寺地はるな著「水を縫う」
2020年5月刊行、第9回河合隼雄物語賞受賞作
主人公は幼いころに祖母から学んだ刺繡が趣味となった高校1年生男子
「男なのに」手芸が好きな女子力高過ぎ男子と呼ばれ
主人公の姉は「女性は可愛い」という固定観念に抗い
主人公の母親は、自分の考える「母親らしさ」を全力で全うしながら
「母親の無償の愛」「愛のこもった手作り」を重視する社会に反発
ジェンダー平等という重いテーマを軽快で流れるような文章でストーリーが進んでいく
諸外国と比べたらジェンダー平等後進国の現代日本を改めて感じ
ページをめくりながらチクチクと心に刺さってくるメッセージ
物語は、可愛いウエディングドレスは着たくないという姉に
肩がこらない着て気持ち良いシンプルな純白のドレスをつくり
主人公が刺繍を施すというシーンで幕を閉じる
昨日、今日と列車やバスで移動する中でさらりと読んだ家族小説
読後感は清々しく、また、自分自身の偏った頭をリセットする良き機会となった
5/15(水) 出張休足