これと言ってすることもなく、気になっていた遊びを始める。
小学校のときに母親がシュークリームによくトライしていた。
シュークリームと言えばごちそうだった。
まだまだガスオーブンや電子レンジが一般的に普及されていなかった。
自分の記憶では電子レンジよりはやくガスオーブンがやってきたと思う。
ある時そのオーブンでモチを焼いたら、
それはそれは膨れること
夢のような大きさに膨れてくれたが、
それ以上焼くと庫内に張り付いてしまいそうだったので取り出す。
一見美味しそうに膨れたもちも取り出した瞬間に半分ほど縮む。
それでも通常のモチの何倍にも膨れたままである。
早速、砂糖醤油を作って頂こうとするが、
見事に中は空洞で半ば大きなおこげを食べました。
あの期待は何処に行ったことでしょう。
そんなレンジを使って母親がシューを焼く。
気合が入っていた。
ところが学校帰りの腹ペコの自分に少し手伝わせて、
自身文句もタレながら美味しい期待を夢に見る。
ところがところがシューが膨らまない。
焦った母親が慌てて新しく生地を練り直す。
小一時間で出来るとはいえ、
2度目となる。
半ばあきらめながら付きあう。
結果は・・・・(悲)。
味のない少しだけ膨れたビスケットの出来上がり。
夕食の準備が始まる。
あわててカスタードをべっとり塗り、
「家庭だとこんなものよ」
と取り繕う。
その後2度ばかり挑戦してくれたが、
結果は同じとなる。
それ以来失敗の少ないクッキーを焼くことが多くなった。
確かに父親の土産物に持って帰るシューはふわっとしていて
サクッと軽い歯触りがある。
憧れの一品でもあった。
パウンドケーキの失敗から始まったお菓子作りである。
何十回と失敗した。
共立て、別立てとそのうち経験することになる。
市販のものが大概ベーキングを使っているのだが、
頼らずともうまく焼けるときには
少し自己満足に浸れる。
水分量と粉の比率や、
混ぜ方といった準備段階ですること。
あとはスチームや焼成温度と時間といったもの。
メレンゲがきっちりと仕上がり
気泡を壊さないように粉を合わせていくと、
ワインをたっぷりと吸った干しブドウも
底に溜まることが多いのだが、
不思議なぐらいにケーキの真ん中ぐらいで収まってくれる。
IPS細胞ではないが半分の確率にも満たない。
正直再現性に乏しいのだが
「STAP細胞はあります」
というしかない。
本物のSTAPがあることには期待をしたいのだが、
「私のことが嫌いになっても、AKB48のことは好きで・・・・。」
まぁそんなことかな。
絞り袋も口金もなく、
ジップロックに生地を詰めて、
切り落とした角を絞り口にして始める。
どれぐらい膨らむのかもわからず、
量も大きさも想像の域である。
いや、それ以前に膨らむのかな。
とにかくファーストトライである。
パンは酵母の作る炭酸ガスで膨らむ。
ケーキは共立てだろうが別立てだろうが
焼成前の生地の気泡で膨らむ。
ベーキングを使うと焼いている時の熱で炭酸ガスが発生して膨らむ。
けれど今回の物理現象は違う。
二酸化炭素でもなく、気泡でもない。
生地に含まれた水分で膨らむ。
水分で膨らむための条件がある。
焼いたときに表面から水蒸気が抜けないこと。
生地を絞り出した時に濡れ手で生地を抑える。
そして霧吹きをたっぷりする。
フランスパン程ではないが外側に膜をつくり
中の水蒸気が膨張するときに外殻を持ち上げる。
190度で20分がそれである。
その後少し温度を下げて15分焼く。
今までのケーキは入れてから温度を変化させていないが、
シュー生地の場合はここが違うようである。
膨らんだ生地が縮まないように
余計な水分をこの時に飛ばすのではないかと思う。
まぁ難しいことはわからないので、
これぐらいにしておく。
ファーストトライの焼き上がりは
思ったより上出来だが、
少し焦げがあったり形が不ぞろいであったりする。
カスタードもホイップもないので、
チョコレートソースを少しかけて頂くことにする。
味は悪くない。
フワッ、サクッまで出来たのだが
美味しいと言うまでには程遠いかな。
40点!!
今日はそんなところです。
何度か作ればいい感じになりそうです。
巷の中学生の方が上手だと思うが、
初めてのトライには満足する。
いい息抜きになりました。