
大森「風に吹かれて」に、佐渡山豊さんが出るというので、何があっても行こうと思っていた。
このライブは、佐藤龍一さん主催のライブ。
龍一さんは、昔「龍とかおる」というユニットで、70年代にエレックからデビューしたシンガーソングライターである。
この日のライブの出演者は、井上ともやすさん、龍さん、そして佐渡山さん。
井上さんのパフォーマンスを見るのは初めてだったが、熱いパフォーマンスだった。
曲もテンションも。
ギターの安定感もさることながら、何よりその滑舌の良さが印象に残った。
早いリズムで長い歌詞を機関銃のように歌ってくるわりには、その言葉がよく伝わってくる。
龍さんのライブはこれまでに何回か見ているが、今回も貫禄のステージかな。
数多くアマチュアミュージシャンとも交流があるようで、音楽をやる若手にとっては良い兄貴分ではないだろうか。
また、プロとしての幅広い人脈を活かしたライブ主催も精力的。
今回の佐渡山さんをはじめ、ケメや生田敬太郎さん、元ガロのマークさん、中川五郎さんなど、お店にとっても強力な出演者だと思う。
で、龍さんのライブの後、佐渡山さんの登場。
野武士のようなヘアスタイルでの登場。
佐渡山さんのアルバムは、十代の頃・・特に高校生の頃に私は聴きまくっていた。
彼の「世間知らずの佐渡山豊」「仁義」「もっと近くへ」の3枚のアルバムは、私にとって愛聴盤だった。
で、けっこう影響も受けた。
私の自作曲の中には、佐渡山さんの影響を受けた曲はけっこうあるのではないだろうか。
自分でもわかる。
単に、今の自分のライブではそういう傾向の曲は歌っていないだけで。
ライブ序盤、ちょっとギターのチューニングで苦労してらっしゃったようだが(笑)、佐渡山さんのあの独特の歌声が聴こえてくると、もう佐渡山ワールド。
細めでやや高めの声なのだが、特にハイトーンで歌う時のあの声は鋭さを放つ。
おそらく甘い歌を歌ってもさまになる声質だと思うのだが、佐渡山さんの歌は実に骨っぽい。
で、メッセージ性も強い。
そう、硬派なシンガーなのだ。
十代の頃に私が佐渡山さんに惹かれたのは、その骨っぽさ・硬派な点だった。
甘っちょろい歌がはびこる中で、ああいう硬派な歌を歌う姿は、実にカッコよく思えたもんだった。
硬派な歌の合間に、時々「三愛のおばちゃん」のような微笑ましい歌がはいると、余計引き立つ。
そのバランスがまた佐渡山さんの魅力ではないかなあ。
実際、この日のライブでも、「三愛のおばちゃん」は大受け。
しっかり私も一緒に歌ってしまいました(笑)。
佐渡山さんのライブを見たり、歌を聴いてると、沖縄のことをより身近に考えるようになる。
日本、アメリカ、中国・・・の間で揺れてきた沖縄。
それは昔もそうだし、今もそう。
尖閣諸島や米軍基地の問題が大きく取り上げられている今、沖縄は今後さらにクローズアップされていくだろう。
簡単に答えを出せない、また簡単に答えを出してはいけない問題なのだろう。
もともとは、琉球国なんだしね。
沖縄音楽は今や一ジャンルとして全国区。
沖縄系シンガーの活躍ぶりは目覚ましい。
だが、その草分けとなったのは、やはり佐渡山さんなのだ。
アンコールで歌った「ドゥチュイムニィ」は、いつもリスナーの心に鋭く迫ってくる。
この曲はまさに「生きている」曲で、また自由な曲で、その時の佐渡山さんの心次第でどんどん変化する曲。
歌詞の順番、メロディライン、歌われなくなった一節があるかと思えば、新たに加えられた一節があったり。
だから、毎回新鮮。
佐渡山さんにとってはライフワークのような曲だろうし、私自身も大好きな曲だ。
私自身弾き語りで何度か歌ったこともあるが、やはりこの曲は佐渡山さんのあの声で、あのハートで歌われてこそ、説得力があるんだよね。
それにしても、十代の頃の自分のヒーローが、今目の前に・・至近距離にいて歌ってるというのは不思議な気分だ。
もちろん、その不思議さは、嬉しい不思議さであるのは間違いない。
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