アメリカのニューヨークに引っ越した1984年、全米では80’s POPミュージック全盛期。マイケル・ジャクソン、プリンス、デュラン・デュラン、カルチャークラブ、マドンナ、シンディー・ローパー、ビリー・ジョエル、ブルース・スプリングスティーンなど、数えきれないほどのスターがヒットを飛ばし、MTVも大いに盛り上がっていた時代だ。
そんな中、特別に思い出深い曲がある。それがライオネル・リッチーの『Hello (邦題: 心の扉)』である。ニューヨークに転勤して間もない頃、MTVで目にした『Hello』のミュージックビデオが今でも深く印象に残っている。ライオネル・リッチーと言えば、元コモドアーズのメンバーとしてヒットを飛ばし、ソロになってからも『Truly』やダイアナ・ロスとの名デュエット曲『Endless Love』が大ヒット。そして1983年にリリースされたアルバム『Can’t Slow Down』がメガヒットとなり、このアルバムから『All Night Long』とこの『Hello』という2曲の全米No.1シングルヒットが産まれた。
先日、いつも訪れている地元の中古レコード店でこの『Can’t Slow Down』のレコードを久々に見つけて、思わず購入した。当時はラジオで聴くだけでこのアルバムは買っていなかったのだが、やっぱり大好きな『Hello』がまたレコードでも聴きたくなり、今回やっとゲットすることが出来た。何とも懐かしい1枚である。
『Hello』のミュージックビデオがなかなかの名作だ。馬面の(笑)ライオネル・リッチーが学校の先生役なのだが、生徒である盲目の女性に一目惚れしてしまう物語で、何とかその一途な思いを伝えようとするラブ・ストーリーだ。当時中学生であった僕は、この美しいミュージックビデオにすっかりハマってしまい、盲目な女性という設定も相まって、“心の目”がテーマにもなっており、何とか僕の存在に気が付いて欲しいという思いが強く歌やビデオに反映されており、哀愁を誘う。そして、最後は美術のクラスで彼女が制作していた頭部の模型が、ライオネル・リッチーの顔だったことがわかり、彼女も先生のことが好きだったと言う感動的なハッピーエンドで終わる。
ミュージックビデオはこちら: Lionel Richie - Hello (Official Music Video) (youtube.com)
この盲目の女性を演じたLaura Carringtonという黒人女性がまた何とも可愛くて、当時とてもときめいたのが懐かしい。まるで古代エジプト人か、クレオパトラのような神秘的な美しさのある女性で、今見てもかなり魅力的で可愛い。ちなみに、このLauraはその後アメリカの大ヒットドラマ『General Hospital』や『All My Children』にも主演していた女優だ。この2つのドラマは日本ではあまり馴染みが無いかもしれないが、アメリカでは人気の高いドラマであった為、彼女も一時アメリカで人気のあった女優だったことが想像できる。
今よくよくこの『Hello』のミュージックビデオを見直してみると、ちょっとストーカー的な物語のようにも見えなくもないし(笑)、また先生が生徒に惚れちゃだめだろ!という声も聞こえてきそうだが(笑)、そこはコンプライアンスをしばし忘れて、純粋なラブストーリーとしてぜひ一度見てみてほしい。また『Hello』の歌詞もシンプルな英語を使ったストレートなラブソングとなっているので、英語の教科書的で結構わかりやすいのだ。
大好きな80’sの中でもとりわけ印象に残っている『Hello』は、ライオネル・リッチーの曲・歌詞も素晴らしいが、ミュージックビデオも含めて、今でも当時の記憶を呼び覚ましてくれる思い出深い1曲となっている。