
この記事は、2012年の5月に投稿した記事。
今現在私のこのブログでは「私の漫画遺産」シリーズという「分け方」があるが、この「イサム」を初投稿した2012年にはまだその「分け方」はなかった。
だが今は「私の漫画遺産」シリーズがある。
この「イサム」の記事も「私の漫画遺産」シリーズに入れるにふさわしいネタだと思うので、改めてこの記事を「私の漫画遺産」シリーズに組み込んで、「私の漫画遺産 11」とカウントして、新たにここに投稿しなおすことにした。
で、せっかく再投稿するからには、それなりに加筆もしておくことにした。
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「荒野の少年 イサム」。
これは、日本人によって描かれた西部劇コミックの金字塔である。
日本人が描いた、これ以上の西部劇漫画は、私には思い浮かばない。
ともかく、最高に面白い。
読み出したら先が気になってやめられなくなること、うけあいだ。
よくぞこれほどの本格的な西部劇漫画を日本人が生み出したものだ・・と感嘆すると共に、私はこの作品を日本人として誇りに思いたいくらいだ。
人間ドラマ、友情、愛情、そしてアクション、どれも満点である。
原作・山川惣治
作画・川崎のぼる
絵柄は、まんま「巨人の星」である(笑)。
主人公イサムはまるで星飛雄馬だし、ビッグストーンなるアウトローはまんま花形満である(笑)。
さすがに左門は出てこないが(笑)、ヒロインは明子姉ちゃんそっくりだ。
でも、それがどうした(笑)。
ストーリー運び、絵の緻密さ、キャラの立ち方、作品の完成度では「巨人の星」にひけをとっていない出来栄えである。
川崎のぼる先生の代表作といえば、「巨人の星」「いなかっぺ大将」などの作品名を挙げるのが一般的であろうが、私はこの「イサム」も川崎のぼる作品の代表作のひとつとして、自信を持って挙げたい。
ガンアクションの痛快さ、人種差別などの社会性あふれるテーマ、友情、愛情、人間としての生き方、どれもがうまく盛り込まれ、ただのアクション巨編で終わっていないところに、この作品の深さがある。
川崎先生の絵のタッチは、この作品が描かれたころは最高潮だったのではないだろうか。
各コマ、各コマの細部まで、よく描きこまれている。
入魂の一作だ。
日本には、元々西部劇漫画は少ない。
これまでもそうだったし、本国アメリカでの西部劇の衰退ぶりを見れば、今後も日本では西部劇漫画はそうは描かれないかもしれない。
だとすれば、この作品は日本漫画史上でも貴重な作品ではないだろうか。
数少ない「日本人の描いた西部劇」で、この作品ほどの名作が存在していることは、なにやら奇跡のようにも思える。
「荒野の少年イサム」は、日本の漫画界において、唯一無比、孤高の名作として、その存在は燦然と輝いている。
埋もれさせておくのはあまりに惜しい作品だと思う。
そういえば・・
私は若い頃に、西部劇の主人公を題材にした自作曲を作ったことがある。
歌詞が7番プラスアルファまであるという、長い歌だった。
その根底には、「シェーン」「ビリーザキッド」などをはじめとする西部劇映画もあったが、この「イサム」の存在も大きかった。
それほど、「イサム」は私の心に残っている作品である。
よく知られている実在の保安官ワイアット・アープ、そしてその友人にしてガンマンでもあるドク・ホリデイも「イサム」には出てくる。
この二人は映画などでもすっかりおなじみだし、「伝説の保安官」「伝説のガンマン」として今に伝えられてるが、数年前に実際のアープの写真と、彼にまつわる記事を読んで多少イメージは変わってしまったが、まあ虚像と実像の差というのは、有名人なら誰でもあることだよね(笑)。
ワイアット・アープは、日本でいえば宮本武蔵みたいな存在なのかなあ、アメリカ人にとっては。
ともあれ。
今現在「イサム」の入手状況がどのようなものなのかは分からない。
もし・・
古本屋さんや本屋さんなどで「荒野の少年イサム」を見かけたら、一度手にとって読んでみることをお勧めしたい。
そうしたら・・
日本人がこれほどの西部劇作品をオリジナルで生み出したことに、感心してしまうだろう。
ちなみに、この作品はテレビアニメ化されて放送されたことがあった。
アニメ版では、当初は原作に沿ったストーリーで物語が進んでいたが、途中からは1話完結のオリジナルストーリーで制作された。
その際、物語の流れに、多少変更がなされていたようだ。
原作漫画の方ではイサムは成長するにつれ、容姿も少しづつ大人びていったが、アニメ版の方では、少年の姿で通された。
アニメ版の方は、私は後半はあまり見てなかった。
原作中途にあった「インディアンとの戦い」はアニメ版では描かれたのだろうか。
人種差別の愚かさに触れた、感動的なエピソードだった。
できればハリウッドで新たな西部劇として映画化してほしかったが、西部劇で日本人少年が主人公というのでは、中々アメリカ西部劇での映像化は難しいのかなあ。
もっとも、イサムは日本人男性の父とインディアン女性の母の間に生まれたハーフという設定だったが・・。
ちなみに、黒人のアウトローであるビッグストーンは極めてかっこよく、イサムを取り巻く白人たちは優しい人が多く、どれも魅力的に描かれていた。
イサムを育てた大悪人のウインゲート一家は札付きの悪で、どうしようもない奴等だったが、ウインゲート一家のボスだけは悪の中にも人間味を感じさせ、魅力的に描かれていた。
私はウインゲート親子のボスも・・・好きだった。ボスは大悪人のアウトローだったが、アウトローらしい気遣いをイサムに見せて死んでいったしね。
う~ん、こうやって思いだしてみると、本当に魅力的なキャラが多かったなあ。
やはり・・「荒野の少年イサム」は、掛け値なしの名作だったと思う。思いだすと、改めてしみじみそう思う。
ボクにとっては「ど根性ガエル」や「ハレンチ学園」と共に大好きなマンガでした。
連載当初、主人公イサムは、赤ん坊の頃、飯場の荒くれ男達の手によって
アイドルのように愛されて養育されます。
「三つ子の魂、百まで」という諺が、ありますが、この時の経験が
イサムの強い正義の魂を培ったのでしょう。
後に、腐れ外道のウインゲート親子に拾われ、ガンマンとして鍛えられて
いきますが、彼の魂をワルにすることはできなかった。
川崎先生のガンファイトのアクション描写は、ハードボイルドで、
銃撃戦のシーンでは銃弾が、悪党の体に着弾し肉が爆ぜ鮮血が飛び散る
シーンも、克明に描いていました。
殺伐としたシーンばかりでなく、紅一点のクララとの淡い恋愛シーンや、
ビッグストーンとのエピソードも、読みごたえがありました。
この作品が、山川惣治先生、川崎のぼる先生ならではの、全編に人間愛に満ちた
昭和の名作マンガなのは、間違いないでしょう。
数年に1度、読み返します、
ストーリーがわかっていても、いまだに面白いです。
ウインゲートのイサムの育てかたは、ほとんど少年虐待でしたよね。
でも、幼児のころに善良な人達に育てられた体験が、イサムを悪人にさせない善良なガンマンにしましたよね。
ウインゲート一家はどうしようもない悪人たちでしたが、ボスだけはそれなりにイサムに愛情も持ってた気がします。
ガンファイトのシーンは、ハードボイルドでした。
構図、絵柄、物語、どれをとっても不滅の名作ですよね。
埋もれてしまってるのがもったいないです。
少年ジャンプの歴代名作たちと比較しても、まったく遜色のない大傑作です。
ジャンプの歴代名作群の中に間違いなく入りますね。
日本人が、よくぞこれまで優れた西部劇作品を描いたもんです。
無料で読めるところで第1巻を一部読みしましたが、冒頭だけでもとても面白いです。手に入れて読もうと思います。
レビューをありがとうございます。
「イサム」は間違いないく川崎先生の代表作のひとつです。
自信を持ってお勧めします!
背中を押してしまいます。
ぜひ読んでください。
ちなみに・・・ちょっと前に、ユーチューブで「イサム」のアニメ版が多数アップされてました。
少なくても、原作通りに描いたアニメ部分は全てアップされていました。
今も見れるかどうかはわかりませんが、もし今も見れる状態なら、ぜひ。
ともかく、「イサム」は日本漫画史に残る傑作ですよ。一度読み始めたら先が気になって、一気に読み進めてしまえます。
アニメではそれで終わるのですが、原作漫画ではその男がイサムを守ろうとして猛獣に食い殺される。とてもショックを受けました
アニメを先に見ただけに・・・
ともかく面白かったです。
ストーリー、設定、絵柄、どれも秀逸でした。
川崎のぼる先生が最も絵柄に熱がこもっていた時代だったと思います。
アニメ版はリアルタイムでは見てませんでした。
あとから再放送をたまに見ました。
近年、ユーチューブに、イサムのテレビアニメ版がアップされてたので、一気に見ました。
原作通りにアニメが進んでた部分は面白かったんですが、途中から1話完結のオリジナル「勧善懲悪」シリーズになってからは見てません。
やはり原作にそって製作されてた頃のアニメの方がアニメ作品としてはよかったです。
うらやましいです。
イサムとビッグ・ストーンの対決。悲しかったです・・・
>途中から1話完結のオリジナル「勧善懲悪」シリーズになってからは見てません。
イサムがウインゲート一家を倒す訳ではない。別れるだけ。
そのあとに1話完結のオリジナル「勧善懲悪」シリーズでしたよね
切なかったです。
ウインゲート一家では、ボスだけはイサムにそれなりの愛情を持っており、最後はアウトローらしい気遣いを示してました。
どちらも泣けるシーンでした。
アニメオリジナルの勧善懲悪シリーズになってからは、物足りないものがありました。