コアなXTCファンの間では賛否両論あるらしいアルバム「スカイラーキング」。
私にとっては大好きなアルバムである。屈指の傑作アルバムだと私は思っている。
プロデュースがトッド・ラングレンだからか、ビートルズのエッセンスを感じる内容になっており、ビートルズファンの私にとっては、極めて受け入れやすいアルバム。
一頃、会社にマイカー通勤をしていた時、行きも帰りもこのアルバムを聴きながら運転していた時期が私にはある。
当時私は町田近くの、田園風景がよく残っている場所に住んでいた。
その中でも、メインの道をはずれ、裏道を通れば、「ここはどこの田舎?」と思いたくなるような風景が続いていた。
とても東京近郊とは思えない場所だった。
まずは坂を下り、平坦な道を少し走ったあと、道はなだらかな上り坂になっていた。
あたりは閑静な住宅街だった。元々はそのあたりは里山だったに違いない場所だった。
里山を開発して、住宅地にした場所だったろう。実際、里山だった名残は残っていたから。
やがて上り坂を登りきると、視界が開け、けっこう遠くまで見渡せた。
ちょっとした頂上のような地点だった。
これから駅方面に向かって車で降りてゆく坂道のわきは、桃園のようでもあった。
自宅を出て、車に乗り、エンジンをかけると同時にカーステでXTCの「スカイラーキング」を頭から流しはじめると、ちょうどこの「ミーティングプレイス」が流れるあたりで、この丘陵の頂上付近に着く。
なので、この曲を聞くと、今でも、丘陵の頂上付近から見下ろした風景がよみがえってくるような気分になる。
このアルバムには全体的におだやかな雰囲気があり、環境音楽とまでは言わないまでも、個人的にはそれに近い雰囲気を感じていた。自然風景を感じさせられる音楽なのだ。
それらの要素が、当時私がこのアルバムを聴いていた自然環境にマッチしたのだろう。
朝も夜も聞いていたが、どちらかというと、朝のほうが気分的にはこのアルバムは似合っていたように思う。
少なくても、サウンド的には、さわやかな感じがあった。
なんか、後から知った話だが、LP版でのA面は昼のイメージで、B面は夜のイメージで作られたとか。
だとすると、朝、出勤の時にこのアルバムのA面を聴き、夜、帰宅する時にこのアルバムのB面を聴く・・・というのが、一番よかったのかもしれない。
XTCというと、ひと癖ある音楽性・・そんなイメージを私は持っていたが、この「スカイラーキング」には実に聴きやすい音楽性があった。
アコースティックな要素もまた、そのおだやかさや聞きやすさに一役買っていたように思う。
もちろん、よく聴きこむと、一筋縄ではいかない味付けが随所に見られるし、仕掛けもある。
聴けば聴くほど、発見があるようなサウンドで、どの曲もかなり緻密なアレンジが施されている。
しかもそれが、大げさではなく、さりげない。だが、どれも、非常に効果的。カラフルなSE(サウンドエフェクト)が楽しい。
まさに、ポップセンスの結集という感じ。決して難解な印象はないが、難解に聴くこともやろうと思えばできる気がする。
とはいえ、全体的な聞きやすさがたまらないアルバム内容になっている。
なんでも、このアルバムのレコーディングでは、XTCのメンバーと、プロデューサーのトッドはかなりもめていたらしい。
噂ではケンカ寸前だったとも聞くし、けっこう険悪な雰囲気もあったとか。
だが、出来上がったこのアルバムの素晴らしさは、どうだ。
もしかしたら、緊張感の中、それが刺激となって、互いの才能や意地が、こういう高みに彼らの音楽を押し上げたのかもしれない。
XTCのアルバムでまず最初にこのアルバムをお勧めする・・というのは、コアなXTCファンにとっては異論もあるかもしれない。
でも、少なくても私にとっては、人に薦めたくなるアルバム、それがこの「スカイラーキング」だ。
当初、レンタルレコード屋の時代に、LPとして借りてきて、カセットにダビングして聞いていたのだが、CDの時代になって、このアルバムはCDで買い直した。
それほど、私にとっては思い入れのあるアルバムである。
特に、「ミィーティングプレイス」という曲のイントロには、多大な影響とインスピレーションを私は受けている。
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