西高野街道は「与津の辻」で中高野と交わり河内長野へ、また東高野街道が河内長野「辻本の辻」で合流します。一つになった高野街道は紀見峠を越え和歌山へ、高野山真言宗 総本山金剛峯寺に向かいます。真言密教の開祖空海信仰に始まった霊場高野山へ向かう参詣は、平安末から鎌倉初期に公家が始めて開かれた参詣道です。後に高野聖の納骨や江戸時代には、一般庶民にも広まった巡礼の街道です。不動口女人堂へ一里石を求め当時の痕跡残る京大阪道と、千国橋から街道を離れてトロッコ道へ向かい九度山へ、丹生川沿い龍王峡遊歩道を歩きました。
高野山女人堂に向かう不動坂
女人禁制時代の高野山に女性は入れないため、女人堂は巡礼女性が一晩中堂にこもり真言唱える場所でした。女人解禁後、最初に高野山永住した女性の萱野さんも苦労をされたとか、寺側とのバトル伝説もあるようです。高野山女人堂結ぶ七つ有った参詣道も、現在は女人道高野七口が唯一残る女人堂、導かれる登り口は石畳道の続く不動坂です。
京大阪道を登り切ると不動口女人堂に、霊場高野山です。南海高野線ケーブル横目に登る不動坂道中に断崖絶壁で昔の刑場だった「萬丈が嶽標柱」があり、仏の世界にも刑罰場があるのだと痛感しますね
不動川にかかる朱色の極楽橋
標高538m極楽橋駅を降りて川沿いを少し歩くと朱色の極楽橋に、由来は擬宝珠が付く朱塗りの橋を葬列で渡ったことから、死者の極楽往生を願って付けられたようです。それ以前は不動橋でした。霊場高野山の聖域と俗世を区切る結界とされ、極楽橋がはじまりの聖地。不動口女人堂に向かわず極楽橋から京大阪道を、九度山向かって神谷集落へ下ります。
川沿いに神谷集落への標識
霊場高野山に一番近い神谷集落は、大正・昭和にかけて高野山巡礼として利用された街道「長坂街道」と京大阪街道の合流地域です。小さな集落ですが、当時は宿場町として巡礼者が利用する旅館や店屋、長屋、髪結屋があって参詣客で賑わい繁盛したと云われます。
神谷集落は昭和初期まで霊場高野山詣に来る巡礼者が立ち寄れる最後の宿場町でした。巡礼客で栄え賑わった神谷集落は、一時約200人もの人が生活していたようです。現在は電車・ケーブルと車で高野山に向かう人がほとんどとなり、街道を利用して高野山まで歩く人も少なく、過疎化して秘境集落となっています。
神谷集落の町立 旧白藤小学校
木造建物の高野町立 旧白藤小学校は、以前に宿場町で賑わった神谷集落も過疎化のため休校となっております。多い時には生徒が100人ほど通っていたようですが、今は町のシンボルとして維持管理される旧白藤小学校は「カフェしらふじ」で営業、ドリップコーヒーの楽しめる古民家風カフェとして高野街道を歩く人の憩いの場所になっています。例年11月頃に開催予定の「ジャパンコーヒーフェスティバルin紀伊神谷駅」は、コーヒーと高野山麓の魅力をPRされてるようです。また、「ジャパンコーヒーフェスティバルin高野山とふもと」は南海高野線橋本駅から高野山駅までの間にある8駅を電車を乗り降りしコーヒーを味わって、山裾に広がる風景が楽しめるイベントも催されているようです。
神谷集落に立つ案内標識
神谷辻に新高野街道「長坂街道」と高野山・九度山への案内標識が高野街道沿いに立ってます。険しい山間部の街道に歩き疲れて場合は最寄り駅、標高473m「紀伊神谷駅」から帰るエスケープコースも有りますが、駅は利用客が少なく売店はありません。昭和3年に南海高野線の終着駅「神谷駅」で開業され現在に至りますが、秘境「紀伊神谷駅」として人気があるようです。
高野街道 里程標の一里石
一里石里程標は由緒あるお地蔵さま「縁結び地蔵」のお堂前に、むすびの地蔵堂は京大坂道清水村から6つの辻に作られた最後の木造地蔵祀られているようです。弘法大師が造られたと伝えられる石像と室町時代に彫られたお地蔵さんが祀られるお社が神谷にはあるようです。神谷集落にとっての守り神であるお地蔵さまは、集落の10月の特別なお祭りの時に一日のみ扉が開かれてご開帳されるようです。
高野の仇討ち場所 作水峠の黒岩
髙野山街道の仇討ちは、MUの遺児がN一味に復讐した死闘でした。仇討は明治4年2月30日、前日に九度山町河根の中屋旅館でMU兄弟一行は仇討の相談し先回りする。作水峠の黒石で仇のN一味を待ち伏せて仇を討ちました。仇討ちの原因は文久2年師走の夜に、播州赤穂藩の執政MO主税と参政MUが自称勤王派の足軽のNらの一味13人に暗殺されたことでした。仇討ちを果たしたMU兄弟は死罪で刑務所行きでしたが、後に務めを果たして無事出所されたようです。
龍王峡遊歩道から朱色の丹生川橋梁
長い下り坂の作水坂をおりて丹生川にかかる標高129m千国橋まで下ってくると一安心。町石道の表参道と比べ裏参道とも呼ばれる学文路から高野山へ登る高野街道を離れて、学文路には向かわず千国橋から真田幸村で有名な九度山へ向かいました。千国橋から標高94m南海高野線「九度山駅」までは急坂もなく、朱色に染まる高野線・丹生川橋梁と景観を眺めながら丹生川に沿って龍王峡遊歩道の散策を楽しみました。このコースは距離があり下り坂が続くので膝に負担がかかり侮れないと感じました、膝や腰を痛めている人はご注意です。