースも、柔軟で素早い対応が必要になってくる。
余計な出費を惜しんだら、その結果旅が中止になってしまうこともあるのだ。
余計な出費を惜しんで、その旅が中止になってしまうほうがいいか。
それとも、多少余分な出費があったとしても、せっかくとった休暇の日程や内金を無駄にせず、なにより旅そのものを実現させるほうがいいか。
その選択肢なのだろう。
その時の例も、いずれ書いてみたい。
まあ・・いくら素早い対応をしても、中止にならざるを得ない旅というのもあるのだろうが。
場合によっては対応のしようがない場合もあるだろうし。
例えば、近年の大地震の時とか・・・。
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