アルビレックス新潟レディースの選手たちを頻繁に応援に行っている人間なら
『TASAKIペルーレ休部、なでしこリーグ退会』
http://www.tasaki.co.jp/what/perule081010.pdf
というリリースを読んだとき、“来るべきものが来たか”という感想を持ったことでしょう。
でも、北京五輪の日本女子サッカーチームの4位入賞で、女子サッカーに関心を持ち始めた人や、サッカー好きでも女子サッカーの応援にあんまし行ったことがない人間には、程度の差こそあれ、驚愕のニュースだと思います。
本日、大和生命が経営破綻したのは、サブプライムローンを起因とするアメリカ発の金融恐慌のせいだけど、田崎真珠が傘下のTASAKIペルーレの休部―実質的には廃部―を発表したのは、株大暴落のせいじゃありません。
1~2年前くらいから親会社の田崎真珠の経営が悪化していて、自社ビルを売却したり、経営トップを入れ替えたり――でも一族経営は不変――して、どうにか経営再建を果たそうとしていましたが……去年の10月期決算では有価証券報告書に「継続企業の前提に関する重要な疑義が存在している」という一文まで載せなきゃいけないほどに。
要するに経営破綻寸前の状態になっちまったってわけです。
そこで、救済してくれる人・法人を探したところ、投資ファンド「MBKパートナーズ」が経営建て直しを買って出てくれました。
だがしかし、投資ファンドって、どんな行動原理を取るかは、お分かりですよね?
儲けている部分に資本を集中投下して、逆に不採算部門は容赦なく切り捨てる。
そして高利益体質に生まれ変わらせるのが、投資ファンド。
TASAKIペルーレは、いわば社員の福利厚生。
お金を生み出さず、お金が出て行く一方。
真っ先に整理縮小の対象になるのは自明の理。
てなわけで、このニュースは、昨年末から今年1月頃にかけて、女子サッカーの応援をしている者たちの耳に入っていました。
だから、吾輩を含めてアルビレディースの応援に幾度となく足を運んでいる人間にとっては、驚きの少ない知らせです。
来るべきものが来たか、という類のニュースです。
6月にTASAKI×ベレーザを観戦したとき、ペルーレの選手のパフォーマンスが物凄く悪かったです。
当時、いよいよ廃部かなと匂わせる報道が、朝日新聞などで掲載されてたからねえ。
6月、ホムスタ神戸に行った際、スタジアム見学などをしたのですが、そのとき、関係者からTASAKI存続危うしの話を聞かせてもらいました。
“ヴィッセルが、買うてくれたら、ありがたいんやけどなあ。
いくら三木谷さんでも、そない金があるわけあらへんもんなあ”
というように嘆いていました。
チーム存続のために、同じ神戸市をホームタウンとするヴィッセルに打診してた模様ですが、色良い返事はもらえなかったようで。
そして9月初旬、ヴィッセル神戸のサポーターズミーティングで、チーム統括本部長さんが、こういうような趣旨の発言をしました―
“TASAKIやINACと協力して女の子にサッカーを教えたりするなどの協力はしますが、女子チームをヴィッセルは保有しません”
もうここまで来れば、廃部は不可避。
けど、それで泣くのは、チームの選手たち。
チーム丸ごと引き受けてくれるところを探していたけど、それすら叶わなかった……
女子サッカーチームでは[移管]というのは珍しくなく、たとえば、浦和レディースは「さいたまレイナス」から衣替えしています。
東京電力マリーゼも、昔は、YKK APというチームが前身でした。
なので、どこぞの篤志家なり、女子スポーツに理解のある企業などが受け容れてくれる道もあったんですが、それも無く。
横浜フリューゲルスみたく、どこかのチームに吸収ということでもなく、TASAKIペルーレは消滅の道を辿ることになります。
せっかくの北京五輪での4位入賞も、効果なかったって訳ですな。
さて、TASAKIが廃部の憂き目に遭うかもしれないという情報を知り、誠に不謹慎ながらも、吾輩やサポ仲間は、ほんのちょっとだけそのニュースを〝歓迎〟していました。
だって、ペルーレが移管せずに廃部・退会すれば1部・2部リーグの入れ替えに、多大な影響が出てくるんだから。
ぶっちゃけ書いちゃいますと、TASAKIの消滅で、アルビレディースは降格せずに済むかもしれない!
規定では、1部リーグの最下位と2部リーグの首位が自動で入れ替わります。
そして、2部リーグの2位と、1部リーグのブービーとが一発勝負の入れ替え戦を行います。
つまり、降格枠=昇格枠は「1.5」。
けど、それは、来季も1部リーグが「8チーム編成」という前提の下。
TASAKIが退会すれば、7チーム編成になります。
そこで最も考えられるストーリーが、1部のビリと2部のトップは入れ替え、1部の7位は残留し、2部の2位が昇格というモノ。
次いで考えられるのは、2部の1位は昇格、1部の最下位と2部の2位で入れ替え戦。
なんにせよ、入れ替え戦規定が変更される可能性大。
降格枠が、「1」乃至「0.5」になり得るってことです。
アルビレックスレディースは、開幕から降格圏内を脱することが出来ずの状態。
現在も大ピンチで、自動残留の6位になることすら厳しい状況。
だから、TASAKIと選手とサポーターには申し訳ないけど、廃部の決定は、ほんのちょっぴりだけ、嬉しいという気持ちがあります。
残留の道幅が1メートルだったのが、5メートルにまで拡がった気分です。
でも、安心は出来ません。
最下位の伊賀FCとの勝ち点差は「1」なので、ビリっけつ転落が否定できないのです。
1部リーグ7位が入れ替え戦、という規定が変わらないかもしれません。
だから、なるだけ伊賀との差を広げ、尚且つ、6位のマリーゼとの差を縮めなくちゃいけない。
駒場スタジアムでのレッズレディース戦、やっぱり勝ち点3が必要です。
多くの新潟応援者が、駒場に来場することを強く強く願っています。
なお、来週、なでしこリーグの会議が開かれ、入れ替え戦についての詳細がきまるとのことです。
チームが消滅するってことはリーグや競技にとって全く良いことは無くて、瞬く間に負の連鎖をするので残ったチームもまた蕀の道を歩むことになります。相当頑張って盛り上げていかないと斜陽なスポーツになっちゃいますよ。
スポンサー撤退にならないように今こそできるだけ多くの人に関心を持ってもらわないといけないじゃないでしょうか。その為にはギリギリのしのぎを削るくらいの試合をするくらいじゃないと。
田崎は企業チームが故に常に内向きな論理で活動していたような印象です。部活だから当然なんですけど。
見に来てくれた人を意識したサッカーをやらないとどんな競技であれトップリーグは成り立たないでしょうね。
今の時代、実業団が生き延びるのはとても難しいです。
鳶様もおっしゃっていましたが、こういう負の連鎖は他の所にも悪いように伝わってしまいますし、止まらなくなっちゃいますしね。
そうなれば、アルビレディースにも波に流される危険が大きくなってしまいますしね。
まずは、俺達も力を注いで、一つ一つ戦わなければ、ですね!
我が世の春の英国サッカーリーグも、金融恐慌のために破綻しかねない状況だとか。
米国のNFLやNBAにも影響が出始めているそうです。
全米のゴルフツアーのスポンサー企業にも撤退の動きがあるとの話です。
企業スポーツ自体もそうですが、今やスポーツは経済活動と密接な繋がりがあります。
プロなら尚のこと。
今更、切り離せません
変な話ですが、スポンサー「こそ」が大事にしてくれるようなリーグ作り・チーム作り、そしてその繁栄が重要になってきますね。
どんどん宣伝費は削除されていきますから、その分、スポンサーになってよかったと思わせるような価値作りが大事になるのではないかと。
田崎の話が、どれだけ新聞で取り上げられているか調べましたが、そんなに記事量はありませんでした。
北京五輪であれだけ騒いだのに…
女子サッカー繁栄への道は、まだまだ険しいです。
レディースは様々なスポンサーに支えられていますが、スポンサーを辞めたという事例が相次げば、大変なことになります。
こんな不景気ですから、アルビレディースなど…
そうならないためにも、アルビには1部リーグに残留し、なおかつ、リーグそのものを盛り上げなくちゃいけません。
でも、北京効果は、大して無いようです。