たんぽぽ日和

吠えます。
噛みます。
そんな遠吠え日記。

汚れちまった悲しみに

2007年04月11日 22時12分55秒 | つぶやき・・ほとんど毒
私の愛する中原中也の言葉。


「汚れつちまつた悲しみに」

汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪のふりかかる
汚れつちまつた悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる

汚れつちまつた悲しみは
たとへば狐の皮裘(かはごろも)
汚れつちまつた悲しみは
小雪のかかつてちぢこまる

汚れつちまつた悲しみは
なにのぞむことなくねがふなく
汚れつちまつた悲しみは
倦怠(けだい)のうちに死を夢む

汚れつちまつた悲しみに
いたいたいしくも怖気づき
よごれつまつた悲しみに
なすところなく日は暮れる・・・・・

        作品紹介: 中原中也


中原中也は享年30歳。
恋人を親友にとられたり、最愛の息子を亡くしたり、その30年という短い人生の中で味わった辛さや苦しさはきっとはかりしれないものだったのだとおもう。
性格は悪いは、暴力男だわで、私生活では最悪だったという中也。

そんな中也だからこそ、そんな人間の中也だからこそ、その作品に込められる、叫びや訴えはやはり心に届く。

きっと、中也が何も感じない感受性の豊かでない心だったらきっと、こんな詩は産まれなかったんだろう。

でも、どんなにすばらしい言葉を残しても中也が幸せを心から感じる日はあったんだろうか。
常に苦しみ続けたんじゃないだろうか。



心が何も感じなければ楽だろうな。たとえば喜びや楽しさを感じなかったとしても
それ以上の悲しみも、辛さも、感じない心になったらきっと、もっと生きやすいんだろう。

中原中也享年30歳。
おんなじ30歳。




コメント (2)
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