「ザ・パシフィック」というのは、
アメリカのドラマシリーズで、
太平洋戦争のガタルカナルから沖縄までの、
海兵隊員の手記を元にしたものです。
原作は20年以上前に読んでいました。
ちなみに1991年に琉球新報社から出版されています。
現在は講談社学術文庫でも再版されているようなので、
入手は簡単だと思いますよ。
ご興味のある方は読んでみてください。
ドラマ全体の感想といえば…
ハッキリ言って姉妹編といえるような、
「バンド・オブ・ブラザーズ」のほうが、
なんか面白かったです。
いや、つまらないから途中で飽きたということでもありません。
本当につまらなかったら最後まで観ません。
これは他のドラマシリーズと同じです。
かといって何度も観ようとは思わないですね。
超個人的意見ですけど…
その程度の作品ってことです。
しかしこういった戦争ドラマで、
いつも感心されられるのが、
時代考証の完璧さ!
芸が細かいというか、ちゃんと調べているんですね。
もっとも、アメリカではドラマにしろ映画にしろ、
ミリタリーアドバイザーが監修してるから、
当然といえば当然かもしれません。
しかもミリタリーアドバイザーになった元軍人が、
俳優としても出演してるんですからね。
日本じゃ考えられないです。
ただ気になったのが「沖縄編」ですかね。
観た方もおありでしょうが、
若い女性が爆薬を括り付けられているシーン。
残虐ですね。
日本軍は酷いことをしますね。
でもあのシーンは、本当にあったことなのでしょうか?
ちょっとわかりません。
ま、ドラマというのは実話を元にしたフィクションですから、
日本軍の残虐性を強調するためのものかもしれません。
ただし、そういった「残虐な日本軍」というのは、
当時のアメリカ軍兵士が書いた手記や証言集には、
結構あるんですよね、実際の話。
例えばこれも沖縄戦での手記ですが、
「洞穴の外で泣いている女の子を見たことがある。背中に爆薬が仕掛けてあった。数十メートルほど後方に、日本兵の姿があった。日本軍は、このように子供をブービートラップ(仕掛け爆弾」として使うことが多かったという」
という感じで「卑怯で残酷な」日本軍を強調するものがあるんです。
さて、これも本当かどうか疑問ですね。
日本や日本軍の戦争責任を追及する人たちにとっては、
大好物で格好の材料になりますけど、
実際はどうなんでしょうね…
敵を悪い奴らと印象づけるのは、
古今東西からして腐るほどありますし、
人種偏見も当然のようにあることですから、
正義のアメリカ対邪悪な日本という、
勧善懲悪な構図の結果ではあるかと思います。
そういったわけだから、
嘘かどうかわからないけど、
「野蛮で卑劣なジャップならやったかもしれない」
という印象だけが後世に残ってしまうような気がします。
特に検証もされないままにね…
それと、このような人種的なわだかまりを考えると、
いつも思い出すことがあります。
ニュルンベルグ裁判でアメリカの検事が、
ユダヤ人の虐殺について、
あのヘルマン・ゲーリングに問いただしたところ、
「アメリカは黒人に同じことしてるじゃないか」
と、反論したそうです。
なんかむなしいですよね…
参考文献
吉田健正『沖縄戦 米兵は何を見たか』(彩流社 1996年)