蟷螂の独白

世に背を向けた蟷螂です。喜怒哀楽を綴って19年モットーは是々非々の団塊世代です。

丸山健二について

2008-10-07 22:55:24 | 文学
丸山健二という作家に出会ったのは、もうだいぶ以前になる。まだ大学生のとき、彼の「夏の流れ」、「正午なり」を読ませていただき感銘を覚え、エッセイなどもむさぼるように呼んだ。だが、「雨のドラゴン」「赤い眼」「朝日のあたる家」を読みこなすことができず、30数年の月日がたった。最近、我が家はリフォームをした。蔵書の一部を別の家に移したり廃棄したりしたが、作りつけた本棚が、私に読書を催促し、30数年前に放棄した丸山健二の本を改めて手に取った。すると、若いころにはやや難解だった丸山の文体に、齢を重ねた私の血の巡りの悪い脳細胞が反応し、「朝日のあたる家」を読了することができた。また、「雨のドラゴン」や「赤い眼」なども読了でき、当時面白く読ませていただいた「アフリカの光」などは何度も読まなければ気がすまないほど読み込んだ。それからは激しく彼の書籍を読みたい衝動に駆られ、「銀の兜の夜」を2日で読んだ。だいぶ彼の小説の本来の姿から離れた趣だが、暴力的なところもあり、呪術めいた発想が面白く感じられた。その丸山も最近は庭造りに精を出し、一人前の年金生活者らしくなってきているが、そんな彼の最近作を私がむことができるのは、あと7年くらいかかるだろう。なにしろ彼は私より7つも年上なのだから。だが、最近知人友人など同年代のものがばたばた倒れている現実を突きつけられると、永遠に丸山の近作を読む機会に恵まれないのではないかという不安感にもとらわれる。
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