それから、半月位は経ったのかも知れないが、
女Sとは、狸と狐状態になり、Jは相変わらず行方不明、Kさんも普通で、勿論問い詰める事も出来ず(やくざは取り扱いが難しく、私が頭おかしいと言われる可能性が高い)、疑心暗鬼のままだった。
とにかく、私に出来る事は、誰が何と言おうと、Jだけをヒットする事だ。今考えて見れば、本当に馬鹿みたいだが、私は恐ろしく気高い男で、狙った獲物は許さない、とにかくマムシさながらのしつこい男、けじめを取るの一点張りだった。
だから、何をされ様と、誰が出て来ようと、正面切って話も出来ない奴には、引く理由が見つからないので、どんな事しても、ストーカー
になってでも絶対にやっつける、これが私の信条だった。
一応女とは付き合っていたので、舐めた真似をするという事は、つまり、私の顔を潰しているという事に直結するので、KさんがもしかしてこのSやJと実は関係があっても、とにかく狙うのはJであって、発端はJだからJが一番の優先、という考えだった。
更に言えば、私が付き合いして来た仲間は役に立たなかった。
落ち着いていた(家庭を持ったりして)のもあるし、あまり争いを好む奴もいなかった(結局は雑魚だった)。
それに、この度出所してから、連絡取れなくなってた頼りになる先輩も飛んでいた。二人居たが、二人とも飛んでいた。後輩もいたが、捕まった事によって私の前から消えた。
それでも、そんなに信用出来る筋では無くても、色々聞いて回った。しかし、Jの足取りは掴めない。
疑心暗鬼だったKさんにも聞いたが、探しといてやるとの事。
後日Jの知り合いの女から連絡が来た。
Jは夜中でも大きな声出すし、足が長いのが取り柄だけで私は嫌い。
組員からも借金していて踏み倒して逃げている。もし連絡先分かったら教えてあげる、といった内容だった。
Kさんには感謝だったが、それ以上進展は無かった。
それと、気掛かりがあった。直近の日に、Kさんの事務所近くに車を止めて、待ち合わせで人を待っていた所、「お前、分かってんのか」と、誰も居ない所からはっきりと声が聞こえた。叔父Oの声だった。そこは電柱の上の方だったので、あからさまに人は居なかった。考えたが、叔父Oは懲役中落合信彦の本なんかもよく読んでいた。当時、主にCIAの話をよく書いていたジャーナリストだ。従兄弟の家に私達家族は居候していた時期があったので、よく知っている。そこで疑念を抱いた。
見られている=監視されていると感じた。
ここはI組のシマだ。そういうマネも、出来ない事は無いだろう。
と言う事は、I組、O、はつるんでいる。そして恐らく、その一派には話が回っている筈だ。
ややこしい話になっている。私はそう感じた。
私は、とにかくJをヒットする事だけに的を絞った。
ヒット=場合によっては刺す位で、殺すという意味では無い。何故なら、この件で人を殺すのはご免だった。
実はこの件の他にも、私は最優先でヒットしなければいけない相手がいた。
*あくまでも昔の僕の事を書いてます。