久々にこのコーナー。
ニューヨークから帰国した高校生の時、とても好きな女の子がいた。同じ帰国子女仲間の子だったのだが、その子にはたくさんのカセットテープやCDを貰った。当時日本に帰国したばっかりで、日本の音楽はかなり偏っていた僕だったが、彼女に色々な音楽を紹介してもらったことで、当時かなり色濃く影響を受けた。前回この『思い出の曲』コーナーで紹介したマンハッタントランスファーのCDをプレゼントしてくれたのも同じ彼女である。
そんな淡い彼女との思い出と共に、今でも良く思い出しながら聴いているアルバムがある。それは白井貴子の『PASCAL』というアルバムである。1983年にリリースされたこのアルバムを、彼女からカセットテープに入れて貰い、1987年当時頻繁に聴いていたが、それからすっかり白井貴子のファンになってしまい、その後も白井貴子の他のアルバムなども遡って聴きまくっていた。そして後にファンイベントにも参加して、白井貴子に直筆サインを頂くことが出来たのも良い思い出だ。
『PASCAL』は全く外れ曲がなく、下記全10曲はどれも恋心を刺激する名曲ばかり。特に当時テープをもらった彼女を思い浮かべながら聴いていたこともあり、尚更どの曲も心に響いてしまった。
- Little Darling
- Yesterday’s Dreamin’
- ドキドキBy My Side
- Have a Good Day
- 愛がなければ-愛’m down-
- CRYSTAL BALL
- HONEY
- SAME
- Wake Up Heart
- 遅すぎたとしてもFollow You
どの曲もキャッチなメロディーと、心に染みる歌詞が絶妙。特に『Little Darling』、『Yesterday's Dreamin'』、『ドキドキBy My Side』、『HONEY』などは明るくアップテンポ。しかし、アルバムは何とも切ない別れソングである『遅すぎたとしてもFollow You』で締めくくられ、感動的な余韻を残して終わるのだ。今も時々むしょうに聴きたくなってしまうので、iTunesで聴いているが、当時ほど鮮明ではないものの、ほのかな当時の恋心を思い出してしまう。
白井貴子はこの他に、『RASPBERRY KICK』というアルバムもテープで貰ったので良く聴いていたが、このアルバムも思い出深い。白井貴子も今年64歳。当時は女性ロックボーカルのハシリだったと思うが、ロックとポップスの間くらいで、とても爽やかで聴きやすいロックだったことが印象的だ。ほぼ同じ時代に活躍した女性ロックシンガーに小比類巻かほるがいたが、後に80年代後半の渡辺美里、90年代の大黒摩季などの女性ロックシンガーが大きな成功を収めていく。白井貴子はまさに80年代前半に、女性ロックシンガーの先駆的な存在だった。今、改めて聴いても全く古臭い感じがしないので、良い音楽は決して色褪せないのだ。
これからも時々白井貴子に浸る時間を大切にしていきたい。