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気ままな雑記帳です。話題はあれこれ&あっちこっち、空を飛びます。別ブログ「時代屋小歌(音楽編)(旅編)」も、よろしく。

尾崎紀世彦とミスチル

2021年06月25日 | 音楽全般

 

ミスチルといえば、現在日本のバンドの中でもトップクラスのバンドである。

若い実力派バンドも次々に出てきてるが、なんといっても過去から積み上げてきた実績がミスチルにはあるので、その地位はまだまだゆるがないだろう。

 

そんなミスチルだが、私はさほど詳しくはないし、アルバムも持ってるわけではない。

一部のヒット曲を知ってるだけだと思う。

彼らの代表曲のひとつに「イノセントワールド」という曲があるのは、もう皆さんもご存知の通り。

この曲はもちろん私も知っていた。

聴いてて良い曲だとは思っていた。

だが・・ひょんなことから、これが「良い曲」どころではなく、とんでもなく良い曲であることに気付いた。

それは、ユーチューブで、尾崎紀世彦さんがこの歌をカバーしてた映像を見てしまった時だった。もう、けっこう前のことだが。

 

その映像は、かつてのテレビ番組「The夜もヒッパレ」の中での映像。

ミスチルのバージョンを聴いた時は、ボーカルはバンド編成の中の楽器の一部みたいな感覚で私は聴いてたのだが、尾崎さんが歌うこのバージョンを聴いたら、歌詞がビンビン伝わってきた。

これで初めて尾崎さんのボーカルを聴いた人は尾崎さんの桁違いの歌唱力に度肝を抜かされたはず。

なにより、この番組でその時に現場にいた出演者は、今でもその時の衝撃を語り継いでいるぐらいだ。伝説の歌唱だったと言っていいだろう。

 

また、尾崎さんのこのバージョンでは、この曲のメロディラインも非常につかみやすく、そこにはバンドサウンドというより、1曲の「歌」としての魅力が溢れていた。曲の良さも、歌の上手さも、心にビンビン響いた。

聴いて、「うわっ、この曲って、こんなに良い曲だったんだ」と思った。

ミスチルの櫻井さんって、こんなに良い曲を作ってたんだねとも改めて思った。

 

このシーンは、今やレジェンド化してるぐらい、多くの人に見られているようで、あちこちで語り草になっているし、現役の若い世代からの賛辞のコメントが今でも寄せられている。そこにはリスペクトの気持ちが溢れており、なにやらほほえましいし、なによりリアルタイム尾崎のファンだった立場としては感無量だ。

 

尾崎さんのボーカルの良さが、世代を超えて伝わっているのが嬉しい。

ミスチルのファンにとっては、ミスチルをあまり聴きこんでない人にミスチルのソングライティングの才能や良さを知らしめ、尾崎さんのファンにとっては、尾崎さんをよく知らない世代に尾崎さんの桁違いの歌唱力を知らしめたシーンだったと思う。

 

 

いつぞや、歌手の歌唱力をランキングづけする番組が放送されたが、その番組はあくまでも「現役」の歌手に絞ったランキング。

もしも、歴代・・・ということにしてランキングしたら、どうなっただろう。

ネットではそういう企画はあるけど、さてテレビ番組ではどう判断するだろう。

そうなると、当然美空ひばりさんも入ってくるだろう。

ロック畑ではジョー山中さんだって相当なものだったと思う。

で、尾崎紀世彦さんはどう判断されるだろうね。

 

その番組では、1位はミーシャさん。2位は玉置浩二さん、そして3位は島津亜矢さんだった。

いずれ劣らぬ歌唱力を誇る人たちだ。持ち味や、歌唱力のベクトルは違うけれど。

ランキングで山下達郎さんが入っていなかったのは、個人的に疑問だったが・・。もしかしたら、本人の意向で外してもらったのかもしれないけど。

 

歴代・・・ということにしたら、美空さんや尾崎さんはどうなるだろう。

まあ、さすがにランキング圏外ということはないだろうが。

 

恐るべき声域と声の伸びを持つミーシャさん。

感情表現が豊かで、語るような歌い方もうまい玉置さん。

ホームグラウンドは演歌方面出身だが、幅広く歌をこなせる島津さん。

コンテストなどでどんな強敵(?)にも屈しなかった新妻さん。

心地よさでは小田和正さんも特筆もので絶品。

 

そんな中に尾崎さんや美空さんが入ったら、はてさて?

 

 

ユーチューブでは「The夜もヒッパレ」の映像が何本もアップされており、尾崎さんの歌ってる動画は今現在も見れる。

このへんは、ありがたい限りだ。

この番組に出てた尾崎さんの動画も何本もある。

尾崎さんが歌った直後の他の出演者の反応も見ることができる動画もある。

 

尾崎さんの歌唱は、同業の歌手たちをも魅了してたのがわかる。

そう、本来ライバルであるはずの同業の歌手たちをもファンにしてしまえるほどの実力。

「歌手の中の歌手」・・そんな存在感があった。

 

尾崎さんが亡くなった時、あるベテラン歌手が尾崎さんの葬儀に来た時に「あの歌唱力、尊敬していました。あの人(尾崎さんのこと)の前で歌うのは恥ずかしかった。」と語っていた。

 

また、あるJポップの大物男性シンガーは「尾崎さんは日本で史上最強の男性ボーカリストだった」と語った。

 

よく尾崎さんとその実力で比較されていた大物ベテラン歌手ですら、尾崎さんには脱帽していた。

 

なんでも、その番組で尾崎さんが歌うシーンが来ると、番組のスタッフたちも自身の手を休めて尾崎さんの歌を生で聴きにきていた・・・という噂もあった。

 

 

そういえば・・私が昔通ってたロック系パブで、たまに顔を合わせることがあった常連のひとりだったEさんが、ある時私に秘蔵の写真を見せて自慢したことがあった。

その時は、カウンター席で私とEさんが話してて、尾崎さんの話題を私が口に出したからだっただろう。

「尾崎紀世彦さんって、かっこよかったんだよね。歌手として大好きだったんだ。聴いてて気持ちよかった。」とでも、私は言ったのだろう。

そうしたら「だんちゃん、ほら、この写真見て」と、Eさんは写真を出してきたのだと思う。

その写真には、Eさんがどこかの飲み屋でカウンターで飲んでる姿が写っており、Eさんの隣席には元気だったころの尾崎さんが写っていた。つまりそれは飲み屋でのEさんと尾崎さんのツーショット写真であった。

その写真はカウンターに隣り合って座って飲んでるEさんと尾崎さんを正面から撮った写真だった。アングル的に、カウンターの中から撮った写真だったはずだ。

Eさんはその写真をいつも持ち歩いて大事にしていた。

私がその写真と、そのシチュエーションを羨ましがったのは言うまでもない。

 

 

前述の「The 夜もヒッパレ」での映像は、「イノセントワールド」が素晴らしいのはもちろんだが、他にも尾崎さんの歌うシーンが素晴らしいのはいくつもある。

尾崎さんがこの番組に出てた時、尾崎さんを知らない若い人に尾崎さんが知られることになり、若い人からけっこう人気が出てたらしい。

私思うに・・・この当時、「The夜もヒッパレ」で尾崎さんがカバーしたJポップの曲をフルバージョンでカバーした「Jポップカバーアルバム」を尾崎さんが出すという企画は持ち上がらなかったのだろうか。

 

もし出てたら、かなりいけたのではないか・・と思うのは私だけだろうか。

なんか・・絶好のタイミングだったと思うのに、もったいなかったなあと思わずにいられない。

 

「The夜もヒッパレ」では、Jポップのカバーは省略バージョンで歌われていた。

それを省略バージョンではなく、尾崎さんがフルバージョンでカバーしてるのが聴ける「jポップカバーアルバム」を出してほしかった。

 

もしそういうアルバムが出てたら、ミスチルの「イノセントワールド」はもちろん、山下達郎さんの「ドリーミングガール」なども収録してほしかった。

 

その番組で尾崎さんがカバーしたそれらの曲の出来がため息が出るほど素晴らしかったから。

尾崎さんのボーカルの素晴らしいのは、高音部になっても、高音がキンキンしないこと。

高音が出るのはいいけど、高音になると声質がキンキンしてきて、聴いてて疲れるボーカルもたまにあるものね。

尾崎さんには、それがなく、高音部もひたすら心地良い。

高音部になっても、声が細くならず、太く暖かくて心地よい。

もちろん低音部分の豊かさや、中音部分の充実ぶりも見事。

そして全体的に広がりがあり、色気のオーラもある。

しかもその色気には、嫌みな要素もなく、堂々としてナチュラル。

さりげなく、しつこさのないビブラートには、普段ビブラートが苦手な人も魅了されるのではないか(実は私は、しつこいビブラートは苦手)。

 

まだ聴いたことがない方、一度聴いてみてほしい。

        ↓

尾崎紀世彦 Innocent World Mr children cover

 

尾崎紀世彦ー(山下達郎)DREAMING GIRL

 

 

 

これを見てると、もし達郎さんが尾崎さんのために曲を書いて提供していたら・・・と思ってしまう。

当時、そういう企画があればなあ。

 

それにしても・・・尾崎さんには、もっと長く活躍してほしかった。

で、洋楽はもちろん、Jポップのカバーも、もっともっと歌ってほしかった。

尾崎さんの他界後に世に出たJポップの名曲たちは、尾崎さんに歌ってもらうことはできないのが、ちょっと気の毒にも思えるほど。

 

でも、今でもこうして尾崎さんを知らない世代に彼の歌を聴いてもらえてるのは嬉しい限り。

尾崎さんを聴いてくれてる若い世代の皆さん、ありがとう。

尾崎さんって、圧倒的で、しかもカッコよかった。

リアルタイムで見てた者としては、まぶたに焼き付いて、忘れられないシンガーだった。

歌の実力も、ルックスも、こびないスタンスも。

ルックスでは、時にはエンターテイナー、時にはスポーツマン、時にはロックミュージシャン、時にはアウトロー、時にはどこかの威厳ある男爵、時には野性児のようで、アウトドアが似合う人だった。

そして、なんといってもダンディー。

 

歌のうまさは、まさにラスボスだった。

 

 


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (stars0622)
2021-06-25 19:55:01
失礼します。
尾崎紀世彦さん感動しました。
最高ですね。
良いもの見せて頂きました。
ありがとうございます。
返信する
Unknown (だんぞう)
2021-06-25 22:06:38
ありがとうございます。
早速聴いてもらえたようで、嬉しいです。
このネタを書いたかいがあった…そんな思いでいっぱいです。

絶品ですよね、尾崎さんのボーカル。 
圧倒的で、最高です。
歌唱力に絞って勝負する歌手の強さを感じてしまいます。やはり、凄いとしかいえません。
返信する
Unknown (stars0622)
2021-06-25 22:21:45
素晴らしいですね。
自分のブログでもご紹介します。
返信する
Unknown (だんぞう)
2021-06-25 23:15:21
ぜひぜひ!
尾崎さんというスーパーボーカリストがいたことを、広めたいですね。
そんじょそこらの歌手では到達できないレベルの実力者です。
返信する
Unknown (stars0622)
2021-06-25 23:48:14
明後日のブログに投稿します。
偉大なボーカリストですね。
返信する
Unknown (だんぞう)
2021-06-26 00:02:34
読ませてもらいにいきますね。
返信する

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